gifted/ギフテッド / 自殺した妹が残した姪メアリーを引き取って育てているフランク。彼女には天才的な頭脳があるが、ごく普通の生活をさせたいと考えていた。しかしそれを知った実母(メアリーの祖母)は英才教育を受けさせようとして……。

マークウェブ監督がメガホンをとった、天才少女にまつわるヒューマンドラマ。主演はクリス・エヴァンス、マッケンナグレイス。特別な才能のある少女をめぐり、普通の生活をさせたい叔父と英才教育を施したい祖母の間でバトルが勃発。裁判にまでもつれ込む。
フロリダの田舎で姪のメアリーを育てるフランク。彼女は特に数学で類稀なる才能があるのだが、ごく普通の学校で生活させたいと考えていた。しかしずっと疎遠になっていた母=メアリーの祖母にも知られてしまい、しかるべき環境で教育することを強要。そもそも厳しすぎる方針によってメアリーの母やフランクとも確執があったわけで、少女の処遇をめぐって裁判にまで。果たして彼女にとって本当の幸せとは……。
リンゼイ・ダンカン、ジェニー・スレイト、オクタヴィア・スペンサーら共演。
あらすじ
めいで7歳のメアリー(マッケンナ・グレイス)と片目の猫フレッドと共に、フロリダの小さな町で生活している独り身のフランク(クリス・エヴァンス)。平穏に過ごしていた彼らだったが、メアリーにある天才的な能力があることが判明する。フランクは彼女に普通の子供と同じように育ってほしいと願っていたが、彼の母エブリン(リンゼイ・ダンカン)は二人を引き離してメアリーに英才教育を受けさせようとする。(シネマ・トゥデイより)


少し前の作品ですがFOXサーチライトの映画なのもあって23年5月現在サブスク見放題だと「ディズニー+」だけっぽいので、加入中に見ておこうと視聴。「天才少女をめぐる物語」としてはかなり素直なストーリー、ハッピーエンドだったので期待通りの面白さでした。

ただ予想と違ったのは、かなり「周囲の大人」の物語なんですよね。フランクとかその母エブリンとか、ずっと長い間続いてきた確執、親子喧嘩がいまだに尾を引いてて実は最後の最後までそれは相容れない。あくまでメアリーにとっての最良の選択をとってるけど、血縁者みんな仲良しこよし、再び手を取り合って〜って感じではない。そこは凄かった。

そもそも最序盤の暗算の方法のあたりで「これフランクも賢いのでは?」って気がつくようになってますが、この手の「一番の敵は無理解の両親」(『マチルダ』など)とは違う。姪だけどあえて以下娘って表記しますが、娘の才能をきちんと分かった上で、その上で普通の生活をさせたいと願ってるから少し複雑。せっかくの頭脳が埋もれるって校長に言われて『普通の子に引き下げてやってくれ』っていうセリフがとても印象に残りました。彼もまた才能があるが故の苦労があったんでしょうね。過去の経歴もすごかった。

引き下げる、まで言い切るのも少し当てつけというか、イブリンの「自分の夢を娘に、それでもダメなら孫に」ってわかりやすい毒親、毒祖母っぷりも批判できないだろっていう頑なさがフランクにもあって。両者ともになんだかんだ言いながら自分の価値観をメアリーに押し付けてる感も否めない。だからいちばん振り回されちゃってる。シンプルに親としてずっと幸せに暮らしたい、才能を伸ばしたいっていう思いと同時に、ダイアンのような思いをさせてたまるかって気持ちがあるのもとても理解できる。どっちかと言われたら圧倒的にこっちを応援したいんだけど、ずっと一緒だよ→里親へってなったら「嘘つき!」ってメアリーが悲しむのも当然と言えば当然。あとまあ彼の人生だからだけど担任と付き合っちゃうもちょっっとあれだな、と(笑)

それ以上にイブリンがまあすごい悪役なんでね。裁判とかで明らかになっていくダイアンへの仕打ちは「親の愛のカタチ」だと頭では分かってても酷すぎてね。娘は数学ロボットじゃないんですよ、って言いたくなる。恋人とスキー旅行行ったら誘拐扱いとかね。所有物と思ってるのかっていう。そしてそのことに懲りずに同じことをメアリーにもしようとしてるからタチが悪い。数学やあの問題に取り憑かれてる部分もあるし、いわゆる教育ママのような「結果を出すことが幸せにつながる」って思い込んじゃってるんですよね。人生には他にも大切なことがたくさんあるのに。

前述のようにメアリーにとって一番いいのは?っていう方向に落ち着いてハッピーエンドなのですが、そこに至る経緯もなかなかすごかった。まず猫ちゃんが伏線になってイブリンの嘘がわかるのもグッジョブすぎたし(流れで他の猫も増えるの笑らった)キレたフランク明かすダイアンの真実。あれは相当こたえると思う。自殺は絶対にダメだけど、復讐としてあれほど効果的なのってないでしょっていう。あれは予想できなかったなぁ。

そういう大人たちの見たくない争いの中でひたすらメアリーが可愛いのがいい癒しになってます。オリジナルソングもいいし、適度に年相応なのも好き。初日こそちょっと生意気な態度はとっちゃったけど、そのあとわきまえてるのがカッコいい。特に大学で意地悪なテストされたときね。あれめちゃくちゃスカッとしました。心も優しいし、年少者のために立ち上がれるのも偉い。フランクの『育て方は間違ってなかった』は全力で同意します。

天才子供が主役であると同時に、大人たちにスポットが当たっているドラマ。親子でも分かり合えあないこともある。だからこそフランクとメアリーの実子のような絆が余計に尊いし、胸を打つんだろうなと。
爽やかな気持ちで見終われました。D+会員の方、おすすめです。

ディズニープラスにて吹き替え版で視聴。


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