イギリスの田舎リトル・ヘブンの高校生アナは自分の町を快く思っておらず、父に内緒で世界旅行を計画中。友達が口を滑らせそれもバレてしまう。クリスマス一色だった町に突如ゾンビパニックが起きる。運よく友人らとはともに行動できるも、父親の安否も不明。ゾンビを撃退しつつ彼女たちは進むが、圧倒的な数を前にピンチが続き……。
「スティールワールド」などのエラ・ハントが主演したほか、マルコム・カミング、セーラ・スワイア、クリストファー・ルヴーら共演。
あらすじ
イギリスの田舎町リトル・ヘブンで父のトニーと2人で暮らす高校生のアナは、世界旅行の資金を稼ごうとアルバイトに励んでいたが、秘密にしていた旅行の計画をトニーに知られてしまう。次の日、幼なじみのジョンと登校していたアナはゾンビに遭遇する。二人はゾンビを撃退した後にクラスメートと合流し、学芸会の準備をしていて校舎に取り残されてしまった生徒たちを救おうとする。(シネマ・トゥデイより)
ゾンビとミュージカルの融合というとここで紹介してきた「ゾンビーズ」3作品が浮かびますが、あっちがティーン向けとはいえディズニーなのでグロテスクシーンとは無縁。一方こちらは【PG12】指定なのでそれなりにショッキングなシーンが多々あります。ご注意を。
ただ個人的にはコメディに片足突っ込んでるなと感じるほど、めちゃくちゃ怖い！ってよりかはギャグになってます。予告動画でも使われている通り、例えば空気を膨らませて作った簡易プールに隠れて移動してたらおばあちゃんが上に座ってきたり(その後放尿されます)など。序盤はあんまり犠牲も大きくないので笑って見てられます。
先にミュージカルシーンのこと言っておくと、学園ものによくある恋愛やからかいを描写しつつ歌う「ハリウッド映画のようなハッピーエンドじゃない」みたいな曲が特に気に入りましたし、悩むのをやめて明るく生きてみよ〜ってナンバーも本人だけが気づかないで周りゾンビだらけってギャップがシュールでした。あるいは終盤になるにつれ暴走していく校長先生の歌もなんか笑っちゃったな。このジャンルはいかに自然にその要素を入れるかがキモだと思うんですが、シリアス度が増せばますほど「そんな場合じゃないだろ」って気持ちが大きくなっちゃうんで難しいですよね。実際に後半は少なくなっていきます。
メインストーリー自体は割と素直で、旅行のことでちょっと距離ができたまま生き別れなんてやだって感じでなんとか父親を救いたいアナを筆頭に、彼女が好きだけど良い友達止まりのジョンや、LGBTで(違うかも)家庭環境が複雑なステフ、グループの中で相思相愛だけどどっちも変わり者のリサたちなどはみ出しものたちが主人公なのも感情移入しやすかった。アイアンマンの大ファンで、ロバートダウニーJrはゾンビ世界を生き残ってるか議論してたり笑える。
未曾有の事態での人間の本性ネタも盛り込んでてて、普段からいじめしてる体育会系陽キャ集団が楽しむようにゾンビを狩ったり物品を盗んでるところはうざいと思った反面、彼もまた悲しい出来事を乗り越えててちょっと複雑。そもそもこういうキャラにヒロインが惚れてるっていう設定が、ジョンに肩入れしてるから余計辛いよね。優しい人よりワルがモテるのかい、的な(乱暴な偏見)
学校内で避難してる方もなかなか大変で、既に触れた校長先生が全然周りから相手にされてないのも辛かった。こういう時正論とか無駄なんですよね。だからと言ってああいう風に憎しみを向けていくのは間違ってるし、例によって「ゾンビよりも人間の悪意の方が怖い」って王道ネタで攻めてくるんですけど。
予想以上に犠牲者が出る点なのもびっくりで、予告動画やミュージカル要素ある映画って言われてイメージしたのとはかなり離れてましたね。そこもまあ自己犠牲的なエピソードも盛り込んでくるし。写真見ながら死ぬのとか泣ける。ただまあ最後は一応希望がある終わり方なんで、最悪は免れます。ただ生き残るのがそいつかーって感じもしないでもなかったり笑
全体的な評価としてはゾンビものとして普通に楽しめたし、歌唱シーンもクオリティ高くて満足感はありました。一方で最初からミュージカル映画と期待してみるとだんだんその要素少なくなるし結構なグロなんで耐性がないときついかもしれません。あくまでホラーファン向けかな、と。
原題はタイトルそのまま、Anna and the Apocalypse。世界全体ですごいことになってるけど、実際に描写するのは田舎町ってことでそこまでダイナミックな映像じゃなくても説得力が出るのもうまかった。隠れてる間に軍がやってくれたぞ→軍服姿のゾンビがそこかしこに、っとかテンポが良かった。
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