ヘルボーイ( 2019) / 過去2度映画化された人気アメコミをリブート実写化。異形のヒーローが目覚めつつある悪の女王の野望を打ち砕くために仲間とともに立ち上がる。彼の知られざる運命とは。

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デルトロ監督によって過去2作作られた「ヘルボーイ」を、スタッフキャストを一新、さらには原作者であるマイク・ミニョーラも製作総指揮として参加したダークファンタジー作品。主演はデヴィッド・ハーバー(ストレンジャー・シングス)。
地獄で生まれ、人間の子供として育ったヘルボーイ。超常現象調査防衛局のメンバーとして父と共に働いていたが、巷ではかつて倒されその体をバラバラに封印されたはずの悪の女王が復活しつつあった。旧友と再会し、別の部署と連携して野望を阻止しようとするが、そこで自分の運命を知ることになり……。
ミラ・ジョヴォヴィッチがヴィランを務めるほか、イアン・マクシェーン、サッシャ・レイン、ダニエル・デイ・キム(HAWAII FIVE-0)、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ソフィー・オコネドー(ラチェッド)ら共演。
あらすじ
超常現象調査防衛局“B.P.R.D.”のエージェントであるヘルボーイ(デヴィッド・ハーバー)は、イギリスで暴れ回る巨人退治の指令を受ける。暗黒時代に封印されたブラッドクイーン(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が1,500年の時を超えて眠りから覚めたことを知ったヘルボーイと、霊媒能力を持つ少女アリス(サッシャ・レイン)、ベン・ダイミョウ少佐(ダニエル・デイ・キム)らは、ブラッドクイーンに接近する。(シネマ・トゥデイより)


すでに触れたとおりヘルボーイは過去二回実写映画になってますが、1作目に至っては2004年とかなり前。今でこそアベンジャーズなどアメコミ映画がヒットするのは当たり前ですが、デルトロ監督の世界観でとても面白かったのを覚えています。いわゆるリブートという位置付けの今作はそこから少し毛色を変えて、かなりテンション高く、ノリノリでド派手バトルを繰り広げるダークヒーローものとして違う面白さが出ています。R15+作品なのでグロさも結構なレベル。悪魔や化け物だけでなく人間の被害者たちも結構エグいやられ方するのでそこだけはご注意ください。

全体的な流れとしては、アーサーに封印されたはずの悪の女王ニムエが復活する兆しがあったり、その影響なのか巨人が暴れ回るという事態を受けてエージェントのヘルボーイが解決するために奔走していくというもの。そこでイギリスの合同作戦となってベン少佐や、ヘルボーイと縁のある霊能力者アリスら仲間とともに戦いながら、彼自身の出生の秘密や、待ち受ける運命が描かれていきます。

僕自身も過去2作の内容がおぼろげになっていたのですが、彼の所属や(育ての)父親との関係など劇中で全部説明してくれるので予備情報一才なくても楽しめるのがいいですし、かといって冗長すぎなく、逆恨みして襲ってくる豚人間が出てくれば「こういう出来事があった」と回想が出たりするのみでテンポ良く進んでいくちょうど良いバランスだったと思います。登場人物もメインとなるのは上で紹介した人たち+数名にだけに絞ってますし、ものすごく分かりやすいです。「復活しちゃうよー」「阻止する」「だめそう。これを使え」「でも使うと……」という具合。

秘密裏に化け物に対抗してた歴史ある組織、だとか、ヘルボーイを呼び出したのはあの国の実験、とか適度に現実とリンクさせて『そうだったら面白いかも』と思わせるのも良かったですし、主役が強すぎないことも共感しやすくて良かった。パパって呼び方が若干笑いそうになってしまうんですが、人間ではない自分が人のために頑張って、不意に出生の経緯と、衝撃の運命を知ってしまう。どうすりゃいいんだよってもがいてる感じが好きです。基本的に口が悪いってのもいい味出してます。

最初からヘルボーイを快く思わなかった少佐、彼もまた秘密がありそうな気配ビンビンでしたが、終盤あたりにそれがわかってあのバトルシーンもなかなか良かった。考えてみたらすごい組み合わせなんですが、見てると違和感なくなっちゃう。一度はあんなことまで考えてたのに最後は認めていくってのは王道ですがグッときましたね。

デザインも全体的にポップでとっつき安いものでしたし、適度な気色悪さ、異形感が出ていて好きでした。特にバーバヤーガはそれだけでホラー映画の主役になれるような、夢に出てきそうなインパクトでしたし、バイオハザードのイメージが強いもののミラジョボビッチ扮するニムエの冷たい美しさとか好きです。普段はツノを削ってるヘルボーイが能力を全開にするビジョンも最強、いや最凶の悪魔って雰囲気でかっこいいし。終盤に出てくる大量のモンスターも禍々しいので(かなりグロいけど)お楽しみに。

1本の映画としてもまとまっているし、新シリーズ1作目の導入としても入り込みやすい作品でした。エンディング映像では3つも続編に繋がりそうな要素を出してて期待値が高まるんですが、どうやら興行収入的に想定してたほどヒットしなかったようで、残念ながらのぞみは薄そう。はちゃめちゃな悪魔が大暴れするのをかなりのクオリティで見せてくれるので個人的には満足してますし、過去2作とはまた違うヘルボーイとして、一件の価値ありだと思います。

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