世界でいちばん長い写真 / 特殊なカメラを使い、ギネス級のパノラマ写真を撮る。撮影が趣味なもののこれといって熱中するものがなかった高校生が見つけた「やりがい」。誉田哲也の小説を高杉真宙主演で実写化した青春ムービー。

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「ストロベリーナイト」などで知られる誉田哲也の小説を基にした青春ドラマ、主演は高杉真宙。
写真部に所属しながらもほぼ幽霊部員状態で、流されるままに生きてきたノロブーこと宏伸。祖父のリサイクルショップで特殊なカメラを発見するが、それは360度のパノラマ写真が撮れるという珍しいモノだった。どんな風景ならこの性能を活かせるか考えるうち、彼はどんどんのめり込んでいき、さらにすごいカメラを使ってギネス級なパノラマ写真を撮ることになるのだが……。
松本穂香、武田梨奈、吉沢 悠、水野 勝ら共演。
あらすじ
宏伸(高杉真宙)は特に将来の希望があるわけでもなく、何となく流されるままに過ごしていた。ある日、彼は祖父が経営するリサイクルショップで、世界で一番長いパノラマ写真が撮れるというカメラを発見する。その時から宏伸の世界は次第に輝き始める。(シネマ・トゥデイより)


誉田哲也さん原作の実写映画だと「武士道シックスティーン」もかなり「青春」という感じでとても面白かった記憶があるのですが、こちらももう気持ちいくらいストレートな青春映画で、見ててほんと爽やかな気持ちになりました。自分の学生生活を思い出して、「いたいたこういう奴」ってなるのが良いんですよね。

高杉くん演じる主人公は、名前にかかってるもののおそらく「鈍い」という意味も含んでる「ノロブー」なんて不名誉なあだ名で呼ばれるような冴えないタイプで、カメラの道っていう自分の明確な目標を持って貪欲に色んな挑戦し続けている部長の三好に怒られる日々。まあ、ちょっと見てるだけでガチで嫌ってるというよりも、彼のことが好きで「しっかりしなさいよ本当に〜」ってイライラしてるんだろうな、ってひしひし伝わってきます。

個人的にこの素直じゃないところがとても魅力的でしたし、ずっと不器用だった彼女が最後にノロブーのためにとった行動がより活きるんですよね。単純に機転の良さにも脱帽ですし、序盤からの伏線に感動しました。 一方彼がずっと思いを寄せる陸上部のマドンナがいるのですが、「自分が可愛いの分かってる感」やしたたかさエピソードを含めて、三好に感情移入しやすいようにできてます。視聴者全員が思ったであろう「鈍感すぎ」っていうツッコミいれたい感覚を含め、本当爽やか。その程度なので主人公の恋愛要素は控え目で、カメラという熱中するものに出会って変わっていくノロブーがメインでしたね。

恋愛といえば冒頭は従姉妹(武田梨奈)の結婚式のシーンから始まるので、「相手は誰なのか?」という謎を抱えながら見ていくスタイルも面白かった。色々候補出てくるんですけど、かなり最後にならないと判明しないんですけど、これもちょっと調子狂うというか、そんなさらっとした感じで良いのか?と独特な雰囲気でシュールなんですが、この人の存在もなんだかんだ印象的。特に多くが高校生という「将来が決まってない」状況にいる人たちが多数出てくる中で、彼女もまた決めかねた一人であり、本人曰く「なんでもできちゃう」と思っていたけれど……という劇中での心境の変化は深いなぁって思いました。写真という一瞬を切り取るものと対象的に、ずっと続いてく人生の中でどの道をいくのか。それを見つけられずにぼうっと生きてきたノロブーが、生き生きとしていくのを目の当たりにして、彼女もまた影響受けたのかなぁって。

きっかけになったカメラとは別の物を使って、全校生徒で写真を撮る、ってなってからは一気に学園ドラマとしての面白さが加速して、準備してる時のワイワイしてる感じ、特に入り口に靴がバーって並んでるところとかすごい良かったです。前だったら絶対面倒くさがってたはずのノロブーが中心にいるのも微笑ましいし、タイプの違うキャラたちがああだこうだ言い合ってる姿が「こういうの楽しかったよなー」と若干のノスタルジー感じさせましたし。テスト用にとった写真での敬語キャラのぶれなさが笑えたし、笑う練習させられてたもシュールだった。

でも最大級に感動的といか、エモいのはやはり写真撮影する時で、物理的な意味でも中心のノロブーが掛け声かけながら思い思いのポーズとってる姿が色んな意味で眩しくて、映画のクライマックスとして一気に盛り上がってく感覚が心地よかったですね。エンディングで実際に撮影された写真を見ることができてそこも楽しいのですが、あのノロブー視点というか、一緒になって一つの作品が出来上がってく様子を体感できるのが良かった。上でも触れた三好部長のアイディアのために一人で爆走するところとか、従姉妹の突拍子もない発言とか、13周という長さがあるからこそのドラマがあってグッときました。

青春映画なので学生時代を思い出して感慨深くなる一方で、何かに打ち込むことの大切さ、それにはまずは自分で選んで一歩前に進まなければって基本だけど大事なことを改めて教えてくれるような、そんな作品でした。どんな人にも勧められる作品。

あ、触れるの忘れてましたが一面のひまわり畑もめちゃくちゃ綺麗なのでそこもご注目。

Netflixにて試聴しましたが、2020年1月現在Amazonプライムでも会員無料対象なのでそちらでも。

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