ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス / MCU作品28作目、天才魔術師の前に現れた「並行宇宙を行き来する能力」を持つ少女。幻想の息子たちに会いたい母親の暴走によって彼らは窮地に立たされる。古き良きホラーエッセンスがプラスされたヒーローアクション。

アメコミ原作、MCU作品28作目は魔術を扱う元天才外科医のドクター・ストレンジの単独映画第2作。ベネディクト・カンバーバッチ主演で、今度は多次元宇宙(マルチバース)をまたにかけた戦いが繰り広げられる。息子たちに会いたい一心で暴走していくヴィランが手にした禁断の書。スパイダーマン旧3部作()だけでなくホラー作品でもお馴染みのサムライミ監督が彼のエッセンンスを交え、過去作と比べると少し異色な仕上がりに。
元恋人の結婚式に出席し複雑な心境の最中、突然謎の怪物に襲われるストレンジだったが、アメリカチャベスと名乗る少女を追ってきたものであり、コントロールができないものの彼女は複数の並行宇宙(マルチバース)を移動できるパワーを持っていた。魔術師のウォンと共に匿うことにするも、その力を求めて襲撃を受ける。その相手こそアベンジャーズの仲間であるワンダで……。
前作からレイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ベネディクト・ウォンが続投のほか、ワンダ役にエリザベス・オルセン、新キャラとしてソーチー・ゴメスが参加。さらにはサプライズゲストも??
あらすじ
ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、禁断の呪文によって時空をゆがませ、マルチバースの扉を開いてしまう。世界を元通りにするため、彼はスカーレット・ウィッチことワンダ(エリザベス・オルセン)に助けを求めるが、時すでに遅く、恐るべき脅威が人類に迫っていた。そしてその脅威こそがドクター・ストレンジと同じ姿をしたもう一人の自分だった。(シネマ・トゥデイより)


前回スパイダーマンノーウェイホームの時にも書きましたが、残念ながらこの映画も関連作品を見ていないと魅力が半減してしまう作品。全部とは言わないまでもワンダが主人公のドラマシリーズ「ワンダビジョン」を視聴してると今回の敵に対する思い入れがまた変わってしまいますし、他にも色々見てるとサプライズゲストに対してテンション上げることができます。まあ必修じゃないけどね。

上記あらすじが完全にミスリードなんでネタバレしてしまっていいのか悩むところですが、基本的にメインヴィランはワンダ=スカーレットウィッチ。『ワンダビジョン』にて登場した【自分が作り出した理想の家庭の幻、その中に出てきた二人の息子】にまた会いたいがために心を病んでしまい、「あまたある並行宇宙のどこかには彼らと暮らす自分自身がいて、彼女を乗っ取ればまた楽しい暮らしができるんじゃないか」って一念でどんどん暴走していってしまいます。今回登場した新キャラのアメリカ・チャベスがその並行宇宙(マルチバース)を移動できるので、彼女の力がどうしても欲しかったんですね。

町まるごとを自分の理想にしてしまうくらいの強さなのに、そこに持ってきて禁断の書「ダークホールド」まで持ってるから「現実書き換え」能力が半端なくて、魔術での激しい攻撃だけでなくて一瞬で人が消えちゃうとか、あるいは心を操っって自分の味方をさせるとかやりたい放題。反射するものなら移動できるっていう力を使って小さいところから這い出してくるところは完全にホラー映画の化け物でしたね。貞子みたいな感じ。

そもそも最序盤の一つ目のタコ(マーベルの格闘ゲームやってたので懐かしかった。)との戦闘シーンの時点で、これまでのMCUとしては結構異質で、トドメの刺し方もかなりグロいです。冒頭で触れた通り数多くのホラーの監督、制作に名を連ねてきたサム・ライミなのでこっちが本領発揮なのでしょうが、PG12指定だけありますよ。ワンダが強すぎて人間もやられる時はバンバンやられていくし、四肢切断とかも容赦ないです。

サブタイトルにも使われてるだけあってマルチバースはかなり重要な要素で、コントロールできないために矢継ぎ早にいろんな世界を移動しまくるのは映像的にもすごく面白かったし、小ネタとかありそうで見返したい。最終的に辿り着く世界も緑とハイテクの融合っぽい社会で面白かったし、並行宇宙だからこそできるサプライズがすごかった。ネットニュースとかでも散々触れられちゃったし予告にも一瞬写ってしまってるけどね。FOXが傘下になったことでね、X-menがね……。個人的には「WHAT IF?」というアニメ作品も見ろって言われてた理由がわかってそっちの方がびっくりしました。その世界のアベンジャーズ=イルミナティのメンバー、お楽しみに。
ただこれも例によってワンダが強すぎて……。

他にも「三つ目のストレンジ」や「ゾンビのストレンジ」が登場してくるんですが、この辺りは事前予測をかなり裏切る展開になってて、特に後者は面白い伏線回収したなぁと。見た目は悪役そのものなのに、妙にかっこいんですよね。大量の悪霊を背中に纏って翼みたいなってるのダークヒーロー感まんさい。あとここのバトルシーンもすごく見応えあって、音符の使い方がね。ある意味コミカルなんですけど、センスが炸裂してて、大好き。あと今回ストレンジの魔法はモンスターの一部を召喚して何かするっていう戦い方もしてたな。巨大なものを動かすのに毛むくじゃらの腕だけ出てくる、とかやってた。

悪役でありながらワンダは一応アベンジャーズなので、ストレンジやアメリカチャベスの魅力を引き出しつつも、最後はとても切ない終わり方。このシーンは前述の通り「ワンダビジョン」履修済みなほど辛いと思う。幻とはいえ、子供だもんね。当時はビジョンのことばかり考えてたけど、彼らとの別れもそりゃトラウマになるわ、と。動機自体はかなり共感できるタイプのヴィラン。

全体的にCGバンバンで魔法バトルや摩訶不思議な空間で今回もすごくワクワクする映像体験でしたが、僕の環境だけなのか妙に「映像が浮いてる」というか、合成映像だってのが割とわかりやすくてそこだけ気にしないようにするのがちょっとアレでしたね。戦闘シーンとかだともうそういうものだって受け入れちゃうしド迫力なんで平気なんですけど、グリーンバックのセットの中でやってるな、みたいなのが。目が疲れてるとそうなりがちなので、単に僕自身の問題かもしれません。

サムライミ要素といえば自身の作品のオマージュも(ピザパパ)あったりするので、ホラー映画好きも楽しめるかも。散々言ってますがほんと今回は今までのMCUとは毛色が違うんで、ホラーに耐性のない方はご注意を。今youtubeで公開されているモンスターとのバトルシーンだけでも結構グロなんでね。

例によってポストクレジットシーンには今後を示唆するシーンが。新キャラであの名女優さん連れてきちゃったか。とりあえず他のヒーローとの合流より先に単独3作目で事態を解決するお話になるのか。チャベスもさらにパワーアップして再登場してくれるだろうし、期待してます。

思ってた以上にワンダの物語でもあって、いい意味で予想のできない物語。尺の都合でマルチバースというよりかは特定のいくつかしかフューチャーされてないけど、無限の可能性があるとこれからどんなキャラが出てくるのかワクワクできていいですよね。あの人たちが呼べたのは今後のMCUの伏線か、あるいは。
関連作品追ってる人向けの映画ですが、とても面白かったです。

ディズニー+にて吹き替え版で視聴。
6/22より、早くも見放題独占配信中です。サムライミ版スパイダーマンも来たので未視聴の方はそちらもぜひ。「ミズマーベル」も1話ずつ配信、来週からは後半の3話です。

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