アイ・フィール・プリティ / 外見にコンプレックスを持つヒロインが、スポーツジムで頭を打ったことで自分が美人に変身したと勘違い。見た目はそのままなのに、性格も前向きになっていき。全てのひとへエールを送るロマンティックコメディ。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2020年03月06日 19:00

アイ・フィール・プリティ / 外見にコンプレックスを持つヒロインが、スポーツジムで頭を打ったことで自分が美人に変身したと勘違い。見た目はそのままなのに、性格も前向きになっていき。全てのひとへエールを送るロマンティックコメディ。

『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』などのエイミー・シューマー主演。
外見にコンプレックスを持っていたぽっちゃり女子のレネー。痩せようと通いだしたスポーツジムでバイクを漕いでいるときに転倒してしまうが、目が覚めた彼女はなんと超美人に変身していた！と、思ったのは本人だけで何の変化も起きてないのだが、鏡を見ようが写真に写ろうが、自分の姿が変わってると認識してしまうようで性格はどんどん前向きになり、仕事に恋に突き進んでいくのだが……。
見た目なんて関係ない、とエールをくれる傑作ロマコメ。

日本語吹き替えに渡辺直美。
あらすじ
自分のルックスに引け目を感じていて、何事にも消極的なレネー(エイミー・シューマー)は、自分を変えるためにジムに通い始める。だが、ジムで頭を打って意識を失ってしまう。目覚めたとき、なぜか彼女は自分が超美人に変身したと思い込み、性格も前向きに変わっていた。(シネマ・トゥデイ)

あらすじを調べた際、Yahoo!映画の解説にて「愛しのローズマリー」の名前が上がってるのを見ましたが、たしかにあの作品と似てますね。催眠術により、実際は太っているのに超美人に見えてしまうというお話なのですが(性格の良さに比例)、この作品では本人の自分に対する見え方が変わるので笑いとしては似ていても、より「自己肯定」という面がプラスされて違う魅力があったと思います。

映画終盤にも絡んできますが、「見た目がいい方が素晴らしい」という価値観に一番囚われてるのは主人公のレネー自身だっていうのは序盤から感じさせられます。もちろん彼女が全面的に悪いわけでもなくて、劇中で描写される「外見による差別、扱いの違い」を見ているとそういう風になるのもしょうがないですし、現実問題としてそういう風潮はゼロにはできないですし。そしてその大前提があるからこそ「ぽっちゃりなのに美人だと振る舞ってる」という滑稽さがユーモア、ギャグとして成立しちゃうわけで。ニヤニヤはしましたけど、途中から若干そういうこと気になってしまいました。

でもそれ以上に「自信たっぷりでどんどん突き進むレネー」の姿はシンプルにカッコ良くて、勘違いがきっかけとはいえあそこまであんな風にふるのはとても憧れます。多分元からすごい性格が良くて賢いタイプだからこそなんでしょうけど、人気者になっっていく様子はこっちまで嬉しくなります。彼女を抜擢した社長も声がコンプレックスだったり自信がなさげだったんですけど、いい影響を受けて頑張っていくのも良かった。ちなみに普段は強い女性を多く担当する園崎未恵さんが子供っぽい声で吹き替えをされていて演技の幅の広さにびっくりします。

ラブロマンス要素としては「グイグイくる彼女に軽く引く」というギャグを入れつつも、いつも心に余裕を持って自分の魅力を信じてる彼女に惹かれていく気持ちも分かります。催眠術も勘違いも関係なく、見た目とは関係なく彼女の人柄に惚れ込んだわけですから、作品のテーマ的にはこういう人がもっと増えればいいよね、って感じがします。一応、社長の兄グラントともいい感じになりますが変なドロドロに発展するわけではないのでご安心を。

立場が変わっていく中でこれまで虐げられたのを取り返すがごとくどんどん自信過剰になって、友を失いかけたりと順調だったはずが下がってしまい、そこに輪をかけるように、ついに彼女の勘違いがとけてしまいます。「え、実際は変身してなかったの？」とこれまでを思い出して塞ぎ込むところほんと辛かったし、黒歴史思い出して枕に顔突っ込んでバタバタするあれですよね、ってとても共感しました。でも最終的には周囲の反応を思い出し、「この見た目の私でも」と考えを改める。そしてあのスピーチ。
先にも触れましたが、レネー自身がやっと価値観の呪縛から解放されるラストはほんとに感動的で、単純に太ってるとか美形ではないとか、(もちろん女性に限った話ではなく)そういうことに囚われずに魅力的なんだ！ってエールをもらった気持ちです。背景に映る写真もとても良くて、最後の最後に一番ジーンとさせられます。

冒頭で書いた通り主演の吹き替えが渡辺直美さんなんですけど、彼女もまた体型関係なく活躍されてる人なのでぴったりの配役だったなあと。過去にも何度かやられてますし、今回も聞き辛さはなかったです。アマプラで吹き替え版で視聴しました。

字幕版ですが、3/8(日)夜21時よりスターチャンネルで無料放送されますので、BS環境がある方はぜひ。

2020年3月現在、字幕、吹き替えともにAmazonプライム会員は無料対象です。