幕府から一方的に半まるごとの引っ越しを強いられる「国替え」。姫路藩主の松平直矩は豊後・日田 (九州)への移動を命じられるが、前回もろもろを差配した名人はすでに亡くなっており、書庫番としていつも本ばかり読んでいる片桐春之介が「引っ越し奉行」として選ばれる。人なし、金なし、経験なしの中で、あらゆる知恵や人の助けを借りて準備は進み、少しずつ希望が見えてくるのだが……。
高橋一生、濱田岳、高畑充希、及川光博、山内圭哉ら共演。
あらすじ
姫路藩主の松平直矩は、幕府から豊後・日田への国替えを命じられ、度重なる国替えで財政が困窮している上に減封と、藩最大のピンチに頭を抱えていた。ある日、人と交わらずにいつも本を読んでいて「かたつむり」と呼ばれている書庫番の片桐春之介(星野源)は、書物好きなら博識だろうと、国替えを仕切る引っ越し奉行に任命される。(シネマ・トゥデイより)
冒頭で触れたとおり、超高速参勤交代の原作者ってことで時代劇でありつつもコミカル要素たっぷりの痛快エンターテイメント作品なのは予想しやすいと思いますが、史実に基づいてるっていうからすごい。今回も理不尽な要求に悪戦苦闘してく可哀想な人達と、それを知恵で持ってなんとか成し遂げてしまうスカッと感で面白おかしく楽しめました。星野源さんはMIU404こそ違いましたが、こういう気弱な役がすごいハマる笑
先に言ってしまうと、移動のシーン、特に船旅なんかは紙芝居っぽい絵で説明されて終わりなので道中で色々っていうよりもそこに至る準備がメイン。もちろん終盤で邪魔されるので旅路の描写が全くないわけけじゃないのですが、どこに力入れるべきかしっかりわかって作ってて潔いなと思いました。きちっと整えちゃばあとはひたすら移動だけですからね。それじゃ映画にならない。
人なし、金なし、経験なしの三重苦は想像以上の障害で、全くの素人である春乃介は前任者、名人の娘に協力を仰ぎます。これがヒロインの高畑さん演じる於蘭(おらん)で、当然彼女に惚れちゃうわけですが、最初「もしかして鷹村(高橋一生)と付き合ってたりしないのか?」と若干不安が。すぐに『なんでわしでなくこいつなのか』ってセリフが出てくるくらいなのでがご安心を笑。あくまでみんなを鼓舞するためにサークルの姫っぽいムーブ(?)してただけで、あのひたむきさに惹かれたからこそあそこまでして助けたわけですからね。序盤から心は決まってた。
その後にも金を借りるために商人に土下座をしたり、基本的に春乃介がものすごい真面目で、まっすぐな人間というのがいいですよね。その思いがあまりにもストレートだし、全員のことを考えてなんとか成功させたいと思うから協力するし、人もついてくる。王道の主人公で見てて気持ちが良かった。金策のためにいわゆる「レイオフ」的な提案しても、最終的にはみんな受け入れてくれたし。あの人たちの物語も結構引っ張りますけど、最後の最後でさらに泣かされました。あっちの面々がどう過ごしていたのか、というのも映画になりそう。
あんまりいうともったいないので伏せますが、意地悪な勘定奉行のコレクションをいかにして処分させたか、のくだりもスカッとしました。なるほど、自分の整理術というか断捨離に応用できるかも?的な。しかも残った一部も後ですごい活用され方するから余計に笑っちゃいます。「見切りました!」って嬉しそうな顔。もちろん春乃介本人も手放す必要があるのは同じで、その解決策も予想の斜め上でびっくりでしたね。精神力が半端ない。
仲間達の活躍もちゃんとあって、昔馴染みの鷹村と情報収集で動いてくれた勘定頭の二人はタイプの違ういいコンビで、主人公と3人で中心メンバーだった。声がデカくていい意味でみんなをまとめあげるし、終盤あたりの邪魔に対する対応は待ってましたとばかりの大暴れ。特に散々伏線として出ていた伝説の槍を使ったバトルは見応えがありました。移動しながら戦うのも映像として楽しいし、「引越しの準備でみんな鍛えられてて強い」って流れが面白かった。劇中で何回も「お引っ越し〜♪」的なテーマソングとともに鍛錬のシーンありましたけど、こんな形で成果が出るとは。超高速参勤交代では「下に〜、おれ!」って言葉が印象に残ってますが、今回この歌が脳にこびりつきそう。
いい人と悪い人の区別が割とはっきりしてて、悪者がきちんと成敗されるところも良かった。色んな意味で全部が解決するまでにこれまた予想以上の時が流れましたけど、その分あの「ただいま」はとても胸を打ちました。タイトルから感じた方向性の、とても爽やかなハッピーエンド。王ススメです。
Netflixにて視聴。21年5月現在、アマプラでも見放題対象です。
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