「踊る大捜査線」シリーズの脚本などで知られる君塚良一がメガホンをとった、朝の情報バラエティを扱ったコメディ。そこでメインキャスターを務めるベテランの隅田(中井貴一)は、かつては報道畑にいたもののある出来事をきっかけに一切関わらずに来ていた。そんな時喫茶店立てこもり事件が発生。なぜか犯人は隅田とだけ話をすると指定して・・・。
番組制作の裏側や、TV局内の派閥などを見せつつ、キャスター隅田の災難と報道の意味を描いた作品。
長澤まさみ、志田未来、時十三郎、吉田羊ら。
あらすじ
朝のワイドショー「グッドモーニングショー」のメインキャスター澄田真吾（中井貴一）はある日、勝手に付き合っていると思い込むアシスタントの小川圭子（長澤まさみ）から生放送中に自分たちが交際している事実を打ち明けようと言われる。その上プロデューサーの石山聡（時任三郎）から番組の打ち切りを宣告されるなど、散々な展開に落ちこむ。さらに突然起こった立てこもり事件の犯人（濱田岳）からの要求で、澄田が現場で犯人と交渉する羽目になり……。(シネマ・トゥデイより)
基本的には上記あらすじの通り立てこもり事件がメインで、「隅田の長い一日」って感じのお話。そこに父親の仕事をあまり誇らしく思ってない彼の息子だったり、ちょっと優しくしただけで彼と付き合った気になっている女性キャスター(長澤まさみ)が暴露するしないがあったり、そして何より「報道をやめるきっかけになった事件」などの要素を絡めて来て、ボリュームタップリでした。
しかも君塚さんだからなのか、踊るシリーズを彷彿とさせるような、長回しの「TV番組の裏側」がとても印象的。メインとなる人物の後ろの方で、制作スタップや出演者、上層部などが色々やってるのが色々見て取れて面白いんです。例えばどの順番でニュースを流すのかとか、それを報道フロア(?)からもらってきたりとか。ニュースが急遽変わったことでスイーツ紹介コーナーが潰れてしまい、「TV見たお客さんがたくさん来るのを期待してたくさん作っちゃったよ」っていう店長の嘆きがリアルでした。
それに報道とのバチバチも面白かったです。バラエティなんてくだらない、って感じのスタンスなので、それに誇りを持ってるスタッフ(林遣都くん)も負けるもんかっていう意思がカッコ良かった。事件なんだから報道特番をやらせろっていう意見と、メインキャスターの隅田が当事者なんだからバラエティのまま行くぞっていう対立。小型カメラとか無線機とかをやった現地班(大東駿介)とかの頑張りも良かった。
立てこもり犯と対峙して、中継されながらの会話シーンは正直ものすごい緊迫感で。そういう状況だからこそ出て来る本音、心からの叫びみたいなのはやっぱりグッと来ます。そして別のキャスターから告げられる、あの日の真実。これは正直全然予想してなかったので、びっくりでした。
でも単純には説得できず、急遽行われた「TVだからこそできること」これも結構衝撃的でしたし、時任さんの行動がとてもカッコ良かったです。
全てが終わってもやっぱりTVはTVって感じで、隅田の単独インタビューをやるだとか視聴率最優先の日常がまた始まるという感じの締め方なのもいいと思いました。事件が起きても、時間が経てばすごかったね、で終わっちゃうような感じ。それでも家に帰った時のやりとりとか、家族のこととか確実に何かは変わっててて。爽やかに見終われました。
それにしても長澤まさみさんのコメディエンヌっぷりが炸裂してて最高でしたね。「二人は好き同士だってTVで発表しちゃうぞ」みたいなのが本当面白くて、必死に防いでる隅田がおかしくておかしくて。「初のメイン♪」って張り切りつつ、映ってる時はきっちり仕事やってるから余計に面白かったです。予想通りのオチなのも良かった。
Netflixにて視聴。
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