A-X-L /アクセル / バイク好きの青年が偶然見つけたのは、軍が極秘裏に開発した犬型ロボット?本来は戦闘向きに制作されたはずが、よき相棒として絆を深めていく。 しかし奪還しようと動き出し……。

pet_robot_dog.png
オリヴァー・デイリーが2014年に発表した短編映画「Miles」をもとに自身で長編映画化したSFアクション。軍用のロボット犬と人間との絆を描く。主演はアレックス・ニューステッター。
バイクが好きで父親とレースに出場している青年マイルズ。彼は身を潜めていた犬型ロボットA-X-L(アクセル)と出会い、彼と少しずつ打ち解けていく。故障した箇所を修理したり、バイクで共に疾走したりと本物の犬のように絆が深まるも、彼を快く思わない金持ちレーサーの悪意ある行動や、アクセルを奪還しようとする軍の動きなど危険が迫ってくる。
ヒロイン役に「パワーレンジャー」のベッキー・G、トーマス・ジェーンら共演。
あらすじ
アメリカ軍が極秘に作った軍用犬ロボットA-X-Lは、最新のAIによる高い性能、パワー、忠誠心が備わっていたが、実験中に故障し郊外に放置されてしまう。偶然バイク好きの青年マイルズに見つけられ、再起動されたA-X-Lはマイルズをパートナーと認識する。A-X-Lが再起動したことをかぎつけた軍の関係者は、奪還のために動き始めていた。(シネマ・トゥデイより)


とても「こういうのでいいんだよ」と思わされた映画。主人公が未知の生物やロボットと出会い、友情を深めるけどいずれ追われるようになり……というのもかなりの作品がありますが、この作品もそういう魅力がたっぷり。少しずつ信頼しあって相棒になっていく過程はとても良かったです。
さらにアクセルは犬型ということもあり、動きがいちいち可愛いんですよね。鉄をかじって火花が出るくらい、ものすごい凶悪な歯を持ってたり、シンプルにその機動性、さらに電子機器のハッキング機能などなど腐っても軍用なので敵にしたらめちゃくちゃ恐ろしいんですが、劇中で「子犬みたいなもの」と言及されるほど、精神的には犬そのもの。遊びたがるところとかほんとに愛らしいです。

若干都合が良すぎる気もしますが、元々バイクに乗った兵士と並走することを想定して設計されていることもあってマイケルとの相性がバッチリ。ジャンプして〜みたいな過酷なコースを疾走するタイプのレーサーなので彼ら二人のスピード感溢れる走行シーンも見応えがありましたね。ほんと楽しそう。現実の犬じゃ危険だから絶対できない。アクセルはブースターまで着いてますからね、文字どおり飛べる。

映画自体の規模は小さめで、よりマイケルに共感しやすい設定されてるためかレーサー要素もかなり重要で、かたや父親と二人でなんとかやってる彼らと、超お金持ってて取り巻きも大勢、やりたい放題のサム。いやがおうでも違いを見せつけられますが、序盤は意外にも仲良くなる二人。良きライバルになるかな、と思えたんですけどね。やっぱりというか、嘲笑うために騙してたんです。ほんと嫌なやつでしたね。
しかもヒロインがそこの家の家政婦の娘っていう、これ主人公といい感じになってもさらにイジワルされるやつじゃん〜って設定。当然いつしかアクセルのこともバレちゃうし、面白いと思うわけもなく……。

単純に直してくれた恩という、精神的な絆だけでなく「管理者システム」によってアクセルとマイケルの結びつきが強まってからは頼もしい味方が増えた反面「やりすぎて悲惨なことにならないか」という不安も出てきます。先にふれた通りジャンル的には「兵器」に近いわけですからね。守ろうとして人間も襲いかねない。ただ今回の場合は本気でアクセルに危害を加えようとしてるし、やられても自業自得とすら思えるレベルなので仮にそうなってもそこまで悲しまないかも。そのくらいわかりやすく敵役として出てきました。

一方で「人間とのやりとりが進化の鍵だ」と静観してくれてた開発者チームですがそれも終わり、中盤あたりから軍の連中から追われることに。この辺りのエピソードはさすが片親で育ててきただけはあるな、とパパさんの格好良さ際立つのでご注目。アクセルのことを打ち明けた時も気持ちはわかるけどすぐに返すべきだ、って冷静に諭してくれてたし、劇中随一の常識人でしたね。

アクセルの能力として自爆機能がある、というのが最序盤から出てたので、かなり不安になりながら見ていたんですけど物語が終わりにかけての闘争劇、アクセルの本気モードは手に汗握りましたし、マイケルを守るっていう彼の思いがありありと伝わってきてほんとカッコよかった。その後の展開も泣かせます。ハスキーの子犬が出てくるんですが、そこもたまらないのでお楽しみに。

こうかくと予想できちゃうかもしれませんが、ある意味で続編も作れそうな終わり方をしてました。が、どうなるの?というよりは「ということは……!」という嬉しいサプライズでの終わりなので一応スッキリ終わってます。軍用ロボットというSF要素ももちろんメインですが、あくまで基本はマイケルとアクセルとの友情物語ですのでそのシンプルな魅力を堪能できたなぁと満足感はありました。
そういう作品が好きな人には特におすすめしたい1本。


WOWOWにて字幕版を録画、Netflixにて吹き替え版で視聴。


この記事へのコメント