夏休みの高校。特別補習としてプール掃除をすることになったココロとミクだったが、そこに偶然居合わせた水泳部のチヅルや、途中から引退した3年のユイなども加わりほとんど真面目に掃除をしないまま、ゆるい会話で時間がすぎていく。しかしそれぞれうちに秘めた想いや悩みがあり……。
ほぼプールのみ、会話劇で見せる青春群像劇。教師役にさとうほなみ共演。
あらすじ
高校2年生のココロ(濱尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は、体育教師の山本から夏休みの特別補習として、学校のプール掃除を言い渡される。水の入っていないプールで、隣の野球部のグラウンドから飛んできて積もった砂を掃くココロたちのもとに、水泳部のチヅル(清田みくり)、水泳部を引退した3年生のユイ(花岡すみれ)も加わる。掃除をしながら他愛のない会話をしていた彼女たちだが、次第にそれぞれが抱える悩みなどを語り出す。(シネマトゥデイより)
山下監督は「カラオケ行こ!」が個人的に好きな邦画部門でかなり上位にくる作品ですし、女子高生っていうと「リンダリンダリンダ」も良かったので、この原作と相性がよかったのではないでしょうか。
予告動画でも「アルプススタンドのはしの方」について言及されていますが、あちらと同様に舞台劇を映画化しているので、かなーり「ソリッドシチュエーション作品」といいますか、ほぼ【水の抜かれた高校のプール】だけで展開していくので、もうキャスト陣の会話劇の面白さ、演技力がためされる内容になってます。
配られたカードで勝負するしかないのさ。「アルプススタンドのはしの方」映画レビュー。
https://note.com/kiy0/n/n33d1b252ee84
映画感想企画に参加した関係で、このブログではなくてnoteでレビューしてます、こちらもおすすめなのでぜひ。
水深〜に話を戻すと、それぞれタイプの違う学生、先生が登場するので見る人によって注目、あるいは感情移入するキャラが変わってくると思います。僕はやっぱり偶然居合わせた水泳部のチズルが映画冒頭からすごく気になっちゃって。ちょっと変わってるというか、独特のノリがあるんでしよね。そもそも水泳部なのにこんなところで何してるの?っていう。
最初は単に「え、野球部のスター選手のことが好きなの」みたいな単純な恋バナっぽかったんですが、彼女自身水泳でめっちゃ早かったのに彼にまけてしまったということが判明するといっきにその複雑な感情に人間味が出てくる。もちろん惹かれてるのは間違い無いんですが、同時に絶対に負けたくない対抗心がある。
プールに砂が溜まってしまうのは隣が野球場だし練習してて砂が舞うからっていう半ば逆恨みでバケツを運んでくシーンは予告でも使われてますが、あれよっぽど鈍感じゃなければ周りの生徒も「ある意味告白めいてるよな」って感じるはず(笑)
その「性差」というものは他の面々にも共通する部分があって、例えば外見に必要以上にコンプレックスをもち、お化粧をしてないと落ち着かなかったり、生理でプールに入れなかったり。あとは阿波踊りの「男踊り」と「女踊り」に関連してなどなど。成長していく過程でうきぼりになっていく違いや、社会でのみられ方。
ちょっと乱暴すぎる見方かもしれませんが、マネージャーが大量の飲み物を運ばされてるシーンですら、そういう価値観とリンクして見てしまいましたね。砂の件といい、野球部の「外」を主役に、若干の憎しみの目線が感じ取れてちょっと面白い。甲子園も青春ならば、彼女たちの今もまた青春。
それぞれが思いをぶつけあって、別にそれで仲良くなるとか、何か解決したってわけではないけれど。側から見えなくてもそれぞれ違う悩みを抱えて、もがいてる。この年代は特に世間がせまくなっちゃうというか「学校がすべて」みたいな部分ありますからね。でもいつか最終的に折り合いをつけて、なんとか生きていくしか無い。ハッピーエンドとも違うけど、決して後味は悪く無い、さわやかな終わり方。自分の高校時代を思い出させられた映画でした。
WOWOWにて録画。U-NEXTにて視聴。
25年5月末現在アマプラでも見放題対象です。

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