とある喫茶店にある不思議な現象。それは特定の席に座ると自分が好きな時間に戻れるというものだったが、「店員が入れてくれたコーヒーが冷めるまでの間だけ」「一度起きた出来事は変えられない」などのルールが存在し、またその座席にはいつも先客が座っていた。常連客たちはいつか自分がその力を使ってみたいとチャンスを伺ってきたが……。4人の利用者、4つの物語。「4回泣ける」というキャッチコピーも話題。
有村架純のほか、伊藤健太郎、波留、薬師丸ひろ子、吉田羊、石田ゆりこ、松重豊ら共演。
あらすじ
時田数(有村架純)が働く喫茶店「フニクリフニクラ」には、ある席に座ると自分が望む時間に戻れるという伝説があった。「過去に戻れるのはコーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまう間だけ」といったいくつかのルールがあるが、過去を訪れたい人たちが次々と来店する。 (シネマ・トゥデイより)
先に触れた通りキャッチコピーの時点でああタイムリープするのは4回でそれぞれの物語があるんだなぁってのは予想してた通りでして、どのお話も心にくる内容です。しかも後半に行くにつれてより泣けるっていう。ただ短編集のようにはっきりとぶつ切りになってるわけではなく、それぞれの展開を経て別のお客が、という感じなので影響しあってます。
ルール的に「一度起こったことは変えられない」んですが、過去に戻った人はどのひともすごく晴れやかな顔になるんです。そもそもなぜ過去に戻りたいか、それは当然何か後悔があるからで。短い時間の中で、全部じゃなくてもその心残りをなくすことができた結果として、戻ってきてからの生き方が前向きになるんですよね。
こないだまでやっていた深夜ドラマ『ハイポジ』も似たテーマを扱っていて、最終回でめちゃくちゃ泣かされたんですが、「今ここからの人生」をより良いものにすることができたという意味では過去は変えられないけど自分は明らかに変わることができてる。タイムリープを扱うと大抵は「過去の行動で変わっちゃう」というポイントに重きをおくほうが多いと思うのですが、この作品は先に「変えらえれない」と先手を打ってるおかげでその「これからどうする」によりフォーカスしてるんですよね。まあ起きた悲劇を変えられないっていう別の悲しみもあるんですが……。
もう一つの制約となっている「座席にいつも座っている女性」も割とすぐに主人公の母だと判明。こうなると絶対彼女たちの物語も描写されるんだなぁと読めちゃう分けですが、伊藤健太郎くん扮する常連の大学生との何気ない日常を挟むことでシリアス過ぎず、また彼女が抱えていた孤独をより共感しやすくなってたと思います。このタイムリープだけは少し捻った展開になってて、見てるこっちも「そういう事だったのか」と一気に涙腺が決壊します。4つの物語の中で、過去での会話が一番「救い」になってるのもそうですし、これもまたこれから生きていく上でのよりどころになるのがね〜母の愛。ちょっと「幽霊設定」は最初しっくり来なかったんですけど、この出来事を境に違う見え方しちゃうのは面白い。
もちろん他の3つがそれに劣るかというとそういうことでもなくて、「素直になれない」という一番共感しやすいところからはじまり、「今は会えない人」という過去に戻れたら誰もが考えるテーマ。そして3つ目の手紙はその二つの合わせ技のようでかなり泣けました。特に過去で話す相手も店のルールを知ってるので、「未来ではどうなってるか」を意識しながら会話するところになんとも言えない切なさがあります。。もちろん渡せなかった手紙の中身も涙なしには見れない。お互い相手をめちゃくちゃ大切に思ってるんだなぁってひしひし伝わってきました。松重さんの優しい笑顔がとても印象的。
映画がラストになるとそれぞれの後日談的な映像だったり、スタッフロールとともに未来の様子が伺えるんですがそこでもまたジーンときちゃいましてね。繰り返しになりますが、過去に戻ったことが産んだ変化を改めて実感できます。
現実世界にはこんな不思議な喫茶店はないので、僕らが過去に踏ん切りをつけたり、一歩踏み出すためにはなかなか大変なものがありますよね。この映画の登場人物たちたちは戻ったことが最後のひと押しになってるように、この作品を見たことで、僕ら自身の背中を押してくれてるようなそんな気持ちになった映画でした。
余談ですが、飛び立つ発端となるコーヒー注がれるときにそごくダイナミックな音楽になるのでそこだけ雰囲気が変わるのがちょっとシュールで面白かったです。
先日深夜に放送されていましたが、20年4月現在Amazonプライムビデオにて会員無料対象だったのでそちらで視聴。
少なくとも最後のエピソードではかなりの人が泣かされると思いますので、ぜひ。
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