ウィル・フェレルの「俺たちシリーズ」最新作は、『タラテガ・ナイト』や『俺たちステップ・ブラザーズ』で共演したジョン・C・ライリーとの名コンビの復活、しかもバディものの代名詞の一つのホームズ&ワトソンを題材にして今回もふざけまくります。イギリス女王までネタに。
第39回ゴールデンラズベリー賞で4冠という名誉に恥じぬおバカムービーです。
名探偵のシャーロックホームズは数々の難事件を解決してきたが、ついに宿敵モリアーティの罠を看破し、彼は国外へ逃亡。喜びも束の間、それまでの功績を讃えらえた席にて女王の殺害予告が届けられ、迫る期限までに解決しようと二人は奔走。アメリカからきた女性医師らを巻き込み、物語は意外な展開へ。
主演二人の他、レベッカ・ホール、ローレン・ラプカスら共演。ちょい役でヒュー・ローリーも。
あらすじ
名探偵として名声を欲しいままにしていたホームズとワトソン。そんなホームズは自身のサプライズ誕生日パーティーにて偶然モリアーティ教授からの脅迫状を発見する。そこには女王の殺害予告が書かれていて…プロレスラーとの突然の決闘や女王の殺害未遂を乗り越えながら、天才的なひらめきで彼らはこの難事件を解決できるのか?(ソニー・ピクチャーズHPより)
先に触れましたが、最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞にて6部門にノミネートされ、最低作品賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最低リメイク・パクリ・続編映画賞と4つ受賞したというこれまたすごい作品ですが、「俺たちシリーズ」(邦題を勝手につけてるだけで単にウィルフェレルが出てるかどうかしか共通点はない)はどういう映画か知ってれば自ずと予測もつくわけで。その期待を裏切らないおバカさでした。
映画でありがちな「最初に偉人のそれっぽい格言を表示する」ってやつがハンナモンタナ(ティーン向けドラマ)からの引用だった時点で結構笑ったんですけど、そこから二人の出会いを少し触れた後は新聞記事の連打でこれまでの経緯をザーッと流しちゃうのもなかなかうまいと思いましたね。まあホームズがどんなに名探偵なのかはわざわざ説明入れる必要ないとは思いますけど。
今回そのシャーロックという、もう何度映像化されたかわからないキャラクターを持ってきてるわけですから当然そのギャップというかいかにぶっ飛んだ人物に描くかってところなんですが、僕が麻痺しちゃってるのか、いつものウィルフェレル主演作のキャラって感じ。僕は吹き替え版で視聴しましたが、明らかにイギリス発音を(多少小馬鹿にしながら)強調してるし、意外なことに頭の中に観察したことや物理などの数式がうかんでシュミレーションするあの演出まで出てきて、一応シャーロックぽさは出してきてます。特にカンバーバッチ版をパロってるかな。ただそのシュミレーションが立小便するときの放物線だったり、屈強な男と戦う時に予想と全然違うことが起きてピンチに、という流れになるのがこの映画ですけども。
まー今回も下品なネタがバンバン出るのでそこもご注意で、特に女性に電報送るシーンは気持ち悪すぎw「深夜のテンション、酔った勢いでのメール(電話)して翌朝はげしく後悔する」って現代のあるあるも、当時からあったのかなと考えちゃいますね。あとは死体が苦手なホームズが何度もゲロを吐くところもちょっとしつこい(笑 でもそれ以上にすごいのはブラックジョーク。今回イギリス女王が出てくるんですが、すごい目にあっちゃいます。予告動画で自撮り(この時代にあるのか、というシュールギャグ)した後に事故が怒り、一度は死んだと思って証拠隠滅まではかる。「トイレに流そう」とノコギリ持ち出すのとか大丈夫なんだろうかと心配になってしまいます。他にも赤くて「イギリスを偉大に」なんてトランプ大統領をパロったり、女性の医者という事実に驚いたり(男性の3割のお給料を貰ってると誇るシーンまで)、例によって人種差別的発言もちらほら。
個人的には玉ねぎをまるでリンゴのように丸齧りっていう流れはわざわざ2回も出すようなことかな、とあまり反応できなかったです。
ストーリー展開としては見る前に予測してた「天才のふりして間抜けなホームズだから彼の推理がことごとく外れて」というパターンではなく、おバカな方法なものの少しずつ殺害予告犯人の手がかりが見えてきて、最後には大勢の命を救うという、事実だけ見ると探偵モノとしてはそこまで変なものじゃなかったのですが、そこプラスアルファでホームズとワトソンの関係(あくまで助手という格下扱い)の変化を織り交ぜたり、ヒロイン二人とそれぞれラブロマンスめいた要素を入れたりと工夫は見られました。大事なことに気がついた時に突然歌い出してミュージカルシーンが始まるのですが、映画のなかで1番のインパクトなのでぜひそこだけでも見て欲しいと思うくらい。ギャグですけど、本人たちは大真面目にやってるからこそ笑えます。
しかし無事に事件解決しても、タイタニック号は……。という悲しい未来が待ってるのがなんとも言えない。ヒロインたちも乗ってますからね、あれ。これも笑うところか正直微妙でした。わざわざ映画キャストであるビリー・ゼイン出してまで(汗)この手のブラックコメディはこういうのがちょいちょいありますよね。障害者ネタとかいまだに笑えない。
ただ映画全体の流れとしては二人でおバカやって一度は亀裂が入りつつも、確実にホームズとワトソンの関係性は変わっていて、ラストの表札のシーンに繋がってくのは良かったと思います。あくまでバディものとして形になってた。
そうそう、ドクターハウスでお馴染みのヒューローリーが兄マイクロフト役で出てきます。ホームズとはテレパシーで会話という斜め上キャラでしたが、ワトソンがつて来れなくてカタコトになってるの笑った。よくこの映画出たな。
ということで明らかに人を選び、不快にすらなる恐れはありますが俺たちシリーズを見てきてる人にはいつものがまた出たよって紹介できる映画。お下品、ブラックに耐性がある方はどうぞ。
Netflixで吹き替え版を視聴。ミュージカルシーンはオリジナルの音声でした。
DVD未発売、レンタルか、各種動画サイトのみ のようです
俺たちホームズ&ワトソン (吹替版)
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