ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 / 銀河のはみ出し者たちからなるヒーローチーム映画、3作目にして完結編。仲間のロケットがピンチになり、救うために世界を変えようとたくらむ巨悪に挑む。今明かされる悲しき過去。

MCU作品32作目、シリーズでもトップレベルにゴキゲンで明るい作風のガーディアンズオブギャラクシーの3作目して、事実上の完結作品。監督はこの作品がマーベル卒業となるジェームズ・ガン。前作からひき続きクリス・プラットやゾーイ・ダルダナらが集結。
アベンジャーズの一員として世界を救い、また一時的に雷神ソーとも行動を共にしていたガーディアンズオブギャラクシー。ノーウェアに身を寄せていた彼らだが、突如としてウォーロックに襲撃され、ロケットが瀕死の渋滞になってしまう。治療を試みるもかつての実験のせいでうまくいかず、特殊な処理を解除するためのパスキーを手に入れるためにとある企業の本拠地へ。実験を指示してた張本人「ハイ・エボリューショナリー」もロケットの脳を欲しがり襲ってくる中で彼らは仲間や銀河のために戦い抜く。
カレン・ギラン、デイヴ・バウティスタ、声の出演としてヴィン・ディーゼルやブラットリークーパー。新キャラとして チュクウディ・イウジやウィル・ポーターらも参加。
あらすじ
かつてアベンジャーズの一員として世界を救ったものの、愛するガモーラ(ゾーイ・サルダナ)を亡くして失意に暮れるスター・ロードことピーター・クイル(クリス・プラット)。そんな彼が率いるガーディアンズの前に、銀河を完璧な世界に作り変えようとたくらむ敵「ハイ・エボリューショナリー」が出現し、アライグマのロケットに命の危機が迫る。ガーディアンズは大切な仲間、そして銀河を救うため、壮絶な戦いに挑む。(シネマ・トゥデイより)


ゴキゲンな音楽と軽妙な会話劇、宇宙を舞台にしたド派手な大冒険とMCU作品としても群を抜いて明るくて特に好きなシリーズなのですが、今回はめちゃくちゃ泣かされました。劇中でもとあるシーンにて「これはあなたの物語」ってセリフが出てきますが、マジでロケットの映画だった。そそもそも公開当時Twitterか何かで、これまでのシリーズはみんなそれぞれのスポットが当たっているって指摘があって身構えていたのです。たしかに「ホリデースペシャル」ではドラッグスとマンティスが大活躍していたので、ラストにようやくロケットの過去がちゃんと描かれていた。乱暴な言い方をすれば実験動物なわけで、なんとなく察していたですけどね。あれはキツイ。

先に悪役のハイ・エボリューショナリーに触れておくと、ほんと許せない神気取り野郎です。動物で実験しまくって、彼の思う理想の世界を作ろうとしてる。特に小物臭がすごいのが、ロケットが実験の問題点を指摘して「穏やかな動物人間」の作成に成功した時の反応。褒めるとか以前に、どうして自分が作ったロケットにそんなことがわかるんだ、ってキレてたんですよね。人間の作ったAIが、人間より賢くなっちゃったような。そういうイラつきもあって「ただの踏み台が」って吐き捨てて仲間もろとも(脳以外)処分しようとしてる。まるで子供のように接して賢くなる姿に喜んでいた時から豹変してて、ロケットからすればめちゃくちゃ悲しかったと思う。

その同じように実験されたカワウソたちがこれまた可愛くてね。単純な見た目もそうなんだけど、まだ子供なのに脳をいじられて痛がってるロケットを助けてくれた優しさ。ウサギちゃんが多脚に改造されて若干クモぽくてアレでしたけど、カタコトなのがいい。だからこそ窮地に落とされてひたすら叫んでる時の絶望感がきつすぎて……。泣きながらロケットだけ命からがら脱出するシーンは一緒になってボロボロ泣いちゃった。

