【Netflix映画】エノーラ・ホームズの事件簿 / あのシャーロックホームズの妹を主人公にしたアクションサスペンス。突如消えてしまった母親を探しに出かけけた16歳の少女。道中、とある貴族の青年と出会うが、彼にも危険が迫っていて……。

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ナンシー・スプリンガーによるヤングアダルト小説「エノーラホームズの事件簿」シリーズをミリー・ボビー・ブラウンで実写化。名探偵シャーロックホームズの20歳年下の妹を主人公に、彼女の謎解きや大冒険を描く。
イギリスの16歳の少女エノーラ・ホームズ。ずっと共に暮らしてきた母親が突如行方不明になるも、二人の兄、マイクロフトもシャーロックも積極的に探そうとはせず、それなら自分がなんとかしなければと家に残された手がかりを頼りに母を見つける旅に出ることに。そのさなか貴族の青年と出会うが、彼は何者かに狙われていた。母を追いつつも、彼を助けようとするエノーラ。時に命の危機に瀕死ながらもその大胆さと推理力でどんどん進んでいくが……。
シャーロック役にヘンリー・カヴィル、母親役にヘレナ・ボナム=カーターの他、サム・クラフリンら共演。
あらすじ
1884年、イギリス。16歳の誕生日を迎えたエノーラ・ホームズ(ミリー・ボビー・ブラウン)だが、母親(ヘレナ・ボナム・カーター)が暗号を残して行方不明になる。兄のシャーロック(ヘンリー・カヴィル)とマイクロフト(サム・クラフリン)のもとに預けられるも、母親を捜そうとたった一人でロンドンへ向かう。その途中で貴族の青年(ルイス・パートリッジ)が失踪する事件に出くわしたことから巨大な陰謀に巻き込まれた彼女は、兄譲りの推理力を発揮して立ちはだかる謎と危機を乗り越えようとする。(シネマ・トゥデイより)


これも、もともと劇場公開予定だったのものが、コロナの影響で最終的にNetflixが配信権を獲得したという作品。あとから調べて知ったのですが、2000年代に出版された小説シリーズが原作ということで、作者がコナン・ドイルのキャラを借りて紡いだ物語。なので主人公からしてシャーロックではありません。とはいえ妹をよく描くために間抜けにされてるとかではありませんのでご安心を。この人の推理力、洞察力が垣間見れるシーンもあります。

ストーリー展開としては上記あらすじの通りで、失踪した母を探す途中でであった同年代の貴族のトラブルに巻き込まれ、それも解決してしまおうと奮闘してく流れ。数々の手がかりから母の足跡をたどるし、同様に「なぜ追われているのか」を突き止めようとするところは探偵モノとして面白いです。ただまあ本家シャーロックホームズに比べちゃうと、年相応といいますか、母親が残していたアルファベットを並べ替えたり逆さまにする、あるいは言い換えたりという「暗号」を解いたり、変装して直接貴族の家に乗り込んで情報収集したりと「ガチガチの推理サスペンス」は期待しない方がいいです。もともと少年少女向けの小説ですから。

「冒険譚」という意味ではかなり見応えあって、列車から飛び降りたり、追手と直接戦ったり、終盤はショットガンで狙われたりとかなりのアクションシーンがありますし、列車、ロンドン、母の知り合いの居場所、貴族の家などなどその時々によってさまざまな姿に変装するのでそこも見どころの一つです。ポスターに使われている「淑女」って様相はあくまで自分の年齢を誤魔化すための擬態で、本人的にはそういう窮屈なのは嫌だっていうタイプ。母親とものすごいアグレッシブな日々を過ごしてたみたいですしね。

時代的なものもありますが、それも含めた「女性の立場」というのが物語にガッツリ関わってくるのは映画見るまで予想してなかったことなのでそこも驚きポイント。ヘレナ・ボナム=カーターは『未来を花束にして』という作品出ていますが、それも考慮してのキャスティングだったのか……。なぜ母は姿を消したのか、仲間と何をしてたのか。しかもそれが貴族の一件とも微妙に関係してるっていうね。

前述の通りシャーロックは割とエノーラに理解ある立場にいますが(劇中キャラにそもそも政治とか興味なんでしょって言われてますが)、マイクロフトはかなり頑固者で、彼女にとっては意地悪に描かれています。価値観が凝り固まった、という表現が適切でしょうか。他にも保守的な思想のキャラクターも出てきますし、自分がやりたいことをやりたいようにやって何が悪いんだ、っていうエノーラの天真爛漫さが余計に強調されてましたね。今でこそそれは普通だけど、当時としたら……。

そうそう、映画のかなりのシーンでいわゆる「第4の壁を超える」演出があって、画面のこちらに向かって話しかけてきます。そこもおもしろポイントですし、エノーラに親近感が湧いてきます。一緒になって冒険してる気分になってくる。貴族とともに行動するターンもありますけど、細いいとを手繰り寄せるように、一人で手がかりを元に進んでいくわけですからね、ほとんど見せないけど、心細かったと思います。成長したしもう大丈夫って認められたと言えば聞こえばいいですけど、ある日突然「母に見捨てられた」とも考えられますかね。あとで分かることですが、彼女も目的があって失踪してるんですけど。

全てのピースが繋がり、かなりの危険を経て解決を見せますが、後日談的なエピソードが爽やかで。エノーラ、というよりも女性の自由と強さを感じさせられます。ここでもシャーロックもカッコ良かった。

少女の謎解きサスペンスだけでなく、アクション要素、そして時代的背景と女性の問題なども含んで予想してたのとはまた違った魅力ある作品でした。原作は6巻あるので、もしかしたら続編もあるのかな?羨ましいくらい行動力あって、自由で、強くで、でもどこか年相応。素敵な主人公でとても好きになりました。同時にシャーロック作品もまた見たくなりますし笑

Netflixにて吹き替え版で視聴。
ヘンリー・カヴィルはスーパーマンなどと同じ星野貴紀さんでした。

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