ミラベルと魔法だらけの家 / 不思議な魔法の力を持つマドリガル家の子供たち。しかしミラベルだけは何の能力も与えられなかった。家にや魔法の力が弱まっていることを知った彼女は……。ディズニーが送る、ミュージカルシーンいっぱいのCGアニメ。

CGアニメーションで美麗に表現された、ディズニーのミュージカル・ムービー。家そのものや、家族のみんながさまざまな魔法の力を持っている家族で、唯一なんのパワーも与えられなかった主人公が、ピンチを救うために奔走する姿を描く。監督は「ズートピア」のバイロン・ハワードとジャレド・ブッシュ。ブロードウェイ「イン・ザ・ハイツ」などのリン=マヌエル・ミランダが音楽を担当。
コロンビアの奥地。不思議な力によって絶体絶命から救われたアブエラ・アルマ・マドリガルはその力でできた家「カッシーノ」に住み、彼女の子供や孫たちは皆それぞれ違う力を与えられてきた。孫の一人ミラベルだけは例外で何の才能ものなく、そのことに肩身の狭い思いをしていたのだが、家にヒビが入ったり、家族のパワーが弱まったりと不可解なことが起きる。解決するため、姿を消した叔父を探し出そうとするが……。
力を持つもの、持たぬものそれぞれの悩みに切り込みつつも、軽快な音楽と鮮やかな世界観で楽しめるファミリー向け映画。
あらすじ
南米コロンビアの奥地にある、魔法の力を持つ不思議な家。そこに暮らすマドリガル家の子供たちは、“魔法のギフト”を家からプレゼントされるが、ミラベルだけが魔法のギフトをもらえなかった。しかし、家に危険が迫っていることを知った彼女は、家族を守るために行動を起こす。(シネマ・トゥデイより)


アナ雪と別の着眼点で「才能」を描いた作品。僕自身含め、「これといった才能がないんだよな」って思ってる人にこそ刺さる内容だったと思います。あらすじから分かる通り、この映画の主人公ミラベルは家族の中で唯一不思議な力をもらってないので、例えどんなに周りがそのことを責めたりしなくても肩身の狭い思いをするだろうし、自分のせいじゃないのに恥じたりしちゃうと思うんですよね。極端なパターンだと家族全員医者で自分だけ違う、とかレベルの差こそあれ割とありふれた題材だと思います。でも普段はほんとそういう気持ちを表さずに明るく振る舞っているミラベルが健気で、その時点で結構泣きそう。

後半になるにつれ「どうしてあそこまで」ってのが判明するのですが、お前に祖母からのあたりが妙にきつい。マジで劇中で唯一ってくらい嫌な役柄でした。僕はおばあちゃん子で、可愛がってもらった(リメンバーミーで頭おかしいくらい泣いたのは過去に触れたと思います)のであまりの違いにずっとイライラしそうでした。長女でミラベルの上の姉であるイサベラも絵に描いたようなお嬢様でわがままっぽく表現されていますが、まだ可愛く見えるくらい。過去悲惨な目にあったせいで『家を守らなければ』って思いが強すぎちゃった結果なのは頭では理解してるんですが、それにしても実の孫にああいいう態度とれるなんてね。家族だろうがよ。

個人的に一番好きになったのは次女のルイーサで、怪力のパワーの持ち主。この人もまた「才能があるが故の苦悩」を抱えている存在で、スポットを当ててることでこの映画が【魔法の力は持たないけど、家族を救うのはミラベル】という単純なものにさせてないと思います。期待されるし、実際にできてしまうからやっちゃう。だけどルイーサだって一人の人間だし、スーパーマンではない。常にプレッシャーにさらさてるし、怪力がなかったら自分のアイデンティティがないのか?とか考えていく。あまりにもわかりやすい力だから周りはそういうレッテルを貼ってしまうし、本人もそれに合わせて振る舞う。長女もそうですが、魔法に振り回されているってことが見えてくるですよね。表に出さないようにしてても実際魔法の力を羨ましいと思ってたミラベルがそれらを知ることで自分だけ悲劇のヒロインな訳じゃないってわかってくる。魔法も、才能も、いいことばかりじゃない。ミュージカルシーンはかなり多いですが、ルイーサのテーマである「増してくプレシャー」は群を抜いて好きです。

家族の中でよりその感覚が大きいのがもう一人の主人公である未来予知のブルーノ。劇中でも「悪い予言を的中させたら私のせい」って嘆いてますけど、ただそういうビジョンが見えるってだけなのに苦しめられてしまうし、よりによって家の危機を予知しちゃったものだから嫌になって姿をくらましてる。本来は素晴らしい贈り物だったはずが、苦しめるもとになってるのは辛いよね。何より家族から離れなきゃいけないのが。意外な場所で見つかります。家である「カッシーノ」自体が魔法の力を持って自由に動けるのでそれぞれの部屋が能力に合わせて全然違うのが面白かったのですが、このブルーノの部屋もかなり変わってて、そこでちょっとした冒険アドベンチャーぽくなるのもよかったです。ミラベルがたった一人で奔走していく。

家がおかしくなり、さらには能力が暴走し出してどんどん状態が悪化。とんでもない事態になっていきます。そこからの展開はディズニーですので、当然ハッピーエンドに向かっていくのですが前述の「持たないミラベルが」という方向ではなく、家族や仲間のためにって思いの強さは、個人の能力とは関係ないって方向で結構グッときました。これだけネタバレすると一応祖母は改心というかミラベルやブルーノへの対応を変えるんですけどね、遅いよ、と(笑)

いとこの能力のせいで、結構動物たちもたくさん出てくるのですがそのどれもが可愛くてそこも見所の一つだと思います。虎がお気に入り。イサベラの植物も鮮やかだったなぁ。全体的にカラフルな世界観なので見てて楽しい気分になるんですよね。テーマとしてはかなりシリアスなんだけど、そこまで深刻になりすぎてない。お話を理解できない小さい子供でも飽きないと思います。

モアナからは実に4年ぶりとなるディズニーのミュージカルアニメ映画。そういうジャンルが好きな人にも、あまり自分に自信がない人にも特におすすめしたい1本です。


ディズニー+にて吹き替え版で視聴。昨年より見放題配信中です。

ソフト発売は2月18日です。ご注意を。
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