テレビドラマ、特番、劇場作品とストーリーだけなく壮大な物語となった『SPEC』もこの劇場公開2作品でついに完結。
SPECと呼ばれる超能力を持った人々。彼らの関わった事件を担当する"未詳事件特別対策係"の捜査官当麻と瀬文らの戦いもいよいよクライマックス。半SPEC主義者たちによる能力者の殲滅『シンプルプラン』とは?それに携わるプロフェッサーJ、謎の能力者"セカイ"とは?そしてファティマ第三の予言の意味は……??
漸ノ篇あらすじ
反SPEC主義者の有力者たちによる国際会議上で、SPECホルダーを全滅させる陰謀《シンプルプラン》が実行に移されようとしていた。だが日本代表者《卑弥呼》は計画の中止を訴え、反対する出席者をSPECによって消し去ってしまう。一方、上司の野々村が単独でシンプルプランの阻止に動いていた事実を知った当麻は、封印する自らのSPECを使おうとする一方でその暴走におびえ、SPECに頼る自分の矛盾に苦悩する。
爻ノ篇あらすじ
戦いの中で親しい人を亡くし、自らもシンプルプランのウイルスに感染した当麻。そんな中、彼女は亡き父の親友と言って現われた湯田(とうだ)の名が実は「ゆだ」=Judahであり、一連の事件を操る謎の人物、プロフェッサーJだと気付く。一方、その湯田は保護されていたSPECホルダーの大人を惨殺し、子どもたちにはウイルスを感染させていた。残酷なやり口に激怒した当麻はついに封印を解き、自らのSPECを発現させる。(ともにWOWOWより)
SPECはドラマの頃から楽しんで見てきたシリーズなので完結するのは感慨深いものがありました。
劇場公開と前後してノベライズ(小説版)が発売されたので我慢できなかった僕は先にストーリーを読んでしまったわけですが、映像化されたものは想像していた以上の迫力があって圧倒されました。
超能力を扱った作品はそれをどう表現するのかということも注目ポイントの一つだと思うんですが、SPECは日本のドラマながら結構頑張っていたほうじゃないかなと思います。"結"は能力そのものというよりも、地球規模での大混乱が発生したり、大量のカラス(霊体)、亡者ども……など異形、かなり非日常的な光景が広がるのでこの映像がちゃっちいと興ざめですからね。その点も『終末感』が出ていてよかったと思います。
ストーリーに関しては規模が大きいというか、風呂敷を広げ過ぎたというのか、ドラマシリーズから比べると壮大な物語だし当麻の役割もとんでもないものになっちゃってますけど、一応スジが通ってて納得できるものだったと思います。まあガイアの意志だとかセカイだとかそういうの全部ひっくるめて『刑事魂(刑事の絆)なめんな』で片づける=勝とうとするお話なので細かいところは気にしてなくてもOKだと思いますしね。
そう、当麻と瀬文たちとの絆の強さっていうのが一番の見どころ、熱い部分だと思ってて。安直に恋愛に走らなかったところもよかったです。そういう感情はあったでしょうけど。フリーズドライで退場したと思ってったあの人だったり、またはあのキャラクタが超カッコいい殉職を遂げたり。他の登場人物もみんな濃くて好きでしたし。
それと、超能力に目覚めた人間がスペックホルダー(能力者)なのではなく スペックホルダーが能力を失い退化したのが人間。っていう概念は面白かったです。アリと羽蟻に例えたお話。超能力モノって大抵前者のパターンなので新鮮でした。
忘れちゃいけないのがギャグや小ネタシーン。完結作ってことでシリアスなお話のはずなのにそういうところもちゃんと大事にしてて、これぞスペックだよなぁと。ギョウザロボとか。
同じスタッフの手掛けた「ATARU」ではSPECの二人を彷彿とさせる刑事がちらちら出てきましたが、逆に爻ノ篇にあのキャラクターが出てきてびっくりしました。
天あたりで『ケイゾク』との同一世界だってことが明確になりましたけど、結でもその手のワードがいくつか出てきましたよ。
終わってしまうのは寂しいですが、最後に表示されるSomeone…っていう英文を含めて満足のいく完結作でございました。
WOWOWにて録画、視聴。
23日にも前後編一挙放送みたいです。
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