タクシー運転手 ~約束は海を越えて~ / 1980年、韓国で起きた光州事件を題材に、外国人記者を乗せて危険な地域へと出向いたタクシードライバーと、そこで出会う人々の物語を描く。2017年韓国No.1ヒット作。

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『密偵』や『王の運命 -歴史を変えた八日間-』そしてこの映画の後に『パラサイト 半地下の家族』などのソン・ガンホ主演で送る韓国の実話を描いたヒューマンドラマ。1980年、学生や市民のデモとそれを鎮圧しようとする戒厳軍によって起きてしまった悲劇「光州事件」を題材に、現地の様子を世界に伝えようとやってきた外国人記者と彼を乗せたソウルのタクシードライバーらの命懸けの行動に涙する感動作品。
妻に先立たれ、一人で娘を育てているタクシー運転手のマンソプは常に金欠状態だったが、偶然「外国人を送るだけで大金が手に入る」という同僚の話をきき、仕事を奪う形でドイツ人記者のピーターを乗せる。しかし目的地の光州は検問があるなど外からの侵入は難しく、デモと軍との戦いは想像以上のものだった。
マーベル映画のヴィランも演じたトーマス・クレッチマンや、- ユ・ヘジン、 リュ・ジュンヨルら共演。
あらすじ
1980年の韓国。ソウルで11歳の娘を一人で育てながらタクシー運転手をしているマンソプ(ソン・ガンホ)は、大金に目がくらみドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて光州に向かう。マンソプの機転で見事に検問をくぐり抜け、二人は光州に入るが、ピーターは「危険だからソウルに戻ろう」と言うマンソプの言葉を聞かず、撮影を始め……。


感動作、ということしか知らずに見始めたのでかなり主人公マンソプと同じ状況で見れたといいますか、実際に光州に近づいてからのインパクトは凄まじいものがありました。上記あらすじにある通り父ひとりで娘を養う彼はかなりピンチで、家賃もなかなか払えない状況。でも頑張ってるのはみんな知ってて、うるさく催促する妻と違って、大家の夫は非常に良心的。そんな時に外国人を乗せるだけで大金と言われたら飛びつかないわけもなく。光州=クァンジュがどうなってるかなんてよく知らずに引き受けてしまうのです。

なんかデモがすごい活発だなぁとは思うもののの、学生が中心でワイワイやってるだけだしそこまで緊迫した印象は受けないんですけど、病院に行ってからはガラッと変わる。結構戒厳軍のしめつけというか抑え込みが強いなって事実を目の当たりにします。他の地域からは考えられないレベルで、だからこそピーターは来たし、この映像を伝えなければいけないという気持ちも大きくなっていきます。

クァンジュのタクシー運転手ファンテシルや、学生の一人のジェシクさらにはそこで暮らすごく普通の市民との交流があって。音楽で有名になりたいというジェシクのステージをみんなで見たり、予告にもあるピーターがキムチを食べたりとほっこりするシーンもあるので、そういう日常の暖かさがある分、余計に悲惨な状況との対比がきついんですよね。どこかで爆発音のようなものが聞こえて、慌てて静かにする。この辺りは空襲に怯えていた日本とかと同じで、見てるだけで辛かった。

実在の悲劇を題材にした作品はそういう意味では見るのに体力いたり、感情が激しく揺さぶられるんですが、一方で事実は事実として伝えていかないといけないし、そこに映画化する意義があると思います。そういう点がまさしくピーターがやろうとしてることとシンクロして深いと思ったし、お恥ずかしながらこれを見るまで何があったのかとかよくわかってなかったんですよね。お隣の国の話だし、僕が生まれる前だし。でも映画を見たことで、全部とは言わないけど知ることができた。何よりも犠牲になった人たちにもそれぞれ暮らしがあって、家族がいて、生きていた。そんな人が死んでしまった悲しみ。中盤からなんとなく察していましたが、メインキャラの死はかなり応えました。

お話が進むにつれて本当に命を落としてもおかしくない状況に陥り、銃弾が降るなかで協力して必死に助け出すシーンも涙なしに見られません。自動車が盾になるって言っても限度があるし、ひやひやしっぱなしです。映像を撮ることだけでも危険ですが、より危ないのは脱出。当然外部に持ち出すのを快く思うわけもなくそこもかなりの緊迫感があります。そして同時に泣ける。

他のタクシードライバーたちが協力して、絶対にピーターたちを送り出すっていう決意。「ここは任せてお前は先に行け」ってフィクションで手垢がついたやりとりですけど、一切のギャグじゃなく本当にやられると泣けます。任せる=死んでしまう。というのが分かってるからね。全員熱演だからほんときつい。検問でのやりとりも泣かされて「命令とはいえよくそこまで非情になれるな」って思ってただけに軍の中にも良心がある、この状況を変えたいと願っている人もいるんだっていう印象で、これがあるだけでちょっと救われた気がします。

文字通り修羅場をくぐり抜けたピーターとマンソプの友情。これも最後までグッとくる展開で、クッキーの缶、教えた名前、空港で手を振るシーン。舞台が現代に映った後のマンソプのひとことも良かった。最後の最後に実際のピーターの映像が流れるんですけど、そこでもまた泣いちゃう。大ヒットしたのも納得、個人的にも韓国映画で間違いなく上位の作品となりました。

前述の通り心を痛めるシーンもあるのですが、そういう状況でも必死に生きた人たちの真実の物語、ぜひ見て欲しいと思います。


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