麻酔が完全に効いておらず、動かせないのに意識(聴覚など)がある「アネセシア・アウェアネス（術中覚醒）」をテーマにしたサスペンス・スリラー。主演はヘイデン・クリステンセン。
大富豪のクレイトンは心臓疾患があり、移植手術の順番待ちをしていた。亡き夫の分まで息子を大事に思うリリスは名医に手術してもらうよう手配するが、当の本人は友人であるジャックを希望。また秘書だったサマンサとも付き合っていることを母にずっと言えずにいる。そんな時ドナーが見つかって手術が決まり、喜びの中2人はこっそりと結婚。いよいよオペが始まるが、なかなか眠りにつかないどころか、彼の感覚は残ったままで……。
ジェシカ・アルバ、テレンス・ハワード、レナ・オリンら共演。
吉沢亮主演の[棋士]VS[AI]の映画はこちらです。
AWAKE / 2015年に実際に行われた、プロ棋士とAIによる将棋勝負に着想を得たドラマ。棋士の夢を諦めた青年が将棋ソフトに出会い、自ら強いプログラムを作ろうとのめり込む。やがてかつての戦友と対決することになり……。吉沢亮主演。
http://xn--qfusdo8o71s.seesaa.net/article/AWAKE.html
あらすじ
富豪の青年クレイトン（ヘイデン・クリステンセン）は何不自由なく暮らしていたが、心臓疾患を抱え移植手術が必要だった。ある日、ドナーの見つかった彼は愛する秘書サム（ジェシカ・アルバ）と2人だけで結婚式を挙げ、満ち足りた気分で手術室へ向かう。しかし、全身麻酔から意識が目覚める“術中覚醒”に陥り、手術の激痛を味わうとともに驚くべき事実を知ってしまう。(シネマ・トゥデイより)
予告動画でしっかりと「医者が騙してた」っていう情報出てるんですね。全く知らない状態で見たので、マジかよ！って衝撃だった。いやそもそも「術中覚醒」だけを描写してたら見てるこっちが持たないから別の要素が出てくるの当然っちゃ当然なんだけど
冒頭でテロップが出るのですが実際に7000人に1人の割合で起きてるらしく、想像するだけでゾッとしますね。僕も全身麻酔の経験ありますけど、気づいたら全部終わったあとでした。どこまで意識や感覚が残ってるかもその時々ですが、この映画は「開胸してる痛み」までわかるようで、マジで早送りしたくなった。スプラッターホラーとか痛そうなやつもどこか作り物だって分かったりコミカル含むからなんとか見れなくもないのに、シリアス全開、さらに「現実にもありうるかもよ」っていうテンションでやられるとキツいよ。
ということで人を選ぶ作品です。
ただそこを越すと一気に流れが変わって、クレイトンの過去の追体験や幽体離脱描写が出てきます。現実逃避して別のことを考えたり、聴覚だけが研ぎ澄まされたことであたかも状況を俯瞰して見てる感覚に陥った。などと考えればそこまでファンタジーすぎることもなくて結構うまい路線変更だったなぁと。そこで会話を聞いちゃったことで自分が騙されていることに気づきます。
過去に医療過誤を起こしてる、だとか、サマンサがやけに自分に詳しいなとかこれまでの違和感が一気につながってきて絶望していくのは精神的にきつかった。お金があって何不自由なく暮らしてると思っても、だからこそこういう輩のターゲットになってしまうのか、ってぼんやり考えてました。というかどう考えても殺人だから、実行犯の外科医ジャックだけじゃなくて他の面々もよくできるよなって。お金ってそんなに狂わせるのか。
騙し取るために近づいてたら本当に好きになっちゃってた、みたいなサマンサの心変わりとかも期待してたんですが、一番強かったのはやはり母の愛。散々「なかなか適合者がいない」って強調されてたので医者の裏切りは置いといても、「母の自己犠牲」はどこか予想してた部分もあるんですけど、実際にあのテンポで決断して実行するのはシンプルにすごい。
クレイトンが封印し続けてたとある記憶に関して負い目があったのもわかるけど、だからって相当の愛がないと無理だよ。この映画で泣けるのはそこ。
最後に2人でしたやりとりはそれこそファンタジーですが、もしかしてああいうことが起きたかもと思うと夢がありますよね。日本でいうと「三途の川から追い返された」的な。こう書くとネタバレになっちゃいますが、クレイトン的には最後は希望のある終わりですし、犯罪もちゃんとバレます。
途中の「おいまだ意識があるぞ、なんか変だ」からの悲痛な叫び(およびオペ描写)というホラーから、信じてた人に裏切られていた精神的な苦痛などいろんな意味でどっと消耗しますが、主人公がずっと受け身の状態で展開していくサスペンスというのは新鮮だし、無事に生還できるかのハラハラはとても見応えがありました。
ある程度の耐性は必要かと思いますが、アイディアがすごいのでぜひ。
WOWOWにて吹き替え版で録画、視聴。
23年1月現在、U-NEXTで字幕版が見放題対象です。
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