誰よりも頑丈な体を持ち、怪力があるものの、水には弱い男。24のも人格を持ちその中の人は人間を越えた動きができる解離性人格障害者。生まれつき体が弱く、94回も骨折経験があるもハイレベルなIQ・頭脳を持つ男。過去2作品で登場した3人の人物がある施設に収容され、そこで自分たちの能力はただの病気だと聴かされるのだが……。
ブルースウィリス、サミュエルLジャクソン、ジェームズ・マガヴォイらメインキャストのみならず、アニャ・テイラー=ジョイ、スペンサー・トリート・クラークらも同名で続投。
あらすじ
ある施設で、特殊能力を有する3人を対象にした研究が始まる。そこには、悪を察知する力と不死身の体を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)、24種類の人格が同居する多重人格者のケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)、ハイレベルなIQと94回も骨折した繊細な肉体を持つミスター・ガラス(サミュエル・L・ジャクソン)が集まっていた。(シネマ・トゥデイより)
この作品一つでも楽しめる作りにはなっていますが、前述の通り3部作のラストなので、過去2作を見ておくのはほぼ必須というかそうじゃないと色々説明不足に感じるかもしれません。ということでさらっとそれらの核心に触れてしまいますと、
「アンブレイカブル」は列車事故でただ一人の生存者となったデイヴィット(ブルースウィリス)に突然ミスターガラス(サミュエルLジャクソン)が接触してきて、ものすごく繊細な体を持つ自分とは正反対の特性を持つ男がどこかにいると信じててついに見つけた。よくあるコミックのキャラクター(要はアメコミヒーロー)は実は現実にもモデルになった存在がいて、君にも使命がある。悪を倒すんだ。とアドバイス。最初こそ半信半疑でしたが、息子を中心にその事を信じ始めます。最終的に実は彼を見つけ出すためにミスターガラス はわざと大掛かりな事故を起こしてきた極悪人だと判明。ヒーローの対局は悪だろっていうラスト。
「スプリット」はジェームズマガヴォイ扮するスキンヘッドの男が若い女性3人を拉致監禁するもどうも様子がおかしく、被害者たちは不審がるもその原因は彼が24もの人格を持ち、その誰が「照明の前に立つ」かによって雰囲気がガラッと変わるせいだと判明。「ビースト」と恐れる一番凶悪な人格は体つき自体も変化し、まるで獣のように四肢を動かし壁まで走れてしまうのでした。最後まで残ったケイシーの体に虐待の跡があった事でビーストは彼女を逃します。そしてそのニュースをデヴィッドが見ているシーンで終わり(このラストまでアンブレイカブルと同じ世界観だというのは伏せられてました)
デヴィッドは「オーバーシーアー(監視人)」と呼ばれ、レインコートを羽織って正体を隠しながら息子と共に悪を倒し続けており、一方でケヴィン(とその他の人格)は相変わらず女性を拉致監禁し、「群れ」として話題になっていた。悪を察知する能力で監禁場所を突き止め女性たちを解放するも、そこでビーストと直接対決することになり結構なバトルを繰り広げるも決着がつかず、気がつけば警察に取り囲まれ、二人とも施設へ。
そこからメインのストーリーが始まります。予想してたよりも早い段階で特殊能力者たちの戦いが見れたのは嬉しかったですが、基本力持ち同士のバトルって感じで昨今のアメコミ実写版の派手さとはまた別って感じです。この辺も狙ってやってるっぽい。
施設に勤務する女性精神科医エリーから「コミックのモデルだとかいうのは完全に与太話」「怪力が出せるというのは列車事故の影響で脳が損傷した(結果リミッターが外せるようなった?)」「悪を感じ取るのはいわゆるメンタリズムみたいなもの」「ビーストだってぶっちゃけ大した怪力じゃない」「ロッククライマーの動画が沢山あったから壁を登れる」など、これまでの2作でミスターガラス が主張してきた事を完全に否定されるのが面白かったですね。こっちが完全に「どっちなんだろ」って思わされる。
そのミスターガラスは同じ施設にすでに収容されてて、薬の副作用から口もきけないほどになってしまっていました。これもすごく上手い設定でね。その場ですぐには反論しない。ただ彼ほどの頭脳がそんな状態に甘んじてるわけがなく……。
予想通りデヴィッドとケヴィンの直接対決は終盤あたりにもあるんですが、そこもまたそんなに派手なシーンではなくて、そこが逆に「このくらいの人もしかしているのかも」って思わせる絶妙なバランスになってると思うんです。コミックそのままのヒーロー/ヴィランがいたらもっと騒がれちゃうし。
見入っちゃうのはどうやって収容された状態を打破するのかっていう事だったり、前述の「真実はどれ?」っていう問題であったり。女性医師の言葉でデビットやケヴィン(の中の人格)の自信が揺らいでいくのも良かったです。「特殊能力でもなんでもないのでは?」っていう風に。
それぞれのメインキャラの家族的な存在として、デヴィッドの娘、イライジャ(ミスター・ガラス)の母、そしてケイシーが登場。3人とも不当だと思ってなんとか出してあげようと力を合わせようとしますし、前者二人に関しては完全に「ヒーロー/ヴィランの実在」説を信じてますし、ケイシーもコミックを買って色々読むシーンがあったりしました。
というか監禁された被害者なのに、結構ケヴィンびいきで凄いんですよね。多重人格者だから化け物みたいに扱わないでって武装した人々から庇おうとしたり、心から寄り添っていた。すごく優しい子だというのもあるんですが、虐待という共通のことや、前回のがある意味ストックホルム症候群みたいになってるのかなとか考えてしまったり。他二人は文字通りの家族なのに、彼らと同じくらい大事に思って行動してるのがすごかった。
初登場のインパクトがすごかったですが今回もジェームズマガヴォイと吹き替えの内田夕夜さんの人格の演じ分けは素晴らしく、おなじみのパトリシアやヘドウィグといった分かりやすいものから、双子ちゃんまで、びっくりです。そして今回はかなりのシーンで「ビースト」でいることも多く、シャマラン独特のカメラワークによって「モンスターパニック」的な要素としても感じられました。
人があまりいない施設の監視カメラ越しの映像とか、突然照明が消えるとか、そこはやっぱりホラー/サスペンスのシャマランなのでね、緊張感がすごかったです。いつミスターガラス が本性現すのかな、とか。
中盤あたりで判明したとある計画がどう転ぶか楽しみにしてたら違う展開を見せたのでそこも予想を裏切られたのですが、そこからの「真実が語られる」ところはやっぱり鳥肌モノっていうか、そういうことかー!ってとても気持ちよくなります。とある人物の名前に反応してたんですが、その意味も分かりますしね。これどこまで計画して3部作作ってたのやら。
そしてそこだけじゃなくて、最後の最後にもう一捻りあっって、ここも大満足。なるほどこういうオチをつけたのね、って完全に終わったと思って安心してたんで、まだあったのかい!ってビックリ。アンブレイカブル時代はそこまでじゃなかったものの、今これほどまでにアメコミヒーロー作品が流行ってるからこそより意味がある展開というか、すげぇなぁと。
壊れない、分裂、とそれぞれメインキャラの特徴を表したタイトルになってて、これが最後がガラス。確かに3つの中ではミスターガラス の存在感が一番大きくて、納得でした。
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