ニューヨークの片隅、ワシントン・ハイツで雑貨店を営むウスナビはお金を貯めていつか祖国へ帰る夢を見ていた。そこにコーヒーを買いに来るお客をはじめそこで暮らす人々はそれぞれ夢や悩みを抱えて生きていた。ずっと憧れていた女性ヴァネッサとデートをとりけたり、みんなの期待を背負ってスタンフォードで学んでいたニーナが一時的に帰省したりと良いこともある一方、突然停電になってしまい……。
コーリー・ホーキンズ、レスリー・グレイス、メリッサ・バレラら共演。
あらすじ
ニューヨークの片隅にある街、ワシントン・ハイツ。祖国を離れてそこに暮らす人々は、ストリートに繰り出しては歌とダンスに興じていた。うだるような暑さだった真夏のある夜、大停電が発生。進学、仕事、恋で悩みを抱えながらも夢に向かってまい進していた若者4人の運命が、停電をきっかけに思わぬ方向へと動き出す。(シネマ・トゥデイより)
視聴する前は主人公の恋愛にスポットを当てた作品かと思ってたんですが、登場人物それぞれのエピソードを盛り込んでいて、ハイツ全体を舞台にした群像劇っていう感じ。もちろん最序盤で数年後?のウスナビの語りでスタートするので誰か一人主人公を選ぶとしたら彼なんですけど、みんな感情移入したし共感できた。
その「どういう道筋を経てあの砂浜で子供達に話をする現在につながるのか」だとか「停電まであと何日」というカウントダウン。そしてさらに『宝くじ』と先が気になるように色々と引き込まれる要素はあるんですが、そもそも最初の「インザハイツ♪」って曲がノリノリすぎてほんと一気に心持ってかれます。歌でもあるし、ラップ的な要素もあるしで彼がどういうバックグラウンドで、どう生きてるかが理解できる。祖国から離れ、必死に生きている人々。だから当然差別もあるし、金銭的な悩みも。だけど夢を諦めない。
人種差別的な要素は住民の希望の星であるニーナのエピソードがいちばん痛感させられますが、「何も悪くないのに謝るしかなかった」という言葉がめっちゃ辛い。高等教育の場ですらそういう状況ですからね。だから彼女の作戦、嘘もわかるし、同時に親御さんの気持ちもわかるからキツかった。単にプレッシャーを与えてるわけじゃなくて、跳ね除けて強く生きていけると信じてるし、戦う上でも絶対に学歴が武器になるからね。お金で解決できることは何をしてでも力になりたいっていう姿勢が感動的だった。その板挟みになる恋人のベニーも大変だけど。
もう一人はやっぱりみんなの母親的存在のアブエラ。「忍耐と信仰」おばあちゃんだけどこの人もガッツリ歌唱シーンあって、オルガ・メレディスさんすごかった。調べたらブロードウェイ版で演じてる方がそのまま映画にも出演とのこと。すごいわけだ。彼女の歌の中でこの世代が現代以上に過酷だったのが想像以上にわかるし、それでも折れない強さがカッコ良かった。クリーニング店での「ようこそ」(そんな高くちゃお客減るよ)ってセリフが好き。
そういった登場人物の心情を表すようにほぼずっと流れているミュージカルシーンは時にノリノリ、時に切なくとても印象的で、さらに規格外の超大人数でのダンスがあるからめちゃくちゃ見応えがあります。プールのシーンとかすごかったなぁ。全体的に色がカラフルなのもいいんですよね。あとはデートでのダンスシーン。ヘタレって(?)踊りに誘えないからって他の男たちから声変えられてさすが高嶺の花ってなっちゃうところとかまた違うジャンルで良かった。
ウスナビも「名前の由来」とか、ちょっと奥手なところ。アブエラとの絆や、従兄弟のソニーのことに一生懸命なところ含めてとても応援しがいのあるキャラしててそこも良かったですね。前述の砂浜のシーンで「おそらく夢を叶えたのかな?」ってハッピーエンドはある程度予感させつつも、自分のためというよりは周りを優先するタイプなので。慕われていたんだろうな、ってのがわかるのもいい。
バネッサ役のメリッサ・バレラもスタイルすごいし、歌も上手いしでこれから売れっ子だろうなって思うヒロインでしたね。劇中でも誰しもが振り返る美人という設定でしたが、本人にとっての大事な夢に向かってもがいてる姿が良かった。ゴミの中から布を集めたり、不動産屋ですんなり行かなかったり。夢が叶ったらウスナビとは離れ離れになるわけで、どうなる?って思わせてからのあのラスト。「そういうことね!」って全部が繋がるのが気持ちよかった。
ちょっと時間は長めですが、いろんな曲、いろんなエピソードでボリュームはたっぷり。お話自体は割と素直ではありますが、「人生に立ち向かいながら生きていく」という誰もが共感しやすいテーマでどのキャラも好きになること間違いなしの作品。エンタメとしてもドラマとしても面白かったです。ミュージカルシーンがこれでもかって出てくるので苦手な人はあれだろうけど(笑)どんな人にもおすすめしたい映画。
ほんと、最初の曲でやられると思います。
気づいたらあなたもリズムとってる。
Netflixにて吹き替え版で視聴。
WOWOWでも今年の1月に放送されて録画できたので、Blu-rayにダビングして残しておきます。
イン・ザ・ハイツ
動画はこちら
https://amzn.to/3ygSO9v
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