国民的ロールプレイングゲーム、ドラゴンクエストシリーズ。その中でも親子の物語として特に人気のあるシリーズ「DQV(5)」を原案に、『Always3丁目の夕陽』や『STAND BY ME ドラえもん』などの山崎貴監督が3DCGとして映像化。父の言葉を頼りに、過酷な冒険を続けるリュカの待ち受ける運命とは。そして予想を裏切る敵の正体とは。ゲームと同じく堀井雄二が原案と監修を手がけ、音楽はすぎやまこういち。
佐藤健、山田孝之、坂口健太郎、波瑠、有村架純、吉田鋼太郎ら豪華キャストが声を担当。
あらすじ
少年リュカは、ゲマが率いる魔物たちにさらわれた母を取り戻すため、父のパパスと共に旅をしていた。旅路の途中で彼らはついにゲマと出くわし、パパスは魔物たちと激しく戦うが、リュカが人質にとられてしまう。反撃できなくなったパパスが息子の目前で失意のうちに命を落としてから10年が過ぎ、故郷に戻ったリュカは父の日記を見つける。(シネマ・トゥデイより)
いやー、公開当時ちょっとした「炎上」といいますか、タイトルの通りラスト10分の展開は期待度が高かっただけにものすごい賛否両論が巻き起こってですね、僕自身も知ってしまったんですが、ついにNetflixで配信開始されたので視聴しました。少なくともちゃんと見ずに何か言うのは違いますからね。ただこのブログの方針としてなるべく物語の核心、ネタバレには触れないというテーマでやってますので、具体的には書きません。どうしても我慢できない人は検索してみてください。
ドラクエのキャラクターやモンスターが3Dにというのは近年のシリーズでは普通ですし、「ドラクエヒーローズ」という、無双シリーズのようなアクションゲームなんかではかなり精巧なモデリングで見てるだけでも楽しいのですが、やはり長時間の映像作品として生き生きと動いてる姿は素晴らしいですね。CGの技術は山崎監督作品のクオリティは説明不要で心配はしていませんでした。ただ予告動画でわかる通り、他の山崎作品に通じるような、彼らしいタッチになっていますね。ゲームのキャラがそのまま出てきた、のとはまた違う印象を受けます。鼻の周りが赤みがかってる、とでも言いますか。(ヒーローズはその辺頑張ってた)
全体的なストーリーとしては尺の都合でカットされたりアレンジされたりしてるものの、ドラクエ5を遊んだ人は懐かしくなるような展開をするのでテンポよく進むこともあって見応えはありました。レベル上げ的なバトル描写は駆け足気味で、映画の山場となるような大型の戦闘だけめっちゃ丁寧に描いてましたね。主人公リュカがバキ系の魔法使ったり、ビアンカの装備がいかづちの杖だったりと、細かい部分も好きです。動画でも映ってますが、特にブオーンはサイズが大きいのもあってゲームでは味わえないダイナミックさがありました。
さらに経験者の中ではよく話題に上がる花嫁選択も盛り込まれていて、リュカがどちらを選ぶのかもお楽しみに。ネタバレとも関係するとある秘密があったりするんですが、一応選ばれなかった方も「立てている」お話になってるので、どちらの派閥もそこまで不快にはならない落とし所だったかなぁと。個人的に僕は今スマホ版のドラクエ5を絶賛プレイ中なんですが、追加キャラのデボラを選んでるので高みの見物って感じでした(?)
5の話を知らない人は結構辛い目に合うのでそこも衝撃でしょうし、そこから反撃に転じたり、家族の絆が繋がっていく流れを映像で体感できるのはシンプルに良い点だと思います。前述の通り適度に映画向けの脚本になってるからちょうどよく感情移入できてる。だから最後の決着シーンでみんなの力を合わせるところなんかはグッときますよ。そこかしこで激しいバトルが繰り広げられてる、っていうのは絵的も映えますしね。
そうそう、山崎作品は「アトラクション的な映像表現」もやるんですが、樽に入ったまま転がるところのスピード感はなかなか楽しかったです。本来だと漂流するんですけどね、ゲーム経験者にしか伝わらないと思いますが、マリアさんのエピソードカットされちゃいました。とはいえリュカとヘンリーの友情はちゃんと描いててくれたので良かったです。
さて、問題はその決着シーンの途中からなんですが、この作品に限らず、相手に「主張」を言わせて、主人公がそれを否定、きちんと倒してハッピーエンドというスタイルは割と見かけるパターンではあるので『何がやりたかったのか』というのは理解はできます。これがまあ賛否の賛の部分だと思うんですが、その内容がね……。そもそもこの映画を見てるほとんどの人がゲーム好きっていうか、8割はドラクエ5経験者じゃないかと思うんですよ、それに対してよくこのやりとりで感動させられると思ったな……とそう考えてしまうし正直ちょっと鼻につく、「そんなの映画に言われなくても」と考えてしまうんですよね。だから炎上したのもだいぶわかっちゃう。無事に倒した後のリュカのセリフ。「このまま故郷に帰ったら旅は終わりだ」から続く言葉も個人的にはちょっとゾワっとしちゃいました。
ロールプレイングゲームってその名の如く役になりきって遊ぶので、どこか「主人公=自分」ってシンクロして遊んでる人も多いと思うんですよね。それがなんか急に現実を突きつけられたようで……。
実際のところの評価は見た人それぞれに判断すれば良いことだと思うんですが、その10分なしに、「単純にストーリーをなぞってシンプルに映像化」しただけでもめちゃくちゃ評価高かったのでは?と感じずにはいられませんでした。前述の通りクオリティ自体はすごく高いし、そこに至るまではちゃんとなぞってたしね。余談ですが主人公の名前ほかについて小説版の作者ともめていてその対応の悪さも作品にケチついちゃってるのもあるっていう。
変な言い方になりますが「あまりドラクエに思い入れのない人の方が楽しめる作品」かも知れません。
ベビーパンサー可愛かったし、作中の名シーンなど見れて普通に感動はしましたけどね。
Netflixで視聴。
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