市村正親、石橋杏奈、ユースケ・サンタマリア、宮川大輔、そして舞台版の主演である片桐仁ら共演。
あらすじ
泥棒だった過去を隠し、恋人と幸せに暮らす溶接工員の大貫はじめ(丸山隆平)は、かつての泥棒仲間・則夫に脅され渋々盗みを手伝うことに。絵本作家の豪邸に忍び込むも次々と人に見つかり、出会った人から豪邸の主人、絵本作家、編集者と勘違いされてしまう。泥棒であることを隠すため、はじめは各人物に成り切ってその場をしのごうとするが……。(シネマ・トゥデイより)
詳しく調べずに視聴し始めたのですが、すぐに「これは元々舞台だったのでは」と気づきました。メインとなるストーリーはずっと作家先生の豪邸を舞台に進んでいくので非常に分かりやすいですし、序盤の方のギャグシーンの頻度の高さ的にも、これ会場の笑いが目に浮かぶようでした。「○○ですよね?」「そうですぅ〜」という繰り返しは予想できるからこそのおかしさがあって、アンジャッシュが得意とする「勘違いコント」と同じタイプの面白さ。これを複数の登場人物交えて繰り広げられ、しかも噛み合っちゃうから笑えるんですよ。他の作品でも見たことありますが、奥という苗字なのを、奥さん=妻という好意的な解釈してもらえちゃったり。
それをいつまでもずるずると引っ張られても疲れちゃうと思うんですが、最初に作家先生本人にバレ、そこで綻ぶかと思いきやもうちょっとだけ勘違いが続くという一捻りあった後に「なんとか新作絵本を作れないか」という流れに変わっていくのも面白かった。まるっきり笑いがなくなるわけでもないですが、シリアス要素がだんだん増えてきて、こっちも真剣に見ていく感じ。それに前後する形で編集者や訪問販売員のバックグラウンドも少しですが掘り下げられるので、より感情移入して見られましたし。個人的にユースケさんがやっている販売員が好きですね。劇中でも「空気が読めない」って指摘されてましたけど、絵本のお話考えてる時のムチャクチャ加減にニヤニヤしましたし、あのワッペン(?)の製造工程だとか、母親のとの電話シーンとか泣けました。
そもそもこの映画の主役である「はじめ」が、慎ましい幸せを守ろう、精一杯生きようって真面目に頑張ってるタイプなので応援したくなるんですよね。もちろん侵入したのは悪いことに違いないのですが、恋人に危険を及ぶかもって考えたら、脅されて従ってしまう気持ちも分からなくないです。初めから盗む気もないですし、映画終盤で嘘が明らかになった後自首しようとしますし。そう考えると、1番の代表作の続きが書けなくなってる先生含めて、みんな一生懸命頑張ってる人にスポットを当ててたんだなぁとしみじみ。うまくいかなくて八つ当たりしてるけど、隣の住人(片桐仁)も色々奮闘してましたものね。
そうやっていい感じにチームワークが出来上がってきたところに唯一の悪役(?)である相棒=泥棒の首謀者が満を辞して姿を晒して一気に空気がピリつくのもハラハラしましたし、隣人からのコンボで警察きちゃう流れにはビビる反面笑っちゃいました。ほんとカオス。でも一致団結して乗り越えて、無事に自体が収束しますのでご安心を。そして金庫の中身がさらにグッと来るものでした。これも冒頭で開けずにずっと引っ張ってきた伏線だと思うんですが、予想通り金銭的価値よりもずっと大事なもの。しかも隠されたメッセージに気づいたのが主人公というのも良かった。豪邸での一件が終わって帰宅してからもちょっとしたシーンがあるんですが、ちゃーんと見てくれてる人はいるんだって思えて静かに泣いちゃいました。ほんとこの作品は頑張ってる人に優しい。
ラストシーンでその後のあれこれを示唆するような描写があるんですが、先生の新作に出てくる新キャラがとてもいい顔してて、最後までグッときました。
WOWOWで昨年録画してたのですが、2020年2月現在Amazonでもプライム会員無料対象なので、そちらで視聴。
どんな人にもオススメしたい一本です。
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