元バンドマンでレコードショップを経営するフランクと、秀才の娘サム。夏が終われば医大のため街を離れる彼女だったが、予習しているところをちゃかしては親子でのセッションにつき合わせていた。その中でできた楽曲を娘に黙ってネットにアップしたフランク。すると話題になってしまう。すぎていく時間。レコードショップの閉店の決定。楽しいことと、現実の狭間で、人々のやさしさがつながっていく。
トニ・コレット、テッド・ダンソンら共演。
あらすじ
ミュージシャンだったフランク(ニック・オファーマン)は、ブルックリンでレコードショップを営みながら、シングルファーザーとして娘のサム(カーシー・クレモンズ)を育ててきた。この夏でフランクは店をたたみ、サムはロサンゼルスの医大に進学する。あるとき、二人がデジタル音楽配信サービス「Spotify」にアップロードした曲が話題になる。(シネマ・トゥデイより)
思っていたよりも現実的というか、上記あらすじにある通り「ネットでバズって一躍有名人に!」みたいなトントン拍子のシンデレラストーリーではなくて、有線放送でかかったり特別なステージにお呼ばれしたりするくらい。それでも十分にすごいことなんだけど、変に出来すぎてない「そういうこともあるかも」って思わせるラインだから逆にリアリティがある気がしました。
ストーリー展開としても派手さがあるわけではなくて、だけどゆったりと優しい時間が流れているタイプの作品。それでも音楽と、父と娘を中心とした物語がジーンと胸を打ちます。
そもそもタイトルになっている「ハーツビートラウド」の誕生秘話としても、娘が医大の新学期ための予習をしてるのに『親子のセッションの時間だよ!』ってチャチャ入れて無理やり付き合わせていてどっちが子供かわからないくらい。僕の父親も割とああいうタイプなので見ててなんとも言えない気持ちになりました。冗談やおどけることがコミュニケーションだと思ってる(笑)
でも元バンドマンだからギターとかもすごいし、そういう環境下だし、遺伝もあるのかサムがめちゃくちゃ才能ある。ある意味この子の歌声で持ってるような映画なのでね。他の曲も含め、結構な割合で歌唱シーンでてくるのですがどれも好き。恋人への歌も良かったな。親子で歌うからこその感動もあるんですが、エンディングではサム1人だけの歌になっていて、サブタイトルの「たびだちのうた」が余計に胸をしめつけます。
その邦題サブタイトルがなければ「医大をお休みしてしばらくは親子バンドでデビューするのか」っていう可能性もあったんですが、先に否定されているという。でも「親子の思い出」、期間限定だから余計に貴重だし、全力で楽しもうとする2人がグッとくる。特にフランクは店も失ってしまうわけで、ダブルパンチですよね。一気にショボーンってなっちゃうのが辛い。バーの店主は自由気ままに生きてるし、いい感じなってると思った女性には普通に恋人いるしで。こっちに肩入れしてたから色々切なかった。ただまあ八つ当たりしたり、娘に内緒でアップしたりとかこの人も全部褒められたわけじゃないけど。あ、あとは自分の夢を娘に勝手に託そうとしてるのも若干もやっと案件かもね。親子バンド『バンドじゃない』(名前)の成功は、自分自身にとってのリベンジでもあるし。
一方サムとしてもそういう父親を残していくことに対しての辛さがあるから可能な限り付き合う健気があるし、前述との恋人との別れが待っているのも泣ける。母親の死っていうトラウマがあるなかで彼女となら自転車に乗れたことや、勇気づけられる言葉はこっちまで泣けてきそう。大人びてるように感じるけど、まだまだ子供なわけで。それでもこんなに素直に育って、おまけに頭もいいとか素晴らしいなぁって親の立場になって見ちゃっていました。「もしも医大に行かないって言ったらどうする?」とかセリフとかも性格の良さが出てるし、タイタニックの音楽隊を例にして閉店イベントを企画するのも好きでした。
曲作りですが、DTM?というのか、パソコン使ってバンバンやってくのも今時って感じでしたし、打楽器系の音楽がバシバシ響いてすごく気持ちよかったです。劇中のサムの演奏シーンもそうですが、ノリノリで踊れる。タイトルも心臓の鼓動ですけど、色々あるけど今を全力で楽しんでいく、底抜けに明るくしていくオーラがあります。youtubeにMV、それこそ映画の中ででてくるSpotifyにありますのでぜひ。
音楽をテーマにしつつも人生の転換期を迎える父と娘それぞれの物語として感動的なヒューマンドラマですし、とっても明るい気持ちにしてくれる作品でした。ジョンカーニー作品が好きな人に特におすすめ。
スターチャンネルにて吹き替え版で録画、視聴。
ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた [DVD]
動画はこちら
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