妻と愛娘と共に豪華な住宅に住み、ボクサーとしてのキャリアも極めた世界チャンプのアドニス・クリード。そんな彼の前に18年ぶりに友人のダミアンが現れる。ずっと服役していてやっと出所したダミアンはアドニスに一方的に恨みを抱えており、半ば脅すようにジムに加入し選手のスパーリング相手に。やがて自身もボクサーとしてデビューしその態度はどんどん横柄になっていく。2人には秘密にしていた過去があるのだが、因縁の相手と決着をつけるため、アドニスは再びリングに上がることに。
ダミアン役にジョナサン・メジャースのほか、テッサ・トンプソン、ウッド・ハリスら共演。
あらすじ
ロッキー・バルボアと亡き父アポロ・クリードの魂を受け継ぎ、世界チャンピオンの座とともに家族も手に入れたアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)。ある日、出所したダミアン・アンダーソン(ジョナサン・メジャース)が、18年ぶりにボクサーとして彼の前に姿を見せる。ある事件で刑務所に入り、全てを失ったダミアンは、アドニスだけでなく彼の愛する者たちにも牙をむく。(シネマ・トゥデイより)
冒頭でも触れた通り今回ロッキー=シルベスタースタローンは出ません。ですが家族のため、そしてサブタイトルが示すように過去との因縁を断ち切るためにリングに上がるという熱さ、スポーツじゃなくて人生の戦いをテーマにしたドラマという意味でもきちんと「イズム」を継承していてとても面白かったです。主演のマイケルが今回監督も担当しているのですが、事前情報では「大好きな日本のアニメに影響された演出」となっていて、良さを活かしつつこれまでにない演出も見られました。
基本的にはあらすじの通りだし割と王道の物語。順風満帆だった主人公のまえに思い出しくない過去、相手が出てきて、それが脅威となっていく。結論から言うとアドニスが「犯罪を犯してその罰から逃げてる」とかではないので安心してください。彼にも非があるので逆恨みっていうのは流石にダミアンが可哀想ですけど、「友のためにできることもあったのにしなかった」という絶妙なラインです。子供だったわけだし、足がすくんじゃうこともある。誰しもが自分が可愛くて大事だから仕方ない部分あるし、アドニスに共感できると思います。一方で当時のダミアンも偉いというか同情しちゃう。でもそれはそれとして今嫌がらせしていい理由にはならないよね。正義か悪かで言えば圧倒的な悪。
今後MCUのメインヴィラン「征服者カーン」としてさらに知名度を上げそうなジョナサン・メジャースが圧倒的に肉体を作ってきてかなり説得力ありますし、失礼な言い方になりますが最強ゴリラって雰囲気あってやばい。その怒りを全てぶつけて破壊してきそうな勢いですからね。現実世界でもビッグマウスだったり乱暴な口調の選手っていますが(パフォーマンスとして)、あまり興味ない人からしたら品性に欠ける、って評されて嫌われちゃうようなボクサー。それでも強いから文句が言えない。
ロッキーお馴染みのトレーニングシーンもガッツリやってくれて、予告動画にあるように航空機を己の筋肉だけで引っ張るのはやばい。ダミアンがある程度出来上がっててチャンプになってから波に乗って強くなる一方で、アドニスはもう半引退状態みたいな感じで全盛期近くまで戻さなきゃいけないからその少しずつ強くなってくのが良かった。最初はジムのスタッフも遠慮してたりしてリアル。そんな2人を同時進行で描くのもまた「試合へ向けての準備段階」って感じで見てるこっちもどんどんボルテージが上がっていく。
1作目に出てきて大好きな言葉「1歩ずつ、1発ずつ、1ラウンドずつ」ってロッキーの教えを口ずさむシーンがあるのも嬉しかった。目の前のことを一つ一つクリアしてくしかないんだよね。たとえ過去から来た因縁が相手だろうと。
当然ラストバトルはめちゃくちゃ盛り上がるんだけど、もう試合とか観客とか抜きにして2人だけの世界ってのをああいう形で表現してくれて、熱いんだけどどこか静寂っぽい、見応えありました。当然アドニスが勝たないと気持ちよくないし結果はわかってるんだけど、それでも一方的な攻撃ではなくて、あくまでボクシングとして、というのがいい。デイムも悪人だけど、そこがどこか憎めないポイント。まあ全てを奪うっていうか引きずり下ろそうとしてるから打ち負かすつもりできてるだろうけどさ。結果が決まった後のやりとりも爽やかでナイス。これもまた「河原で喧嘩したあと親友になる」っていうあるある展開で好き。
良かれと思って手紙を渡さなかった母親とか、秘密を抱える夫によそおうとするビアンカ、癒しの娘メアリーなどアドニスの家族の物語もグッとくるものがあってドラマとしても面白かった。繰り返しになるけどどんな人にも後悔はあるし、思い出してたくない過去がある。特に当時の現場に行ってみて色々フラッシュバックするところとか辛かったよ。よりアドニスの人間性に共感できるつくりでした。
例によってこれ単発で問題なく視聴できますが、一応クリード過去2作をみておくと主人公とその家族により入り込めると思います。ロッキーも名作なので、ぜひ。
アマプラにて吹き替え版で視聴。
23年9月現在、Amazonプライム会員は見放題対象です。

【Amazon.co.jp限定】クリード 過去の逆襲 (4K ULTRA HD&ブルーレイセット)(2枚組)(ミニポスター2枚セット付)[4K ULTRA HD + Blu-ray]
動画はこちら
https://amzn.to/3ZuLDHg
人気ブログランキング参加中。
この記事へのコメント