コンフィデンスマンJP プリンセス編 / 詐欺師を主役にした人気ドラマの劇場版第2作。大富豪が使命した相続人はこれまで誰も姿を見ていない隠し子。世界中の詐欺師が狙う中、ダー子たちも潜り込むことにするが……。

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長澤まさみ、東出昌大、小日向文世主演で2018年に放送、ヒットした信用詐欺師のドラマ「コンフィデンスマンJP」劇場版第2作。世界有数の大富豪、その遺産をめぐり、これまで家族すらその存在を知らなかった彼の隠し子を騙る大勝負が描かれる。SPドラマを含む過去出演者も多数登場。
世界でも有名な富豪、レイモンド・フウ。彼には3人の子供がいたが、遺言書に書かれていたのは隠し子である末の娘ミシェルに全てを継がせるというもの。財産目当てて色々な詐欺師が狙うもすぐに門前払い。ダー子は知人の娘を使いミシェルとその母としてフウ家に潜入することに成功。忠実な執事や子供たちに素性がバレないようにしながら、一攫千金のチャンスを伺うが……。
ビビアン・スー、古川雄大、白濱亜嵐といった新キャストのほか、江口洋介、竹内結子、三浦春馬、広末涼子らも再集結。
あらすじ
世界屈指の大富豪として知られるレイモンド・フウ(北大路欣也)が逝去し、彼の子供たちのブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)が遺産をめぐってにらみ合うが、相続人として発表されたのは所在のわからない隠し子のミシェル・フウだった。すると、10兆円とされるばく大な遺産を狙うため、世界各国から詐欺師たちが集まりミシェルを装う事態になり、信用詐欺師のダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)もフウ家に潜り込む。(シネマ・トゥデイより)


劇中のキャラクターだけでなく、見ている我々までも気持ちよく騙してくれる人気シリーズ。毎回頑張って予測しようとしますが、最終的には裏の裏をかかれて完璧には読めないというのがいつものパターンなんで、そういう期待もしながら見ました。先にバラしておくと今回も最後の最後にネタバラシというか、実はこういうことが起きていたという舞台裏が明かされる構成です。
逆にいうとピンチになっても「どうせ予測済みで、無事に解決するんだろ」ってわかってしまうというデメリットもあるんですけどね(笑)予告編でも江口洋介にやられてたり命の危険とか出てますけど、大丈夫に決まってるよね?とどこか安心して見れてしまう。

さすが劇場版とあって舞台となるのがお金持ち一家、その豪邸や生活ぶりが豪華で、その「自分とは縁のない世界」を除いてるだけでも楽しかった。中盤あたりのメインイベントとして各界の著名人を集めたパーティが開かれる関係で衣装とかも凝っていますし、デヴィ夫人が本人役で出ていたり、宿敵の一人、ジェシー(三浦春馬)や波子(広末涼子)といった過去作品のキャラが再登場するのも嬉しかったですね。特に劇場版「ロマンス編」での顛末を受けてダー子もジェシーも赤星(江口洋介)にバレたらまずいという状況の中必死でダンスを踊るところはめちゃくちゃ笑いました。

フィクションを堪能してるときにあまり現実世界のことを持ち込みたくないですが、三浦さんもスタア役の竹内結子さんもコンフィデンスマンJPではかなり好きなキャラクターだったので続編があってもその姿が見れないと思うと残念でなりません。

関口渚さん演じる新キャラを隠し子ミシェルということにして潜り込むわけですが、ものすごい性格がいい子なので見ていて癒されます。どことなくプリティプリンセスなどのシンデレラストーリー感がありますよね。何も知らなかった子が英才教育を受けて大変身、だけど優しさを失わずに純真な笑顔を振りまく。最初こそ警戒心剥き出しだった兄弟たちもあの素直さには負けちゃうというか、心を開きかけていく。
騙すというのが1番の見どころであると同時に、ちょっといい話っぽい要素があるのもコンフィデンスマンですからね。なるほどこれストレートにお金もらって逃げるというラストじゃないなってのはだんだん分かってきます。

赤星がダー子たちに気がついてからは「彼らは詐欺師だから当然ミシェルも偽物」と感づかれて一気にバレるリスクも上がっていきますし、武力行使に出て儲けを奪われて、最悪命も落としかねない危険な雰囲気もバリバリ出てきます。少ない人数で敵地に乗り込んでる状態なのに、こういう風に別の敵も出てきてさあどうなるどうなるっていうハラハラも面白いですよね。やはり赤星は他のゲストに比べてちょっと扱いが別格なのがわかります。今後も腐れ縁という感じで何度も対決しそう。

そちらがどう解決するかはまあ置いといて、執事に偽ミシェルとバレるのか、あるいは、というメインストーリーの落とし所も予想通りとてもほっこりする話で、それぞれの兄弟が抱えている問題についてもいい方向に行くのが見えるところも爽やかで良かったです。あんまりいうと勿体無いのですが、そこからの怒涛のネタバラシは「なるほど〜」の連続で、コンフィデンスマンJPの魅力が全開でした。
最後の最後に明らかになる事実だけはまったく考えてなかった方向だったので、正直今回もやられたって感じです。ミシェルが本当に娘だった、とか、実はダー子こそが、とか何パターンか考えていたんですけどね。「一番上手だったのは」ってのが最後にわかるの、ぜひお楽しみに。

世界的に有名な一族の嗜みとして、「日本語も話せる」という設定のため、ビビアンスー含め日本語で喋ってくれるのもリアリティがありましたし、日本人離れした顔の古川さんや、チャラい今風の若者っぽい白濱さんもあっていたと思います。豪華共演なので出番自体は少なめなキャストもいましたが、久しぶりに見れたり過去作とのつながりを感じて、改めてこの「コンフィデンスマンJP」という世界観が好きだなぁと思わされました。踊る大捜査線みたい。ていうことは別のキャラのスピンオフとかあっても面白いのかも。

娘のふりをする、といった時の女子高生っぽい姿をはじめ、今回も長澤まさみさんのコメディエンヌっぷりも最高で、ダー子ほんと好きです。お金も大好きだけど、世の中での大事なことを分かってる。今回のコックリも単に利用しただけでなく、かわいそうでほっとけないから仲間にしたんだし。詐欺師だけど憎めない、相変わらず魅力的なキャラでした。

いろんな要素が絡み合って先を予測させない作品が好きな方、自分は騙されないぞという自信がある方にお勧めしたい、最後で目が離せない傑作エンターテイメントでした。何度も触れてる通り過去作品のキャラが多数登場しますのでできれば映画「ロマンス編」くらいは視聴してからがいいと思いますけど、劇中でも解説されるので単体で見ても問題はないです。


アマプラにて視聴。

21年8月下旬現在、プライム会員見放題です。

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コンフィデンスマンJP プリンセス編


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