スパイダーマン:スパイダーバース / クモに噛まれ肉体が変化したものの、使いこなせずにいた少年マイルス。元々いたスパイダーマンが倒れ、途方にくれていると、異なる次元にいた違うスパイダーマンたちが彼の世界に集結。力を合わせてこの歪みを正そうと奮闘するが……。

usb_hand_memory.png
異なる次元のスパイダーマンが一同に会する。読んでこそないですが、そんなコミックが出たという話は僕も知っていました。こちらはそれを原作にしたCGアニメーション作品であり、映画の中では7人+αのスパイダーマンが登場。彼らが主人公のいる世界に飛ばされてしまい、諸悪の根元を倒し、また元の世界に戻るために奮闘するお話でもあり、同時に主人公がヒーローとして成長する物語でもある傑作ドラマ。
高校生のマイルス・モラレスは突然変異したクモに噛まれたことで特殊な能力を得るのだが、すでに彼の世界で活躍していたスパイダーマンが敵と戦っているところに遭遇。重傷を負った彼はマイルスにメモリースティックを託したのち敵に殺されてしまう。異次元の扉を開く装置を止める鍵だと知ったマイルスは装置によってこの世界に飛ばされてきた別の世界のスパイダーマンと協力し、自身もスパイダーマンとして戦うことを決意するが……。
小野賢章、宮野真守、悠木碧、大塚明夫、高橋李依、玄田哲章ら豪華共演。
アカデミー長編アニメ映画賞受賞。
あらすじ
ニューヨークのブルックリンで名門私立中学校に通うスパイダーマンのマイルス・モラレスは、自分の能力をコントロールできなかった。ある日、時空がゆがめられた衝撃で、それぞれ異なる次元にいたスパイダーマンたちが集まってくる。(シネマ・トゥデイより)


主人公がピーターじゃないですし、これ単体で楽しめる作りになってるのも間違いないのですが、実写化されたスパイダーマンを見ていただけでも圧倒的に思い入れが変わってくる作品だと思いますのでできれば「スパイダーマンはこんなヒーロー」って分かってた上で視聴して欲しいと思います。実際にどう見てもサム・ライミ版オマージュとかアメイジングオマージュなシーン出てきますからね。
かくいう僕も実写映画を追ってきてるだけで前述の通り原作アメコミは分からない人間なのですがそれでも「親愛なる隣人」と評される等身大ヒーローのカッコ良さは十分分かってるつもりです。

この物語の主役マイルスは、彼の世界にすでにスパイダーマンがいるため、そんな僕らと同じような感覚で先代のことを見ていたわけです。それが突然自分も似たような能力が開花してしまい、その力もうまく使いこなせないまま悪との戦いに巻き込まれていってしまう。
ヒーロー映画の1作目にありがちな「彼がヒーローの自覚を持ち覚醒する物語」と書いてしまえばそれまでなんですが、大きすぎる背中というか、自分が果たして彼(先代スパイダーマン)の代わりを勤められるのかというプレッシャーの中で頑張っていく姿がほんと泣かせるんですよ。

一方でいろいろなタイプのスパイダーマンが登場する、というお祭り的な要素もキャラの数を抑えたことできちんと描きききったのも良かった。女性スパイダーマン、モノクロ世界、日本のアニメみたいな作品、ギャグ時空(ブタのスパイダーマン)と、あまりにもわかりやすい特色でしたし、戦闘シーンもほんとバラエティに富んでて見応えありました。ここらへん特にCGアニメだからこそできる演出というか、雰囲気の辛っとかわるような変化もかなりスムーズに繋がってて、違和感がなかったです。彼らが協力しあって大きな悪にたち向かうチームの団結の物語としても面白いですしね、マイルスがトレーニングしてもらって、でもなかなか芽が出なくて、でも最後には……。という。

かつてはめっちゃ活躍してたのに中年太りして若干パッとしなくなったピーター・パーカーというのもマイルスについで2番目の主人公という感じがあり、嫌々ながらも教えたり導いてく中で、彼の中で燻ってたものがまたより大きな炎になるという感覚とても良かった。一番マイルスの世界に近いので、こっちのMJに会った時の反応とか、あるいは逆にメイおばさんが彼を見たときの反応とか(亡くした甥のそっくりさん)色々ジーンとくるものがありました。ちなみに実写映画「ヴェノム」で先行公開という形でこのスパイダーバースの映像が含まれていたんですけど、ここに出てるのがこのピーターだったんですね。

メインとなる敵もPS4スパイダーマンで印象深い「キングピン=ウィルソン・フィスク」でしたし、過去の実写映画でも登場したグリーンゴブリンやドクターオクトパス的なキャラが登場、同時に今までにいなかったキャラもいるので新鮮な気持ちで見れましたし、あるヴィランの正体が、という形でメインストーリーにも深く絡んできてとても面白かったです。なるほど、こういう形でスパイダーマンぽさをなぞるのか、としみじみ。

仲間との協力もあついですけど、主人公が奮起する流れっていうのはやっぱり好きなんですよね。トムホランド版でもかなり印象に残ってますけど、「僕はスパイダーマンだ、だからやるんだ!」って必死になる。正直他のヒーローに比べるとそこまで強いパワーがあるわけでも無いんですけど、立ち向かう勇気がとても好きです。それこそ細い糸を束ねれば強くなるように、気持ちの強さで打開していく。文字通りの見習いから、正真正銘のヒーローになる姿はとても泣けましたし、マイルスオリジナルのコスチュームという形で表現してるのも最高。

すでに触れましたが他のスパイディたちもほんとタイプ違うんでそこ良かったですよね。ゲームとかでは変えられても結局は色違いみたいなところあるんですけど、体格やら描き方のタッチすら違うのはすごいし、これも繰り返しになりますがCGアニメで作ってるからこそできるすごさ。他にもコミックを読んでるような効果音、コマわりっぽい演出しててたり、映像としても全然飽きなくて素晴らしかったです。

そうそう、マイルスがグラフティアートが趣味ってこともあって全編にわたってゴキゲンというかとてもオシャレでかっこいい感じになっててそこもこれまでのスパイダーマン映画と違ってたところだと思います。スパイダーマンはアニメ映画としては初らしいので、それでこれだけのクオリティで(冒頭で触れましたがオスカーとってます)、続編も期待できる流れでしたし、今後が楽しみです。

残念ながらスパイダーマンの生みの親が二人とも19年にこの世を去りましたが、例によって劇中でスタンリーが登場しますのでぜひお見逃しの悪。最高のヒーローをありがとう。

スターチャンネルにて吹き替え版を録画、視聴。

スパイダーマン:スパイダーバース ブルーレイ&DVDセット(初回生産限定) [Blu-ray]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2019-08-07)
売り上げランキング: 645


スパイダーマン:スパイダーバース (吹替版)
(2019-06-26)
売り上げランキング: 4,575



この記事へのコメント