突如まかれたゾンビ菌によって、増えていく感染者。とある事実を母親に"告白"しに地元に戻った青年は、このパニックに巻き込まれることに。
人種やマイノリティ関連のブラックジョークを盛り込んだ、新しいタイプのゾンビコメディ。
あらすじ
シアトル郊外の町ポートギャンブル。
静かで平穏なこの町に、炭素菌ならぬ“ゾンビ菌"がばら撒かれる。 一人また一人と感染し、ゾンビ化する町民。 そして、その数はネズミ算式に拡大してしまう。 そんな事とは知らない青年トムは、友人と連れ添い故郷に帰って来た。 まだ感染していない母に友人を紹介。 そして自分がゲイである事を告白した瞬間、母がゾンビになってしまった。 慌てて教会に逃げ込む二人。 だが、そこにもゾンビの群れが襲いかかってきた…(Amazon商品ページより)
田舎町で起こるゾンビ騒動、というありがちな設定に、「自分が理解できないモノは悪/脅威」という価値観が強い人々を登場させることで二重のパニックを描いてて、新しいと思いました。
具体的に言えば主人公カップルである、ゲイ、そして他宗教、それに関連した人種差別……ゾンビ化は罪を犯した人間たちに対する罰なんだと力説する神父も後半なかなかの暴走ぶりを見せますが、ゾンビ菌の犯人がイスラム教徒と判明してからはさらにややこしいことに。
イラン人の父を持つヒロインは命からがら近所の家に逃げ込むものの、そこの主人が「お前も犯人の仲間なんだろう」と椅子に縛り付けてしまうんです。彼女の妻はゾンビに噛まれてしまったのに。そんなことしてる場合じゃないって話ですよね。さらに輪をかけてひどいのは、ヒロインに想いを寄せる彼の息子は父親に逆らえず、なかなか助け出すことができません。
冒頭で彼女とまともに話すらできない感じだったので、事件を機に勇気をだして頼れるヒーローとなるのかな、なんて予想してたんですが、最後まで見事なヘタレっぷり。自力で逃げ出せたそのあとの行動を含めて、ヒロインの方がよっぽど強いしかっこいいよ。
序盤にあるゲイのカミングアウト自体は母親のゾンビ化というイレギュラーで拍子抜けするほどあっさり終わってしまったものの、後半、協会にて籠城戦をやるときにふたたび悲劇が。ゾンビでパニックだっていうのに、人間に対する拷問シーン多くね?って思わされます。
そんなこんなでひどい有様だったにも関わらず、びっくりするくらい爽やかなエンディングを迎えるのでそこは良かった。これだけステレオタイプが蔓延してた町だから、あのくらいでちょうどよいのかもしれません。社会風刺ってほどじゃないですけど、行き過ぎた差別はこの伏線なのか、と。
B級には含まれるものの、ブラックなユーモアを含んだおかげでストーリーにも厚みが出、で面白い作品でした。
もちろんゾンビ関連も決して手抜き感は感じず、次々感染していく様子や、一人の人間に多数が群がって~なんてシーンもありましたのでご安心(?)ください。
DVDレンタルにて字幕版視聴。
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