クルエラ / 実写化もされたディズニー大ヒットアニメ「101わんちゃん」の悪役クルエラの誕生秘話を、70年代パンクブームと融合させて描く。主演はエマストーン。犬の可愛さとファッションに魅了される傑作。

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ダルメシアンといえばこれ、というほど有名なディズニーのアニメ映画「101わんちゃん」。「101」「102」と実写化も大ヒットした作品ですが、そこに出てくる悪役クルエラ・ド・ヴィルにスポットを当て、1970年代のイギリス、パンクブームと融合させてファッショナブルに描いたアクションドラマ。一人の少女がいかにしてディズニー屈指の悪女になったのか、その誕生秘話を描く。
才能もありデザイナー志望だったものの母を失い、似た境遇の仲間達とスリなどをしていたエステラ。そんな彼女を見かねた友人が書類を誤魔化しある百貨店で勤務をするようになるが、そこで憧れのファッションデザイナー、バロネスと出会い彼女の元で働くことに。順調かと思いきや、自分と彼女との因縁が判明。かつて封印した悪い自分「クルエラ」が復活し……。
バロネス役にエマトンプソンのほか、ジョエル・フライ、ポール・ウォルター・ハウザー、ジョン・マクリー、エミリー・ビーチャム、マーク・ストロングら共演。日本語吹き替えに柴咲コウ。
あらすじ
1970年代、パンクムーブメント真っただ中のロンドン。デザイナー志望のエステラ(エマ・ストーン)は、夢と希望を胸にデザイン画の制作や裁縫に全力で取り組み始める。しかし、カリスマ的なファッションデザイナー、バロネス(エマ・トンプソン)との出会いをきっかけに、エステラは狂気に取りつかれた“クルエラ”へと変貌していく。(シネマトゥデイより)


いやー、すごかった。ディズニーの実写化シリーズの中でもヴィランを主役にした「マレフィセント」2作のヒットが記憶に新しいですが、ここでまさかのクルエラとは。「101」は続編「102」が作られるほど売れたわけで、その悪役にスポットを当てるとなれば面白いに決まってますよね。しかもすごいのは白と黒をモチーフにする、そこからさらに「パンク」と融合させて、彼女はデザイナーだからファッショナブルな映画にしちゃっていうアイディアがやばい。変な表現ですがあまりディズニー映画って印象を受けない作品でしたね。めっちゃカッコ良かったです。

マレフィセントの時は実はいい母親(的存在)だったんだよ〜っていう感動方面にやってましたが、今回は「誕生秘話」ということで、大雑把にいえば「生まれと環境で悪女への道に進んだ」ことが描かれます。とはいえ主人公として魅力的、かつ共感しやすいようにできてますので、明らかにヤベェし悪いこといっぱいやってるけど、嫌いになれないどころか応援したくなっちゃう、そういう方向にしてますので安心して見てください。

序盤はエステラとして母の死など苦労しながらも仲間を得て楽しくやっている日々が描かれますし、バロネスのもとで働き出してからもきちんと才能を評価されて一目置かれるという「彼女の良さが正当に認められる」という、それまで違って日の当たる道を大いばりで歩ける気持ちよさがあって、こっちまで嬉しくなります。バロネスはめちゃくちゃ厳しいし、ワンマン女社長を絵に描いたような人なんですがが、実力ある人は大事にするし、エステラのセンスの良さや度胸を買っていて、どこか「自分を重ねている」ようにも見えるんですよね。それは後半になって彼女も、そしてまた見ている僕らも「なるほど」という理由が判明するわけですが……。厳しいボスと新入りの奮闘っていうとどうしても名作『プラダを着た悪魔』がよぎってしまって、「どれだけ好きなんだよ」あるいは「全部同じように見えちゃうの脳のキャパが狭いのかな」なんて自嘲してたんですが、なんとプラダの脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナがクルエラのストーリー原案に参加してまして。似ていて当然でした(笑)

しかし映画の主題はそこではないので、順調に行きかけたところでバロネスとエステラの因縁が判明。ここからは母親に「普通の子になって」と言われて封印してきた暴走気味の一面「クルエラ」として、徹底的にやりあうことになります。一応言っておくと二重人格とかではないです。意識的にもう我慢しない!ってやってるイメージ。もちろんバレないように昼間はいい子ちゃんモードでバロネスの部下をやってますが、クルエラ状態の時は喧嘩売りまくり。しかもその服のデザインや登場方法がどれも度肝を引くようなもので、こっちもめちゃくちゃ見応えあるし、劇中でもロンドンでの話題を独り占め。バロネスもかなり焦り出します。

この辺で若干仲間達との関係性が一時的に悪くなりますが、最終的に和解するのでご安心を。「ちょっとやりすぎじゃないか?」とかクルエラの暴走についていけなくなりつつあります。特に最初から友達の2人は本当にいいやつで、やってることは悪者ですがかなり好きになりました。彼女の事情を知ってるからこそ協力するし、諌めようともする。大事に思ってるんだなぁって伝わってきます。そして何より犬。ホーレスが飼っているチワワのウインクと、クルエラの飼い犬バディ。この子達も「賢すぎるだろ」ってくらいの大活躍するので出てくる全てのシーンがたまらなかった。目線がやばいんですよね。話してる時に飼い主の方を見つめてたり、ちゃんと聞いてたり、心配そうな顔してる。ウインクに関しては着ぐるみをきたりして、そこもたまらなかったなー。ダルメシアンはバロネスのペットとして、可愛さと同様に獰猛な存在として描いてるので、魅力としてはバディたちの勝ちでしたね。
そうそう、今回も実物のネズミが数回登場しまして、苦手な方はご注意を。
気持ち悪いといえばエステラがデザインしたドレスの秘密もなかなかアレだったなー。

因縁対決がヒートアップしていくと、最終的にバロネスが一線を超えてしまうことに。「クルエラがああなるのも仕方ない」という流れが自然になるように、この人も結構普通じゃなかったですね。この時もそうだけど、そもそもの因縁の時点でかなりひどかった。でもだからと言って物騒な展開にはなりません。そこはディズニーなんでね、悪女は悪女だけど、後味は悪くない。むしろスカッとしました。

予告でもかなり目を引く映像がバンバン使われていますが、夜のロンドンを暴走とか、ドレスが一瞬で燃え上がるとか(白黒がテーマのパーティに赤という挑発)とにかくファッショナブルで、そういうの見てるだけでも楽しいと思います。流石に一流デザイナーという設定だけあるという、納得のクオリティでした。そこに悲惨な境遇からのし上がるという共感しやすいストーリー、仲間との絆、因縁、そして犬の可愛さと、見どころたくさんで「ダークな世界観」やりつつつも誰もが面白い映画になってて、本当によかった。
柴咲コウさんの少し低い声が主人公にピッタリでした。モノローグって形で本人がナレーションしてるのでかなりのシーンでしゃべってますからね。
最後に「やりたいことがある」って言ってましたが、今の時点で続編が決定してるようなので、そちらも楽しみに待ちたいと思います。
公開当時プレミアムアクセス(有料)だったのが、最近ディズニー+の見放題になったので会員の方はぜひ。

ディズニー+にて吹き替え版で視聴。

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クルエラ (吹替版)


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