AURA～魔竜院光牙最後の闘い～ / 高校デビューに成功したはずだったのに、コスプレ少女と出会ってしまい……田中ロミオ原作ラノベを劇場アニメ化。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2015年03月18日 19:00

AURA～魔竜院光牙最後の闘い～ / 高校デビューに成功したはずだったのに、コスプレ少女と出会ってしまい……田中ロミオ原作ラノベを劇場アニメ化。

人類は衰退しましたシリーズやゲームシナリオなどの田中ロミオの同名ライトノベルを、岸誠二監督はじめ『人退』スタッフが再集結して劇場アニメ化。出演は島崎信長、花澤香菜ほか。
過去を封印し、見事高校デビューに成功したはずだった佐藤一郎。異世界人だとなのるコスプレ少女に出会い、振り回されるように。そんな彼らを快く思わない生徒たちから目をつけられ……
中二病を抱えたことのあるすべての人必見のアニメ。
あらすじ
佐藤一郎は「普通」の男子生徒として高校デビューに成功したはずだった。ある晩、忘れ物を取りに行った学校で不思議な女の子“青の魔女”と出会い、彼の教室での立場は大きく変わっていく。魔女の正体は、一郎のクラスメート・佐藤良子だったのだ。彼女は本物の魔女か？　ただのコスプレ女子か？さらに良子に触発され、クラスに潜伏していた《妄想戦士(ドリームソルジャー）》たちも次々と名乗りを上げ、一郎を巻き込んでいく。(WOWOWより)

スクールカーストにおける、"そっち側"の位置を非常にリアルに描きつつ、励ましてくれる傑作アニメ。

オタク迫害ってほどではありませんが、学生時代って、スポーツ万能とガリ勉、文科系男子だったら絶対前者のほうが人気があったりアニメやゲームが好きと言うことをあまり大ぴらに言いにくい空気ってどこかあると思うんですよね。
この映画で言うところの妄想戦士ほどわかりやすい言動しないまでも、「オタク」というのが悪口になってて、バカにしてしまう空気。ハリウッド映画なんか見てても、ギークやナードは虐められたりしますけど。

そういう教室の中、学校の中での立ち位置というか周囲からどういう扱いを受けているかというのをかなりリアルに描いてて、別に自分がいじめられたとかあるいはいじめてしまったとかではないのに胸が痛みました。

終盤明らかになりますが、中学で辛い経験をし、そういう扱いをされることがどれだけキツイかを誰よりもわかってる一郎だからこそ、一生懸命良子を守ろうとする姿はとてもカッコよかったですし、一度は目を背けようとしたものの、最終的に自分の過去と向き合ったのはかなりジーンときちゃいました。

一郎にとって良子は自分の過去なんですよね。だからほっとけなくて、なんとかしたいんだけど。同時にあの時の記憶を呼び起こされる存在でもあって。序盤でいきなりキスシーンこそありましたが、良子にとって、単純に話を合わせてくれる仲間を見つけた→頼りがいのある、恋愛の対象となっていく過程もグッときました。普通の女の子の部分だったり、弱さを見せたりするシーンとか特に。

文字通りコスプレな衣装での登校が許されるのかとか、儀式のために屋上に作り上げたもののクオリティが半端ないところなど、非日常っぽさももちろん感じましたが、共感できる部分がたくさんあって。
集団生活の中で自分の立ち位置を守るために人に合わせる努力をしたり、忘れたい過去と少しずつ向き合っていこうとしたり。色々なものと戦っていくことを励ましてくれる作品だなと思いました。

最初に触れたように正直見てて辛いシーンもありましたが、ちゃんとしたハッピーエンドでしたし、良子ちゃんかわいいし、とても面白かったです。原作である小説が全1巻、漫画版が4巻で発売されてるので、そちらもいつか見てみたいと思いました。

WOWOWにて録画、視聴。