ドリーム(2016) / 人種差別が横行する60年台のアメリカ。宇宙開発の分野で活躍した黒人女性3人の功績、真実の物語をのタラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイらで実写化。

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1962年、アメリカ人として初の地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレン。その成功の影には、NASAの3人の黒人女性スタッフの努力の成果があった。ノンフィクション作品「Hidden Figures」を原作に、知られざる実話をタラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイで実写化。
NASAのラングレー研究所にて計算係として働き、プライベートでも中の良かった3人の黒人女性。特に数学の才能に秀でていたキャサリンは宇宙特別研究本部に抜擢され、またエンジニア希望のメアリーは技術部へ。そしてドロシーは管理職への昇進を希望していた。当時の人種差別や偏見は酷く、彼女たちはそれらと戦いながらそれぞれの立場で才能を開花させていく。
劇中何度も胸を打たれ、考えされられる感動作。
あらすじ
1960年代の初め、ソ連との宇宙開発競争で遅れを取っていたアメリカは、国家の威信をかけて有人宇宙飛行計画に乗り出す。NASAのキャサリン・G・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、メアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)は、差別や偏見と闘いながら、宇宙飛行士ジョン・グレンの地球周回軌道飛行を成功させるため奔走する。(シネマ・トゥデイより)


一番メインとなるキャサリン役のタラジ・P・ヘンソンといえば個人的にはドラマ「パーソンオブインターレスト」の"刑事さん"なので、同じ浅野まゆみさん吹き替えで懐かしかったですし、虐げられている状況でも絶対に負けてたまるかって言う強い意志を感じる演技がぴったり。時代が時代とはいえあまりの差別に胸糞悪くなる前半を超えて、彼女の才能がきちんと認められてまた活躍していく姿にとてもスカッとさせられました。

これまた海外ドラマ「ビッグバンセオリー」のシェルドンのイメージが強い(これは全世界中でもそうだと思います)ジム・パーソンズがポールというキャサリンの宇宙特別研究本部(STG)での同僚を演じてますが、彼女を明らかに差別していて、二重チェックの際もかなりデータを黒塗りして渡す意地悪っぷり(実際機密事項だから仕方ない面もあったのでしょうけど)。提出書類の署名を書くのを嫌がったり、会議に参加させることにも反対してました。そんな彼が最終的にどうなるかって言うのもこの映画のスカッとポイントなんですけどね。

他の映画、ドラマで見かけるので知っていましたが、この時代は大抵「白人専用」と「それ以外」と言う風に分かれていて、キャサリンが共用のコーヒーポットを使ったら、次の日から「有色人種用」が用意されてたのは、こんな天才の集まりでもそれかよってガッカリ。そして何より象徴的なのはトイレで、彼女が抜擢されたSTGの入ってる棟には有色人種用のトイレがなく、ものすごい時間かけて別の建物まで移動させられるのです。いよいよ痺れを切らしてきたときに、やっと上司であるケヴィンコスナー(演じるアル)が不審がった事で一気に現状を訴えることができましたけど、前述の通り見てるのが辛くなりました。そこで彼がとった行動がカッコ良くてですね、トイレにある看板を叩き壊し、「NASAでは全員が同じ色だ!」って叫んだシーンは泣きそうでした。

しかも残りの二人にもそれぞれちゃんとスポットがあたり、それぞれの戦いを描いてくのが良いんですよね。どのキャラクターにも感情移入しちゃう。予告動画だと若干わかりにくいかもですが、「白人男性だったらエンジニアになりたいか」と言う質問に対して「もしそうだったらとっくになっています」と答えるメアリー。能力を理解している人もいるのに、規程の学歴がないからとなかなかエンジニアになれないのですが、その必要な学位をとるために入学許可をもらう時のセリフがカッコ良かったんですよね。この映画は「アメリカ人初の偉業(がなされるかどうか)」と、成功の影にあるスタッフの頑張りをメインにしてる訳ですが、「史上初」をああ言う風に利用するとは。そしてこれも彼女のセリフだったと思うのですが、「NASAが女性を雇ってるのはスカートを履いてるからじゃない、メガネをかけているからだ」ってセリフもとても印象的。

ドロシーは最初こそ他の二人に遅れをとるというか、昇進を断られ、またキルスティンダンストが演じるヴィヴィアンからも冷たい態度を取られています。ただマーキュリー計画のためにIBM(ものすごく乱暴にいえばコンピュータです)が導入されることを察知した彼女は黙々と勉強に励み、最終的にはスタッフに名指しで協力を頼まれるほどの知識を、それも自分だけでなく他の計算係にもつけてしまいます。ここもめちゃくちゃ気持ち良かったです。努力だけで偏見とか差別とか打ち負かしちゃった。ヴィヴィアンに「別に差別してる訳じゃないのよ」って言われた時の、「あなたがそうじゃないって思い込もうとしてるのはわかります」って毅然と返すシーンもお気に入り。強いなー。この二人も映画終盤での関係の変化をお楽しみに。

そんな映画が終わりに向かうと今度は無事に宇宙にとび、そして帰ってこれるかのハラハラ要素も追加される訳ですが、この飛行士ジョングレンがとても良いやつなので素直に応援できるのも良かったですね。キャサリンの計算のお墨付きなら信じて飛ぶ、とかセリフがイケメンすぎるだろうと。もう一人のメインキャラ、マハーシャラ・アリ演じるキャサリンと恋人となる男もこれまた全身から優しさが溢れてる良い男っぷりで、ロマンティックとは少し違いますが、もう100点満点って感じのプロポーズシーンは胸を打たれるのでそこもご注目ください。

逆境に負けない強さだったり、才能が開花してく姿、そして無事に計画が成功するか否かなどいろいろな要素を含みつつ、感動的なヒューマンドラマとしてものすごい傑作。アカデミー賞も複数ノミネートされていて、期待値も高かったのに、それを越える素晴らしい映画でした。人種というわかりやすい物だけではなく、差別や偏見に晒されている人を思ったり、また自分は無意識に何かをしてはいないかも考えさせられましたしね。どんな人にもオススメできる1本。

スターチャンネルにて吹き替え版を録画、視聴。(18年の夏に録画)

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