大胆不敵に行動し、お尋ね者として名を馳せた"長靴をはいた猫"ことプス。しかしすでに9つある命のち8つを使い切ってしまったことを知り、初めて「死」を意識した彼の前に死神が現れる。コスチュームを捨て、その他大勢の飼い猫としてだんだんと環境に慣れていく最中、「願い星」の情報を得た彼は命を復活させようと再び旅に出ることに。3匹のクマファミリー、ジャックホーナーらライバルたちも参戦し、戦いはデッドヒート。
今回もアントニオ・バンデラスが声を担当。日本語吹き替えは山本耕史、土屋アンナ、中川翔子、小関裕太らが担当。
あらすじ
羽根飾りの付いた帽子、マントと長ぐつがトレードマークである猫のプス。剣を手に数々の敵と戦いながら、恋と冒険を楽しんできた彼だったが、九つあったはずの命があと一つしかないことに気づいてがく然とする。帽子、マント、長ぐつを捨てて家猫として余生を送ろうと決意するが、どんな願いごともかなえる「願い星」の存在を知る。命のストックを増やそうと願い星を探し求める旅に出たプスは、その道中で元カノやネコに変装した犬たちに出会う。(シネマ・トゥデイより)
冒頭のドリームワークスのロゴ?シーンで数々のアニメ映画作品のキャラたちが映っていて、イルミネーションやピクサーに負けずにここも結構いろんな名作出てたよなぁと。直近だと「バッドガイズ」も好きでした。聞くところによるとある時期から公開スパンを短くする方針になったとか。カンフーパンダも久々に4が出るらしいですね。
参考
バッドガイズ / 狼、蛇、鮫、ピラニア、クモ。どうせ嫌われ者ならばと次々とお宝を盗んできた「バッドガイズ」が任務に失敗。善人になるチャンスを与えられるのだが……。キュートでポップな世界観で本格クライムアクションするCGアニメ。
http://xn--qfusdo8o71s.seesaa.net/article/THE-BAD-GUYS-Anime.html
長靴を履いた猫、という言葉自体はもちろんのこと、シュレックシリーズから派生したこのキャラクターもそこそこ知名度があると思うんですが、それが今再び進化したCG技術で単独映画になったのは嬉しい。もう予告編で分かる通り、全編にわたって可愛らしくてカッコよくてやばかった。特に今回は「死の恐怖」に怯えるというこれまでとはまた別の一面を見せてくれますからね。そういった感情が逆立つ毛や耳でこれでもかと表現されていて、すごくのめり込めました。余談ですが「ラーメン赤猫」という漫画が大好きなのでそれを思い描いたりもしました。
アクションシーンもものすごいクオリティなのですが、今のハリウッドの流行りなのか意図的にフレームレートを落としたような「なんかこうひっかっかる」(ぱらぱら漫画の枚数が少ない、って表現で伝わりますかね?)瞬間がバトルシーンで特に多用されていて、個人的にはかっこよさよりも見づらさが勝っちゃったな。ヌルヌル動いてくれた方が僕は好きです。
ストーリー展開としては最序盤に全盛期というかカッコいいプスの姿を出しておいて、そこからは死を恐れる彼が飼い猫として甘んじるギャグ的な序盤(明らかに多頭飼育崩壊、環境悪すぎ)という落差が見事。ワンコに「喋れる猫?」って聞かれていましたが、そこで出てくる大量のその他大勢にはセリフがないのもなんか潔くていいです。態度だけで歓迎されてなかったのが分かるし。
で、メインとなるのは望みが叶うという「願い星」になるわけですが、そこにたどり着くための「地図探し」、そして地図をもとにした大冒険と結構な要素がテンポよく進んでいくので気持ちいし、そこにライバルキャラが参戦してくるからすごい鮮やか。AがBをおって、それをCが見てる、みたいに合流するまでは平行線で描かれててたりするからこれ対峙したらどうなるんだってわくわくがありますし、それぞれのドラマがある。
調べたところ英国の童話「3匹のクマ」ってのがあるらしいですね。あとパイとかやってたジャック・ホーナーは「マザーグース」より。
それよりもジャックが持っているコレクションがなかなかの代物で、童話、伝説、フィクションで登場したキーアイテムが4次元ポケットのようなバッグから次々に出てくるのはなかなか見応えがありました。魔法のじゅうたんに始まり、ポセイドンの槍とか、アーサー王のエクスカリバー、ジミニークリケットもいい脇役っぷりしてましたし、不死鳥の鳴き声がチョコボっぽくてテンション上がりました(使い方がえげつなくて笑えないけど) 基本的に作中で一番の悪キャラとして描かれているので部下とかほんと酷い目にあってて可哀想。
一方でクマファミリーはどう考えても「ちょうどいい」チームワークなのに、種族の違いをお互いに意識してなのかギクシャク。でも最後には……っていう主役の猫たちとはまた別の感動ストーリーになっているのが泣かせます。現実世界ではアーバンベアとして脅威ですがやっぱり映像で見てる分にはめちゃくちゃ可愛いし、この映画の中では少し間抜けなのでまたそこがたまりません。こういう賑やかしキャラはほんと木村昴さんぴったりですね。
元カノが登場することでより「これまでの人生の振り返り/後悔」みたいな、プスの心境の変化をさらに出せているのが良かったし、これは大人こそ共感するポイントが多いだろうなと思いました。我々には9つも命があるわけじゃないけど例えば「老い」であったりとかなんとなく誕生よりも終わりの方が近くなってきたことを実感させられる瞬間。そこで感じること。冒頭で「死神」って表現しちゃいましたが劇中では狼の姿ではっきりと出てくるから余計に怖いですよね。ネタバレすると比喩的なものじゃなくてマジで死神です。
さらにワンコの存在。ギャグキャラに見せてかなり悲惨な経緯をもっていて可哀想+笑って話すキャラにするの趣味悪いなって思う一方でめちゃくちゃ素直で純真で。「セラピードッグになりたい」って目標をしれっと達成してるところも良かった。彼がいなかったらプスは心が折れていたかもしれない。ほんと一番の活躍してました。
地図も「触れたものによって試練を変える」という設定なのでキャラごとにいろんなおそろしい景色が見られてすごかったですが、そのワンコの道が一番楽っていうのも好き。やっぱり打算的だったり過剰な欲望はよくないんだよなって。
まあ大抵は「願わなくてもいい」って思い直すオチなのかなって予測はしたもの、じゃあ誰の願いが叶うのか?ってとこまでは読めなくて。なるほどそうきたかってすごく好きな終わり方でしたね。
回想シーンとしてシュレックとかの面々も出ていましたが、映画ラストで「次は〜」ってセリフがあるのでもしかしたら復活を期待してもいいのかもしれません。残念ながら吹き替えキャストが変更されてしまいましたが、シュレックが浜田さん以外は想像できないからやるならぜひそこだけは譲らないでほしい。
聞いてすぐに山本さんだって分かるくらいでしたがそこまで違和感はなく。土屋さんもかなりあっていました。逆に中川さん、小関くんは調べてびっくりってレベル。ワンコうまかった。
グロってわけじゃないけど敵が酷い男なので若干残虐なシーンはあるから小さいお子さんは要注意ですが、家族で楽しめる傑作アニメなのでぜひ。
アマプラにて吹き替え版で視聴。
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