『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞した佐藤正午による同名ベストセラー(山田風太郎賞受賞)を、藤原竜也主演で実写映画化。自分の実体験をもとに作品を書いてる疑惑のある小説家、津田。偽札、一家失踪。裏社会を仕切る男。いくもの要素が絡み合う中で、小説の主人公に待ち受ける運命は。そしてどこまでがフィクションなのか……。
直木賞を取るほどの実力ある小説家の津田は現在運転手として働いているが、夜遅い喫茶店で一人の男と出会う。程なくして彼とその家族が忽然と姿を消してしまうが、そこには街の影の支配者の存在が見え隠れ。同じくして知人の古本屋店主がなくなり遺産として3千万を手にいいれる津田だが、なんとそれが偽札。やばいものをつかまされたと東京に逃げようとする。小説家である主人公の回想とも、ただの小説とも受け取れる演出で少しずつ明らかになっていく事実。全てがつながり、そして。
風間俊介、豊川悦司、土屋太鳳、西尾七瀬、左津川愛美、岩松了ら共演。
あらすじ
直木賞受賞経験のある作家・津田伸一(藤原竜也)は、担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に執筆途中の新作小説を読ませていた。津田の体験を基にしたという新作に魅了される鳥飼だったが、大量の偽札や一家失踪事件、裏社会のドンといった話を聞くうちに、それが小説の中だけの話とは思えず困惑する。鳥飼は津田の話を頼りに、その新作が本当にフィクションなのか検証していく。(シネマ・トゥデイより)
ちゃんとあらすじというか予告を見ていないまま視聴開始したので「小説に書いたことが本当に起きる」って逆向きに勘違いしてたのですが、すでに説明した通り「小説として発表してるものの、全部実際に起きたことなのでは?」という疑惑がもたれているっていうスタイル。映画自体、主人公の回想が始まったと思いきや、【……という小説を担当編集者が読んでいる】って場面が切り替わるから混乱します。原作本に比べてわかりやすくなってるらしいのですが、いい意味で混乱させられますよね。
だって現実としての小説家津田と、小説の中の主人公の津田がいて、どっちも藤原竜也が演じてやってる訳だから。編集者が疑ってたり、過去にも実体験を作品にして訴えられたりしてるのでほとんどの部分で実話だと思って問題はないんですけど、重要なのはまだ現在進行形で動いているために、どのような結末になるのかがわからない点、さらには「津田が見聞きした事柄を繋いでいくだけでやばい人物のやばい事実に辿り着けてしまう」という部分であり、散りばめられた要素がどうつながっていくのかを見てるこっちも一緒になって考えていく面白さがありました。
どこまでが現実かは抜きにしても、展開していくストーリーそのものも結構ハラハラさせられて。割とダメ人間の津田とその周囲の人間の物語は結構ダークな世界観で面白かったです。特に失踪事件が起きるとある家族はなぁ。一方的に奥さんが性悪でなんとも言えないモヤモヤ。だからこそ夫であり、冒頭で津田が出会う男・秀吉(風間俊介)の良さが際立つんですよ。見た人全員が「幸せになってくれよ」って祈ったと思う。
タイトルの「鳩」にも関連してくる。偽札事件。古本屋店主の元に来る前にどのような経緯を辿ったか、というのも注目ポイントでありこれも予想しながら見る楽しさがありましたし、わかった時の「そう繋がるのか」って気持ちよさ。偶然が重なるとああいう風になるかもな、っていうギリギリのラインがリアルでした。三千万全部がそうなのか?という疑問に対しては一応予想した通り。使い道もなかなかシュールでした。
最終盤もまた「現実か小説か」を活用した演出で、津田のやさしさによる「事実はきっとそうなのだけど、せめて小説くらいは」っていう計らいに胸を打たれます。ハッピーエンドが大好きなので、ここは泣けましたね。しかも最後の最後……。そもそもこの映画自体が、小説家の津田が見聞きしたもの、そしてそこから膨らましたものなんでしょうが、どうせなら救いがある作品にしてほしい。最後に映画タイトルがボーンと出てくるのも良かった。そこに込められた思い。
フワッとしてて自分の解釈が合っていたのかどこか自信を持てない感じもしますが、裏社会のトラブルをのぞき、巻き込まれてしまった小説家の物語としてサスペンスとして面白かったです。
Netflixにて視聴。
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