フォルトゥナの瞳 / 百田尚樹の恋愛小説を、神木隆之介・有村架純主演で実写化。死が近い人間が透けて見えるという能力を持つ主人公は携帯ショップの女性店員を救ったことで付き合うように。幸せな毎日の反面、能力ゆえの苦悩に苛まれるが……。

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永遠のゼロや海賊と呼ばれた男など実写化されている百田尚樹の小説を実写化したファンタジーラブストーリー。もうすぐ死ぬ人間がわかってしまう青年の苦悩と、彼が出会い愛した女性との日々、そして選択を描く。
飛行機事故で家族を亡くすという悲劇に見舞われながらも懸命に生きている青年慎一郎。彼には死が近づいた人間が透けて見えるという特殊な能力があったのだが、携帯ショップの店員の手が透けているのに気がつき行動を起こす。結果として爆発事故に巻き込まれずにすんだ彼女は「救われた」と確信し、二人は少しずつ惹かれあって恋人に。ささやかな幸せが続くが、能力ゆえの悩みも多く……。
志尊淳、DAIGO、松井愛莉、時任三郎、斉藤由貴、北村有起哉ら共演。
あらすじ
幼いころに飛行機事故で家族を亡くした木山慎一郎(神木隆之介)は、仕事一筋に生きてきた。しかし、死が近い人が透けて見えることに気付いた彼は、自らの不思議な力に悩む。ある日、慎一郎は明るく率直な女性・桐生葵(有村架純)と出会い、二人は付き合い始めるが、葵の体が透けてくる。(シネマ・トゥデイより)


もうあらすじとか予告とか見ただけで100%オチがわかってしまうタイプの作品で「死」をテーマにしてるので人を選ぶっていうことは先に断っておきます。だいたいヒロインを救うって見せかけて死期が近いのは主人公の方なんでしょ、知ってるよ、って予防線張りながら見てもかなり切なかったですからね。もちろん泣きましたけど、ハッピーエンドの涙ではないです。

こういう作品は「自分だったらどう行動するか」って考えながらというのも視聴の方法の一つだと思うんですが、死ぬってわかるのって想像以上にきついですよね。誰しもがいつかは旅立つのは頭で分かってるとはいえ、「透けたらそろそろ」って明確にカウントダウンがはじまる。当然自分にとって大事な人だったりしたら何かできないのか、防げないのかって足掻いてしまう気持ちもよくわかります。劇中だと親代わりだった店長さんがその担当なわけですが、死因って色々あるからなぁ。ずっとそばにいるってのが限界ですよね。

あとは「伝えるかどうか」これは映画全体を通しても言えることで、たとえ信じてもらえなくても何か危険があると告げた方がいいのか、それとも黙ってるべきか。他のフィクションとかだと喋れないとかのパターンもありますけど、このフォルトゥナの瞳に関しては【運命を変える】こと自体がタブーとなってるぽいので話しちゃう時点で防ごうとしてるから一緒だと思うんですよね。どうせ変人扱いされるなら言うべきじゃないかなと僕は思います。言わないなら何もしない。
そもそも誰かが病気になったとか、もっと小さいと困ってることでも自分じゃ何もしてやれないってこと多々あると思います。そういう無力感。流石に慎一郎が抱える感覚とはレベルが違いますけど、その「無力感」とか共感できる部分でしたね。

一方で嫌な奴にはあえて教えない、そして自己嫌悪、という流れも非常に人間ぽいし、むちゃくちゃ理解できた。自分が見殺しにしたって彼は思ったけど、そもそも救えたかどうかも分からないんだからあれは仕方ないと思うなぁ。流石にザマアミロとは思わないけど、しょうがないよね、って。その嫌なやつを演じてるのがなんとあのDAIGOさん。ご本人の普段のイメージを含めてこれまでこういうクズ野郎役やってた印象が全くなかったのでびっくりしましたし、とても上手かったので「DAIGOさん、だよな??」と調べちゃったくらいです。
慎一郎が好きだったけどそこまで発展しなかった女性を金の力で奪っていったあと、最低の仕打ちをしてるのでね、あのあたりは相当胸糞悪かったです。

そういう経験があったからこそザ・純愛というのか、葵との日々は見てて微笑ましかったです。もう告白のシーンから良かった。切なかったりファンタジーの要素を一旦忘れて、こういう描写だけ楽しむのもありかもしれません。個人的に主演二人の演技が好きなので、いわゆる陰キャと、天真爛漫系な素直さという組み合わせで似合ってました。
いい話といえば最初いじめてた同僚が改心したエピソードも良かったなぁ。特にクズ野郎とのやり取りの時はカッコよかった。

終盤に向かっていくとよりラストの展開が予想しやすくなっていって、恐る恐る見ていました。結末は書きませんが、「慎太郎が何を目的にしての行動か」が、一応多くの人に伝わるような流れだったのがまあ救いですね。「人知れず世界を救ってた、誰もそのことに気がつかない」じゃあまりにも切なすぎる。
さらに追い討ちをかけるように、最終盤は葵目線で描かれる。ここのモノローグもなんとなく察してた内容で驚きはありませんでしたが、冷静になってよくよく考えると「言えよ」っていう感情が若干湧き上がってきたりもして(苦笑)
まあお互いがお互いを心から愛してた結果、みたいなね。


全員が幸せになって万々歳って終わりはないだろうな、ってのだったり「自己犠牲」って言葉がチラつきだしたのでそういう映画が苦手な人にはおすすめできませんが、人を思う気持ちや純愛など心を揺さぶられる作品なのは間違いないので、泣きたい人はぜひ。

数年前にWOWOWで録画して見れていませんでしたが、21年8月にNetflix、U-NEXTで見放題になったので視聴。

フォルトゥナの瞳 Blu-ray豪華版



フォルトゥナの瞳



フォルトゥナの瞳 (新潮文庫) 文庫 – 2015/11/28


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