主役映画だけで3本目、インフィニティウォー/エンドゲームやソー4、さらに前述のホリデー特番を経てるからメンバー同士の絆っていうのは今さら言及必要ないほどなんですが、あのネヴュラがかなり一生懸命になってるのはグッときましたし、この次元的には別人であるガモーラが一歩引いて冷静に動いてる中で「危険を顧みず仲間や宇宙のために奮闘する」彼らの良さに染まっていく流れもなかなか感動的だった。ちなみにネヴュラさんの体型がより人間ぽくなってた気がした。

もちろんロケットにスポット当てつつも他のメンバーも見せ場があって、ドラッグスのちょいアホやりつつここぞという時の子供への対応だとか、成長したグルートがめちゃくちゃ頼りになる感じ(クイルと背中合わせのどんぱちシーン過去良すぎ)、あとは後日談にも繋がるけどクイルと家族のこととかね。特に地球そっくりの場所が出てくるから余計に色々考えたんだと思う。さらにはヨンドゥの跡を継いだクラングリンと、出番が増えてたコスモとの「悪い犬」の伏線などなど。脇役たちも光ってた。亡くなった人が幻影としてカメオ出演したり、スタローンもまた出てくれてた。

もう1人の新キャラであるアダム・ウォーロックは最初強すぎていきなりノーウェアとロケットどうなることかと思ったけど、メインヴィランに虐げられてるの見てその後の展開を察しました。これ前回からの「予定より早く生まれた」を引き継いでて強いけど子供っぽい設定だからガーディアンズに影響されていって、最終盤にはものすごい貢献してますからお楽しみに。有名絵画のパロディっぽいw 一緒になって恐る恐るハグしてるの可愛かった。ウィルポーターくん、個人的にナルニアのせいで生意気な子供ってイメージがずっとある。

最初の襲撃、オルゴコープでの調査、カウンターアース、ハイエボリューショナリーの拠点といろんな舞台が出てくるし、ロケットの過去を回想して描きつつも分断されたチームそれぞれの冒険がテンポよく進むので割と長いけど飽きなかったし、過去で一番シリアスだけどユーモアも忘れなてないから疲れなくて良かった。敵に向かって「捻った乳首みたいな顔しやがって」って罵るヒーローはこのチームくらいだよ……。それもでも覚悟決めて横一列に並んであるていく姿は間違いなく「銀河の守護者」でくっそかっこよかった。

何度もバトルシーンありますが、やっぱり見どころは通路みたいなところでチーム全員で乱戦するシーン。最後まで遊んでないもののPS5でゲーム版やったんですがその爽快感が蘇ります。一人ひとりが良さを生かしつつバッタバッタと敵を倒していく。カメラワークも主観になったり魚眼ぽい演出されたりして本当にダイナミック。前編通じて言えるけど音楽のチョイスがセンスあるから余計ノリノリで見てられる。

メタ的なこと言うとジェームズガンが卒業したりガモーラ役のゾーイが契約終了ってことで実質これが完結になるのはわかってましたが、無事に終わった後の展開はなるほどっていう。新しい一歩踏み出していく爽やかさがあって、さみしさを紛らわしてくれました。そこでまたあの曲を流すという心憎いことやるしね。1作目から見てきた人へのサービス。色々と思い出してグッときました。

今回も例によってポストクレジットシーンはあるんですが、他作品とかではないです。例のあのテロップが出てきましたが、あのキャラが地球にいるってことは当然今後のMCUと絡む可能性はあるよね、って感じで完全なお別れじゃないのが良かったです。

もちろん経緯とか分からないとあれだけどガーディアンズオブギャラクシー1.2とアベンジャーズインフィニティウォー/エンドゲームの4作見とけば最悪なんとかなる分、ハードルは低いと思いますのでぜひ最初から彼らの冒険を追体験してみてください。すでに触れたソーラブ&サンダーや、ホリデースペシャルなんかも余裕があれば。

はみ出しもの、だけど宇宙とそこに住む生物たちのためには一肌脱ぐイカした奴ら。これ以上ない大団円でとても気持ちよく見れました。ハンカチの用意を忘れずに。

ディズニー+にて吹き替え版で視聴。

8/2より好評配信中。

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