終の信託 / 安楽死。患者を苦しみから救うため女医のとった行動は、殺人なのか…？: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2013年11月18日 11:11

終の信託 / 安楽死。患者を苦しみから救うため女医のとった行動は、殺人なのか…？

草刈民代＆役所広司(１６年ぶりの共演)＆周防監督という、「Shall We ダンス?」のトリオによる、社会派ドラマで、「行き過ぎた延命治療を行わない決断」「安楽死」という難しいテーマを扱った朔　立木さんの小説が原作。
ぜんそくの発作に苦しむ患者、江木。彼は主治医である折井を信頼し、「時が来たら楽にして欲しい」と伝えていた。長きにわたる植物状態の中、ついに覚悟を決めた折井は酸素を送るチューブを抜いてしまうのだが…
あらすじ
綾乃は患者からの評判も良い、呼吸器内科のエリート医師だが、長い間、不倫の関係にあった同僚医師・高井に捨てられ、自殺未遂騒動を起こしてしまう。そんな彼女の心の傷を癒やしたのは、重度のぜんそくを患い、入退院を繰り返していた男性、秦三だった。2人は心の内を語り合い、医師と患者の枠を超えた心の絆で結ばれる。だが、病状が悪化し、死期が迫ったことを悟った秦三は綾乃に、その時が来たら楽にしてほしいと懇願し……。(WOWOWより)

何度も途中で見るが辛くなった。しかし医療技術が発達する現代、避けては通れない重要なテーマ。
女医折井彩乃がやってしまったことが明るみに出て、彼女は病院を辞職。それからしばらく経って、告発された彼女は検事の取り調べを受けることに。その待合室で江木泰三との日々を振り返り(前半)、さらに大沢たかお演じる検事によるきつい尋問(後半)という構成。
何をおいても目を背けたくなったのは、検事による「アンタ」や「殺人」「被害者」という言葉。演じてる大沢さんも辛かったのではと思うくらい、執拗な責めは辛かった。法律でどのように定められているのか、そして検事という立場としてはあれが正しい職務なんだろうけど、前半の「医師と患者を超えた信頼関係」を見ているだけに「容疑者と被害者」で片付けられるのは心が痛む。
覚悟はしていましたが物語のキモとなる彼女の決断実行のシーンもきついものがあり、人によっては早送りするのもひとつかもしれません。身近にご病気を抱えてる人がいらっしゃったりなど、感情移入しすぎるとショックが大きすぎてしまうと思います。
このようにきつい部分も大きいのですが、やはり前半のふたりの姿にはなんとも言えない感動がありますし、最後の最後のテロップなど、希望や、救いのようなものもあったので、最後までみれてよかったです。
その二人の日々も「主演ふたりの演技力の素晴らしさ」ひとことで、日に日に病状が悪化する中でもつねに家族のことを考え、また死の恐怖と戦ってる江木。なんとか救おうとする折井。子守唄のことや、毎日つけているノート…

どちらかというとハッピーになるような映画の方が好みですが、こういったテーマの作品が世に送り出されることで、多くの人に知ってもらい、また考えてもらうきっかけになることに意味があるのかなと感じました。