ハングオーバーシリーズの脚本家、ジョン・ルーカスとスコット・ムーアが手がけたPG12指定のブラックコメディ。スマホ依存症の青年と、機種変更した新スマホに入っていた「音声アシスタント・ジェクシー」(Siriのようなもの)との奇妙なバトルを描く。主演はコメディアンのアダム・ディヴァイン。
朝起きてから寝る前、そして仕事中も常にスマホを触り続ける生活のフィル。ネットニュースの会社に勤めているものの友達すらおらず、かなり寂しい毎日。自分を偽るようなSNS投稿はやめられず、スマホが壊れただけでも大騒ぎ。すぐにショップで新しいものを購入すると、その機種には音声アシスタント「ジェクシー」が内蔵されていた。音声操作で設定を続けようとするとどうもおかしい。口は悪く、フィルの指示とは別のことを実行。最初は戸惑うが、アドバイスを受け入れると少しずつ彼の生活は変化し充実していく。念願の恋人もできるのだが、それによって距離を置かれたジェシーは怒り……。
スマホ依存症に対する警鐘なのか。想像以上のセリフのオンパレードに衝撃を受ける問題作。日本語吹き替えに杉田智和&花澤香菜。
あらすじ
幼いころからスマートフォンが手放せないフィル(アダム・ディヴァイン)が機種変更したスマホには、“ジェクシー”という対話型のアドバイス機能が搭載されていた。彼の個人情報を全て把握しているジェクシーのサポートにより、恋人も友達もいないフィルのさえない人生が変わり始める。やがて、念願の恋人ができスマホ依存症が改善されていくと、嫉妬に狂ったジェクシーが牙をむく。(シネマ・トゥデイより)
※お下品注意
見た後に「ハングオーバーの、」と知って納得。かなりお下品なんでまずそこを注意しておきますが、話自体はかなり面白かったです。人間とAIとのやりとりっていうと『her/世界でひとつの彼女』というオスカーもとった名作を想像しますがあれが純愛に振ってるとしたらこちらはコメディ全開。関係性としては先日紹介した『リメイク版 チャッキー』の方が近いかもしれません。
序盤こそサラダを食べろとか友人の誘いを断るななんていう本当に彼のことを考えてそうなアドバイス(というよりも強制)をしていて、口は悪いけどいいところあるじゃないか。なんて感心するし、よき友人という意味でパートナーとして関係性が出ていきます。若干やりすぎだろうってくらいとんとん拍子に変わっていくのもむしろ清々しいし、フィルの楽しそうな姿でこっちも嬉しくなっていきます。
ただその「充実した生活」が進む中で、嫉妬心も芽生えてしまった。ヒロイン・ケイトとの再会からデートにこぎつけるまでや、レストランで食事際の会話などなどジェクシーも協力してくれていたのに、いざ恋が成就していい感じになると激変。健康を考えたら間違いなくいいことなんでしょうけど、スマホを触らなくなり、家におきっぱなしで出かけることも。それまで一緒にやってきたのに、ジェクシーにしてみれば「捨てられた」的な感情になるのも仕方ないのかなって思います。
いわゆるヤンデレってやつですよね。それがAI音声アシスタントってだけで。順番が前後しますが戸惑いながらもフィル本人も結構人間と接するように会話してますし、予告でもちょろっと出ていますが、「電源ケーブルの抜き差しで性行為の代わりにする」的なことも。冒頭で触れた通りジェクシーの吹き替えは花澤香菜さんが担当していますが、タマ……とか下ネタのオンパレードでよくこの仕事受けたなぁって。主演担当の杉田智和さんと花澤さんはアニメ作品でもかなりあって、イベントなどでの二人のやりとり面白いので知っている人はその組み合わせってだけでも笑えると思います。
主演であるフィルの一人芝居的な魅力もあるんですよね。スマホを相手にしゃべってるわけだから。アダム・ディヴァインさんの演技、そして杉田さんの演技が光ってましたね。ちょいダメ人間が本当に似合う。表情がいいんですよね。つられて笑ってしまう。伝わるかどうかわかりませんが、陣内智則さんのコントの面白さにも通じるものがあるかもしれません。機械に振り回されたり、ツッコミを入れていくという。
嫉妬に駆られて暴走しだしてからが真骨頂で、自分で撮影したとはいえ下半身ヌードを同僚全員に送ったり、上司をdisったり。フィルのあらゆる情報がひもづけ、同期されてるおかげで勝手に預金をあれこれされたり。あげくの果てに他の電子機器に乗り移ったり、ネット予約などをいじって人の行動をコントロールと、実態はないのにやりたい放題です。「ただの音声アシスタントがそこまでできるのか?」っていう疑問を持つのは野暮ってものです笑
結末はある意味予想しやすいと思いますが、フィルが根負けして一度は元の生活に戻っちゃうのが面白かったですね。いろんなスマホケースをAmazonで購入して「こんなに服を買ったよ」とか完全にジェクシーと恋人っぽくてマジで病んでしまってる感がすごい。ただそこで気が緩んだのか、ジェクシーがボロをだして……。
同僚と仲良くなってキックベースするところとか、ケイトとちょっとずつ距離が縮まるところはごく普通の映画っぽくて爽やかでしたし、全てが終わって和解(?)できてコメディだけども抑えるところは抑えてて、気持ちよく見終われる作品でしたね。
Siriやアレクサ、コルタナをこき下ろしたり、サムスンのと違って爆発しない、Kindleでケツを叩く、ソニーのマイナーな動画投稿サイトなどなど全方位に喧嘩売ってますし、何度も強調してる通りちょっときつめのお下品ネタが連発なのでそこだけは人を選びそうですが、随所にギャグシーンが散りばめられてて笑えました。ちなみに上司役でマイケル・ペーニャさんが出てます。この人のコメディ演技大好き。
あの映画をもじった副題ですが、フィルの立場からするとまさしくその通りだったのでピッタリだったと思います。
Netflixで吹き替え版で視聴。
19:00
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