ロマンス小説家の母とアメコミ作家の父を持つ少女フローラは自称ひねくれ屋で何事も注意深く観察するのだが、庭で出会ったリスがスーパーパワーを持っていることに気が付き、ユリシーズと名づけて可愛がる。しかしその能力ゆえにさまざまな場所で事件を起こしてしまい、動物管理局から目をつけられることに。組織との攻防と、別居中の良心の問題、母のスランプ、ストレス性視覚障害の隣人などトラブルが増える中、彼女たちの大冒険は続く。
あらすじ
ある日、10歳の少女フローラは掃除機に吸い込まれたリスを助ける。すると、そのリスがスーパーヒーローへと覚醒。
フローラに”ユリシーズ”と名付けられたそのリスは、人間の言葉を理解し、タイプライターで文字を打ち、さらには空を飛ぶ能力を得ていた。
このユリシーズがフローラをはじめ周りの人たちを巻き込んで大騒動を巻き起こす。(SCREEN ONLINEより引用)
『きいてほしいの、あたしのこと -ウィン・ディキシーのいた夏』というデビュー作も実写化されているケイト・ディカミロの児童文学が原作。どうやらケイトもこの作品でカメオ出演しているらしいです。その原作でどこまでアメコミネタが含まれているかわかりませんが、映画版ほんとディズニー製作で正解でしょ、ってくらい小ネタの応酬でしたね。いきなりシルバーサーファーの解説から始まるっていう。好きな人はそれだけで楽しいかも。わかりやすいところで言えば「スーパーヒーロー着地」や「3000回愛してる」あるいはフローラたちの家のベルがキャプテン・アメリカの盾などなど。実在のアメコミキャラ+父親の作品のキャラについて言及されるシーンがたくさんあります。
でもそれ以上に注目すべきはなんと言ってもユリシーズの可愛さ。CGによって本物のリスを動かしてるから一挙一動がめちゃくちゃ可愛いくて、人の言葉を喋るわけでもないから違和感も少なめ。映画全体を通して食べてるシーンが多いのも「スーパーヒーロー」であると同時に「動物なんだな」って実感できて余計に良かった。完璧じゃないところ、手がかかるところが愛らしいという感覚。自分の飼ってるペットがこんな風に意思疎通できたら楽しいだろうな、って思いながら見ていました。
劇中で大抵ヒーローには敵がいるって説明されてますが、今作の宿敵は動物管理局のお兄さん。それが仕事とはいえ、執拗に狙ってくる姿はほんと悪役でした。彼とロマンスになりそうなドーナツ屋店員の「伝染病ですよ」っていう煽りも良くなかったよなーと。過去にリスとの因縁があるらしく、麻酔銃でめっちゃ撃ってきます。射撃が下手という設定なので案の定……あれは映画だから笑ってられるけど、現実の世界では速攻クビになっちゃうはず。もう一つの天敵としてリスにとっても危険な猫も登場するんですが、この二者でも戦いが巻き起こってしまうのは面白かった。ユリシーズが可愛いから、ギャップがすごいことになってる。すごい形相ですよ。
さまざまなトラブルと書きましたが、まず両親は別居中。(特にそのアメコミ作品の中で)大切なことを教えてくれた父親が電化製品店で上司にいびられてるのがちょっと切ないです。あたかもリモコンがあるかのようにコントロールしてくるのマジでうざい(アダムサンドラー映画のオマージュ?)のですが、深夜の清掃で踊ったり、お菓子を使ってPOPアートを作ったりと「どんな環境でも楽しむことを忘れない」タイプのいい人で、子供の教育的にはプラスになってるかなと思いました。奥さんのインタビューでもうまく立てようとしたり、娘の希望を叶えてやろうと奔走したりとよき父親だし。ただ嘘が壊滅的に下手っていうか、お芝居ができないタイプ。 バランス取るために厳しめになってしまったであろう母親の方は最初から「リスなんて〜」ってスタンスでユリシーズの立場が危うくなりますが、度重なるアクシデントが重なってついにブチ切れれられてしまう。これちょっと気持ちわかるんですよね。いくら可愛くても野生の動物連れてきてこっそり飼ってたら「何かあってからじゃ遅い」ってなっちゃう。ユリシーズの特技である【詩】が、こともあろうに彼女の作品だと勘違いされて酷評される流れもかわいそうで、この人には色々同情しました。
もう一人親との関係で悩んでいるウィリアムはどう見ても「デアデビル意識してるだろ」っていうサングラスをかけてて、ストレス性とはいえ視覚障害になったという設定で色々ギャグやるのは若干『笑ってもいいのだろうか』と引いちゃう部分もありましたが、仲間として色々な活躍をしてくれましたし何より目が見えるようなるシーンは予想済みとはいえちょっとグッときました。フローラ、両親、そしてこのウィリアムでチームを組んでて、能力こそないけどたしかにヒーローチームっぽさあって良かったです。協力しあって状況を打破していく。その他にも手助けてしてくれる人いましたしね。
一番重要なユリシーズの能力ですが、飛び立つ時にグッと力入れて準備するところとか細かくてすごく良かったし、後半の間一髪救うシーンを見てるとパワーも結構ありそう。文字を理解してタイプライター使えて、人と意思疎通できて、身体能力もある。ほんと「リスのスーパーヒーロー」というキャッチコピーに偽りなしでした。ハンドル捌きとか、何をしたらいいかわかるっていうのも大きいですよね。力があっても知能がなかったらここまでの働きをしてない。掃除機に吸い込まれたら能力を得た、ってギャグみたいな話ですが、凄かった。
このまま家族でドタバタを続けるって終わりだと思ってたので最終盤の展開はちょっと意外でしたが、描かれない部分で今後もユリシーズの冒険があるかと思うと想像するだけで微笑ましいです。エンディングでいろんなイラストが出てきますが、ジャンクロードバンダムのアレかもあってめちゃくちゃ笑いました。
ディズニー+にて吹き替え版で視聴。
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