ブラック・ウィドウ / アベンジャーズの一員であるナターシャを主人公にし、これまで語られずにいた物語を描く。スパイとして育てられた彼女の過去と、そしてもう一つの「家族」とは。

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MCU最新作にして、映画アベンジャーズの初期からのメンバー、ブラックウィドウことナターシャ・ロマノフを主人公にした単独映画。『インフィニティウォー』へと物語が進む前に彼女が身を投じた戦いや、これまでほとんど触れられてこなかった「家族」にまつわる物語を描く。
逃亡中のナターシャの前に、突然妹のエレーナが姿を現す。彼女もまた秘密組織「レッドルーム」に入れられてスパイとして育てられたが、洗脳が解け、仲間たちを逃がそうと動いているため追われる身となっていた。組織と戦うためにはメンバーが足りないと、かつて潜入捜査のために作られた「偽装家族」の父と母を訪ねることになるが、タスクマスターと呼ばれる凄腕のスパイが立ちはだかり……。
主演のスカーレットヨハンソンの他、 フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ、 デヴィッド・ハーバー、レイ・ウィンストンら共演。
※他のMCU作品、特に『エンドゲーム』のネタバレに触れています。ご注意ください。
あらすじ
孤高の暗殺者ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)の前に、ある日突然「妹」のエレーナ(フローレンス・ピュー)が現れる。二人は自分たちを暗殺者に仕立て上げたスパイ組織レッドルームの秘密を知ってしまったため、組織から命を狙われていた。姉妹が頼れるのは、かつて組織によって作られた偽りの家族しかなかったが、レッドルームの陰謀はこの「家族」の再会に仕組まれていた。(シネマ・トゥデイより)


いやー、カッコ良かったです。冒頭で触れてますが、映画アベンジャーズシリーズのメイン6人にいながらも、単独映画が作られてこなかったブラックウィドウ。しかもエンドゲームでああいう形で退場してしまったのでめちゃくちゃ寂しかったのですが、過去を舞台にしてるとはいえこうして大活躍するシーンが見られたのは最高でしたね。

そのエンドゲームも含め、今までのMCU作品見てないと何のことやら、ってシーンの連続なのでかなり置いてけぼりになっちゃうと思います。主な舞台は『キャプテン・アメリカ シビルウォー』の後、簡単にいうと「ヒーローは強すぎるから国連とかで管理して必要な時だけ出動してもらう方がいいよね?」というアイディアを巡ってアベンジャーズが二手に分かれてしまって、ナターシャは逃亡者としてるところから始まります。過去作に出てきた「ロス将軍」が再登場して、追ってきてますがほとんど出番はありません。

過去が描かれるって言われていたのでなんかスパイ養成施設できつい日々を暮らしていたのかと思いきや、序盤はアメリカでの偽装家族との普通の暮らしからスタート、しかし一夜にしてものすごい脱出劇を繰り広げ、その後キューバでレッドルームに入れられるという「暖かい思い出もあった」という強調。今回とてもわかりやすく『家族』がテーマ。それは文字通りの関係性だけでなく「心を許して信頼し合う存在」「ピンチの時に共に戦ってくれるもの」という意味合いがあって、今回の大冒険があったからこそナターシャ本人が『自分にも家族が二つある』(偽装家族の面々と、アベンジャーズの仲間達)って思えたんだなって考えてジーンときます。過去作で触れてますが手術によって子供が産めない体なのも改めて明言さてますし、この後に待ち受ける運命を考えちゃうと切ないものがあるんですが、少なくとも彼女が穏やかに会話できる相手がいた。調達屋やってるリックもいい奴でしたしね。(彼女のこと好きなのに分かった上であしらわれてる的な関係性好きです。)


期待してた以上のアクションがバンバンあって、母、本人、妹がそれぞれスパイとして訓練受けてるし、父親はなんとロシアのスーパーソルジャー。おまけに「戦いながら相手の動きをコピーする」っていうタスクマスターもメインヴィランとして立ちはだかるし、洗脳された大量の女性スパイ(レッドルーム所属)も。超能力やパワードスーツがでてこない分、現実の延長線上にある想像しやすい強さなので見応えありましたね。特にキャップっぽくシールド投げてきた時の「!?」感。ブダペストの戦車を相手にしたカーチェイスや、結末が大迫力すぎた雪山の脱獄など他にも圧倒的に見どころたくさんあってずっと興奮してみてました。

もちろんコミカル要素もあって特に父親、レッドガーディアン/アレクセイはまず見た目のインパクトがすごいし、「父親とは」っていうエピソードがズレてたり、偽装妻とのお互いの温度差(豚にアレクセイと名付けてた)、麻酔銃のくだりなどなど、かなり和ませてもらいました。ただ前述の通りスーパーソルジャーなので身体能力がずば抜けているし、タスクマスターとの戦闘も自分に有利な力比べっぽく持って行ったりと伊達にレッドガーディアンやってないという印象。

そして映画のかなりの要素を含むナターシャとエレーナのやりとりもとても良かった。いわゆる「スーパーヒーロー着地」を小馬鹿にしてたり、そう言ってた自分も……。などなど。自分は暗殺者としてやってきたのに、姉は正義のヒーローやってるなんてという恨み節も冗談めかして言ってますけど想像以上のきつい毎日だったでしょうしね。洗脳されてたとはいえ今度は仲間を相手にしなきゃいけないし。

レッドルームの本拠地にもビビりましたが、そこからの怒涛の展開もさらに楽しくて。フェロモンを利用したあくどい防御策とか、「自分はふんぞり帰りながら裏で世界を牛耳る」というこれまた絵に描いたような悪役(しかも男尊女卑)だったので変な葛藤がなくて良かった。ナターシャが煽るシーンがあるんですけど、その部分が吹き替えだと「ドラマでよく米倉涼子さんがやる役」ピッタリでニヤニヤしました。
タスクマスターの中身はまあ大方予想通りでしたが、後味悪くない結末でよかった。

最終盤のそのタスクマスターとナターシャのバトルシーンもやばいです。予告で使われてる、落下する中を、みたいなのね。この人たち普通の人間ですよ!?ってなる。ほんとかっこいいですよね。いつも黒いスーツなのが今回は白いので余計画面が映える気がしました。
そして全てが終わった後の、あの音楽。ずるいよ。

例によってクレジットの時におまけ映像があり、エンドゲーム後の世界が描写されるのですが、かなり予想外でしたね。妹がナターシャを継ぐ的な流れになると思いきや、あの作品のキャラが登場し、あのドラマの展開を示唆する流れが……。ご注目を。

ドラマシリーズで十分楽しませてもらってますが、MCU作品のひさびさの映画なので単純に嬉しかったし、内容も大満足でした。レッドガーディアンいいキャラなのでどこかで再登場してほしい。

劇場公開もされていますが、ディズニー+でプレミアムアクセスでも配信中。僕はそちらで購入し、まずは吹き替え版でみました。d払いでの決済になるのであらかじめ利用登録などが必要になるかも。


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