スーパーティーチャー 熱血格闘 / ドニー・イェンが製作と主演を務めたアクションドラマ。海兵隊出身教師が問題児ばかりのクラスを受け持つこととなるが、真摯に向き合うことで信頼を掴み……。香港版GTO!?

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アクションスター、ドニーイェンが製作&主演を担当し、学園を舞台にしたアクションドラマ。中高一貫校に赴任した元海兵隊の教師が、クラスの問題児一人ひとりと向き合い、少しずつ信頼を勝ち得ていく。土地を買い上げようとする動きも明らかになり……。
香港。学歴が重要視される現代で、成績が最低となっている中高一貫のタックチー学園。もはや教育局からの補助金も打ち切り寸前だった。そこへ赴任してきた元海兵隊のチャンは特に問題児の多いクラスを受け持つが、生徒たちの興味をひく型破りな授業、彼ら一人ひとりと真摯に向き合うことで少しずつ信頼を得て生徒たちの意識は変わっていく。しかし同時に土地を狙う組織の動きも活発化。学園を、そして生徒を守るためにチャンは立ち上がる。
アクション監督をるろうに剣心などの谷垣健治が担当。ジョー・チェン、ユー・カン、ドミニク・ラム、フェリックス・ロクら共演。


あらすじ
中高一貫のタックチー学園は、香港の学校の中で成績が最低で、教育局からの補助金が打ち切られそうになっていた。ある日、教師としてチャン・ハップ(ドニー・イェン)という男が採用され、問題児や不良の多い6Bの担任を務めることになる。チャンは、特にトラブルを起こしてばかりいる5人の生徒と真摯(しんし)に向き合うことで、徐々に信頼をつかんでいく。やがてチャンがタックチー学園を退学になった過去と、アメリカ海兵隊の元隊員であることがわかる。(シネマ・トゥデイより)


最も馴染みがあるってことで記事タイトルにGTOという言葉を使いましたけど、問題児ばかりのクラス、型破りな先生、ということでよくある学園ドラマの王道の一つと考えてもらえばいいと思います。あのドニー・イェンが主演なので当然アクション要素てんこ盛りですが(期待通り)、こういう風になるよな、という予想を裏切らない、素直に感動させてくれる映画でした。

Netflixでは「社会問題に迫るヒューマンドラマ」というタグもついていましたが、問題児といってもそれぞれ家庭環境、親との関わり合いなどにトラブルを抱えている子が多く、それを教師が一緒になって解決していくというスタイル。劇中ではおそらく現実の受験の風景をそのまま使ってるようなカットもあったので、そもそもの『学歴至上主義』なことに対しての風刺的な側面もあると思います。映画終盤にかけて、成績が上がらない生徒な悩みすぎて……という方向へ進みますし。

具体的にはパキスタン移民という見た目からくる偏見や、兄弟感での男女格差、父親の無理解。アルコール中毒の家族や、貧困などなど。2時間の映画に凝縮しちゃってるのでちょっとトントン拍子に進みすぎな面もありますが、全身全霊で問題解決に動いてくれるチャン先生がかなりかっこよくて、クラスメイト同様見てるこっちも好きになっていきます。先に触れたGTOだとドラマ1話に一人、みたいな形でじっくり描けたんだろうな、って。韓国ドラマでもよくみる設定ですが、【おばあちゃんと孫】の家庭のエピソードは僕自身が祖母と暮らしてるので余計に泣けましたね。現実を目の当たりにして「今日は奨学金を届けに来たんです」って先生がポケットマネーを渡すところとか泣けます。
あとはレーサーに憧れるボーイッシュ女子の話も良かったな。今さら泣くくらいなら最初からあんな態度取るなよ、って話なんですけど、和解できたから良かった。

悪い連中が蔓延るボクシングジムのあたりからアクション要素が増えてきて、ドニーイェンを堪能できます。ロッカーの上に乗ったり、シャワーヘッドでぶん殴るなど周りを巻き込んでの戦いは見応えがありましたね。型破りではあるものの、スーツというか一応フォーマルな服装で過ごしてるのでその姿で戦うところもスタイリッシュでカッコいいんですよね。できる大人って感じがします。それがニュースになると生徒の意識も一気に変わって、人気は膨れ上がります。最初の「タバコについての授業」の時点で『他の教師とは違う』ってのは十分伝わってましたし、生徒のために全力、しかも強いってなったら誰だってこうなりますよね。ちなみに同僚の堅物系先生が惹かれてる的な要素もありますけど、そこまでラブロマンスしてません。ただ間違いなくいい影響を受けてた。

あまりにいい方向へ行くと何かあるんじゃないかと不安にもなってきますが、重要なテスト、さらにはチンピラ問題が同時に重なってかなりのピンチ。大人を相手に悪どいことするのはダメなのは当然としても、子供の未来を奪うようなことは絶対してはいけないですよね。あれは一線を超えてる。『最後の授業、護身術だ!』っていいながら戦うところも好きですが、チャン先生の過去が意外な形で関わってくるのも予想外で面白かった。少しずつ明かされますが、彼もまたこの高校の生徒で、かつ結構な問題児だったんですよね。原題の「大師兄/BIG BROTHER」ってのは多分「同学校の先輩」ってニュアンスを出してるんじゃないかなと思います。そういう学生時代を過ごし、さらには戦地での日々を目の当たりにしたからこそ今の先生がいるし、同じ失敗、後悔をさせたくないだろうな、と。

ネタバレにならない範囲で言っておくと後味悪い展開にはならないのでそこだけは安心してください。こういうジャンルはこういうハッピーエンドだよな、って想像通りの爽やかなおわり方をしてくれます。ドラゴン桜にも通じますが、残念ながら社会のシステムがそうなっている以上「勉強が大事」なのはいつまでも変わらない。ただ数字を追うばかりではなく、子供たちがきちんとその大切さを理解し、また努力できる環境をいかに整えてあげられるか、挑戦するチャンスを与えられるかは大人の仕事だよねってしみじみ感じました。ここまでカッコ良くはなれないかもしれないけど、ちゃんといいお手本となる先輩でありたい。そう思わされます。

教師ドラマとしても、アクションドラマとしてもスカッとしてとても面白く見れました。型破りな主人公が現状を良い方向へ変えていく、というジャンルは個人的にも大好きなので、大満足。
Netflixにて吹き替え版で視聴。




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