大臣も経験し、地方都市て人気を誇る衆議院議員の川島。谷村をはじめとした私設秘書を何人も抱えていたが、ある時彼が病に倒れる。選挙を控え誰が後任をするかで揉めたのち、折衷案として政治には関わってこなかった川島の娘・有美が選ばれる。二世候補として当選はそこまで難しくないと思われたが彼女の言動は想像以上にポンコツで……。
赤楚衛二、内田慈、小市慢太郎、音尾琢真らのほか、文学座所属のベテラン俳優ら共演。
あらすじ
地方都市に強い地盤を持ち、衆議院議員に何度も当選してきた川島昌平の事務所で私設秘書として働いている谷村勉(窪田正孝)。中堅秘書として議員のサポート役に徹し、今の仕事にも満足していたが、ある日突然川島が病で倒れ、時を同じくして衆議院が解散する。地盤を継いで選挙に出る人物として、川島の娘の有美(宮沢りえ)が選ばれる。
(シネマ・トゥデイより)
もうね、予告動画でもわかってもらえるとおりとにかく主役である有美の言動が面白すぎてずっと笑ってました。漢字の読み方間違ってたり、差別発言したり、よくよく聞いたら当たり前のことしか言ってなかったりなどなど、現実世界でもあったような政治家のエピソードを皮肉っててニヤニヤ。父親のコネあるしかっこいい女性だから楽勝で受かると思ってたのに、全然楽じゃない。
候補に振り回されるドタバタだけでも十分だったのに、基本スタッフ連中がドライなのも意外で良かった。ある意味これが政治や選挙の真相なのかも知れないけど「もうちょっと大人になってくださいよ」みたいな感じで、彼女にいらだちはするものの子供をあやすように、いなすように対応されてしまってる。【神輿に乗せるのは馬鹿で軽い方がいい】を痛感させられる。特に屋上から飛び降りようとした時の下りがほんとひどくて、でも笑っちゃった。
一番酷い発言は後援会の人が対立候補が弱体化した時の「介護なんかやってるから悪いんだ、バーカ」こいつ人の子か?って思った(汗)そういう後援会とか地元の企業との金のズブズブなんかもガッツリ出てきますし、ほんとこの映画コメディやりながらもなかなかにブラック。冒頭でも触れましたが、おじさん連中は文学座所属のベテラン陣が好演してていい意味で「どこにでもいそうなおじさん」感がリアルでした。個人的には声優としても活躍されてる面々なので声で反応しちゃった。ダミ声の斎藤志郎さんや、洋画でよく聞く原康義さんとかね。
そういうヤバい部分を見れば見るほど、現代社会に対する風刺、問題提起になってて、政治にまつわるあれこれがこんなんでいいのか?ってガッカリさせられたところで一番最後の主人公の決断がグッとくる。バカかも知れないけど、こういう人がいなければいけないよねって思わせるし、希望が持てる終わり方にしてる。
後半に向かうあたりで有美が「やめる!」ってダダをこね出してまた少し流れが変わるんですよね。ちょっとネタバレになっちゃいますが、そこに秘書の谷村も協力して、なんとか悪材料ばっかり増やすようにする。それこそ某ツバサみたいな邪魔な行為をしたり、わざと爆弾発言したり。でもことごとく裏目に出て逆に支持率が上がってしまうというコミカルさが出てきて、違う面白さがありました。
予告動画で変な動きしながら「くそお!」って言ってるシーンは、実は内心喜んでて、かつ別の秘書のモノマネをしてるところ。個人的にアドリブだと思ってるんだけど笑いました。
「この人マジかよ」というキャラクターをあの宮沢りえがやってるってだけでまずギャップがシュールで、もうこの時点でクオリティが確約されてるようなもんです。ほんと全力でやってくれてるので、堪能してほしい。
窪田くん演じる谷村が心変わりするきっかけになるコーヒーメーカーのシーンもとても印象的でしたし、出番は少ないものの娘を政治の世界に引き込んだことに複雑な思いを寄せる川平などドラマとしても感情移入できる流れもあってブラックユーモアだけじゃない映画でした。
ドタバタっぷりに笑いつつ、現代の政治家たちは大丈夫なんだよね?って我々が今まで以上に厳しい目で判断しないといけないと再確認させられる作品でした。
アマプラにて視聴。
24年5月末現在
Amazonプライム会員は見放題対象ですが、今見たら「9日以内に配信終了」になってました
決戦は日曜日[Blu-ray]
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