文化祭での「白雪姫」上演を控える中、容姿も整い人気の高いヒカリが芸能界にスカウトされて退部したことで劇のヒロインが不在となり、誰が代役を務めるかという問題が出てくる。当然部長の沙彩がやるかと思われたが、がっついてると思われたくない彼女は積極的には立候補せず。口には出さないまでも他のメンバーも内心狙っており、「無記名投票」という形をとる。結果は明らかなはずが、メンバーの数以上の票がでて……。
玉城ティナ, 矢倉楓子(NMB48), 小野花梨, 齋藤美咲、ロバート秋山、橋爪功ら共演。
あらすじ
「いつまでやんの?仲良しごっこ。」
高校最後の文化祭3日前に突然、演劇部の絶対的ヒロイン、ひかり(玉城ティナ)が退部した。沙彩(福原遥)、蒼生(矢倉楓子/NMB48)、胡桃(小野花梨)、美紅(齋藤美咲)という 4人の「微妙」な女子が残され、文化祭の演劇を行うこととなった。ひかりというヒロイン不在の中、本当は誰もがヒロインを演じたいのにお互いの腹を探り合う4人。スクールカースト下位の脇役であった彼女たちの中で、誰が次のヒロインを演じるのか。各々自分の役割や全体のバランスを考えて空気を読んで仲良くしてきた彼女たち。いままでひかりの影に隠れてきた彼女たち4人の秘めてきた思いが、一気にぶつかり合う。(Amazon商品ページより)
今年スタートした放送局「BSよしもと」にて録画。2018年の作品なのでそこまで時間は経ってないはずなんですが、出演者が若い若い。等身大の女子高生を演じてるってのもあると思いますが、いい意味でなんか「垢抜けてない感じ」がしてなんか新鮮でした。
一応の主役としては福原さん演じる沙彩なんですが、それぞれにスポットが当たるし共感しやすかったですね。予告動画でもチラ見えしてますが、「部員全員のグループ」と「特定の一人以外のグループ」「二人だけのグループ」などなどを切り替えてメッセージを送り合うことで【本音と建前】がありありとわかってしまう。女性の友人関係の闇みたいな形で他のフィクションでも揶揄されることって結構ありますけど、この映画はそれをメインに持ってきちゃってる。
発端となるのは上記あらすじの通り誰が白雪姫をやるか、ってことなんですが、部長の沙彩と蒼生との水面下の戦いが繰り広げられる。冒頭でも触れた通りストレートに部長だからって決めちゃばいいのに「がっついてると思われたくない」って沙彩は言葉を濁すし、それならばワンチャンあるかもって蒼生が食い込んでくるし。その様子を残りの二人が嘲笑ってるのがなんとも言えないです。怖い。
沙彩自体が人気者のひかりとペアみたいなところで内心他のメンバーに優位性を自覚してるし、でもそれは同時に他から見たら「あやかってる」イタさが強調される。なんか親友っぽいオーラ出してるけどスカウト関連とか相談とかされてないし、ブランド服のお下がりもらってるし正直ひかりにとってもそんなに重要な存在じゃないっぽいのにね。そういう風に、本人からの目線と、他のメンバーからの目線を両方描くもんだから居た堪れなくなってくる。
まあ一番胸糞悪いのは唯一の男子部員である石谷で、序盤から結構ナチュラルにひどいセリフをポロポロつぶやいてるのですが、最もひどいのは美紅との関係。ネタバレしちゃうとこっそり付き合ってるんですが、「好きじゃなくて肉体関係を持てるから」って劇中ではっきり言い切っちゃう。最低すぎる。本命がいるから秘密にしたいとかいうし。ちなみに美紅本人は付き合ってることを自慢げに思っていて「経験がある分他のメンバーよりも女性として格が上」って価値観。予告でもちょっと使われてます。それも違う気がしますけどね。
そんな美紅と胡桃の関係も見てて辛くて。勉強ができるから宿題とか写させてもらうなどうまく利用してる方と、自分よりも下がいると安心するから一緒にいる方。前半で思いっきり前振りがあったので予想できますが【グループを間違って送信】で本音がバレて……って形で緊張状態が一気に破裂しちゃいます。
そこは青春映画なんで、大喧嘩した後は最終的にまた団結して彼女たちなりの白雪姫をなんとか上演することができるんですが、お互いをどう見てるのかってのが文字や態度で非常にリアルに描かれててすごかった。これは誇張されてますけど、これに近いことがあるんだろうな、みたいな。だって単純に「一緒にいるのが楽しいから」だけの友人ばかりじゃないですからね。それを友人と呼ぶのかとは別として、表面上は仲間として振る舞っていく関係性。角が立たないといえば聞こえはいいけど、みんな本音を隠しながら生きていく(笑)
性格の良さで言えばサッカーやめて入ってきた蒼生が一番だったかな。体育会系だし、熱いところがちょっと浮いちゃってる感あるけど男子の目線を意識してみたり、胡桃の頑張りを評価してたりと我は強いけど不快感は少なかった。胡桃を演じる小野花梨さんは先日ここで紹介した「のぼる小寺さん」同様に地味メガネキャラをやってましたが、結構似合うんですよね。ネガティブな面とか、あえて誰か一人選ぶなら僕に一番近いタイプ。
誇張されたギスギス感に若干嫌な気持ちになりつつも、「導火線がどんどん短くなっていく」ヒリヒリ感がなんとも言えない作品でしたし、前述の通り最後は青春モノらしい爽やかさで締めてくれるので後味は悪くありませんでした。DVDのほか動画有料配信もあるようなので興味がある方はぜひ。
BSよしもとでの録画、視聴。
女々演 [DVD]
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