伊能忠敬の地元である香取市。役所では町おこしのために彼を主役とした大河ドラマ制作プロジェクトが立ち上がり、まずは脚本家に頼み込むところからスタート。街に招待し彼の偉業を知ってもらったことで本格的に資料を集めた矢先、彼は完成を目前にして亡くなっていたことがわかる。そこにはどんな経緯があったのか。脚本家の口から語られる感動エピソードとは。
現代編、江戸時代編の二つで魅せる、笑って泣ける傑作人情ドラマ。
松山ケンイチ、北川景子、岸井ゆきの、和田正人、田中美央、溝口琢矢、立川志の輔、西村まさ彦、平田満、草刈正雄、橋爪功ら共演。
あらすじ
千葉県香取市役所では町おこしのため、日本初の実測地図を作った郷土の偉人・伊能忠敬を主役にした大河ドラマの制作プロジェクトを発足させる。ところが脚本作りの途中、忠敬は地図完成前に亡くなっていたという新事実が発覚し、プロジェクトチームはパニックに陥ってしまう。一方、江戸時代の1818年。忠敬は日本地図の完成を見ることなく世を去り、弟子たちは悲しみに暮れる中、師匠の志を継いで地図を完成させるため、壮大な作戦を開始する。(シネマ・トゥデイより)
冒頭でも触れた通り、この作品は立川志の輔さんによる創作落語が原作、しかもそれを鑑賞した中井貴一が映画化を直談判して製作がスタートしたそうで。見終わってその事実を知ってびっくりしました。
というかそもそもキャストの一部とコメディってことしか知らずに見始めたので「完成前に亡くなっていた」は劇中の現代編キャラと同じように驚いたし江戸時代編で同じ演者が出てきたのも衝撃。こんな映画だと分かっていたらたらもっと早く見たよ。
意図的に隠そう、っていう意図があったのかはわかりませんが完成前になくなっていたのは有名な話なんですね。クイズとかでも伊能忠敬=完成させた人としか出てこないからさ。
全体的な構成としては序盤から大河ドラマ作りに奔走するドタバタで、ここら辺は完全にコメディ。特に橋爪さん演じるベテラン脚本家をいかに口説くのかっていう奮闘ぶりが笑えます。褒めようとしたら逆に地雷踏んじゃったりとかね。でも最終的には忠敬さんの凄さに感動して動いてくれるという。こういう面倒くさそうな先生リアルにいそう。
しかし前述の「死んでた」ことがわかると江戸時代に舞台を変えてスタート。正直本気でこの部分メインで大河ドラマ作れちゃうんじゃないかって思わせるくらい感動的な話でした。
「伊能組」って表現されてましたが、お弟子さんたちの測量から、実際の地図制作。どれほど根気のいる、長い時間をかけての作業なのか映像になってより鮮明に理解できました。下手すればこれ社会科の教材になりうると思う。小学生とかでも理解できる内容ですし、死んでて出てこないけど伊能忠敬の偉業を説明するのにこれ以上のものはないって感じ。履き潰した草鞋とか彼本人の努力の年月とかもちょいちょい垣間見れるし。
幕府から怪しまれて送られてきた密偵をいかにして騙すか、みたいな部分では北川景子さん中心に結構コミカルな描写こそ入りましたが(そして西村まさ彦さんはマヌケ役やらせたらピカイチだね)、基本的にはとてつもなくシリアスで、本当に大河ドラマ見ている気分になっちゃった。
特に無事に完成した後のお殿様とのやり取りは涙腺が崩壊した。
だから面白おかしいのと真面目なのを両方でキャスト陣の演技を堪能できて素晴らしいんですが、やはり主役となっている中井貴一さんが素晴らしかった。最初は仕方なく仲間入りしたのが、最終的に誰よりも一生懸命伊能先生の悲願達成に向けて奮闘していく。その変化が胸を打ちます。
一方で松山ケンイチさんはどっちのパターンでも賑やかし担当としてめちゃくちゃ笑わせてもらって、ついつい前のめりになりすぎるところをふっと力を抜かせてもらった。測量の真似事をするときの天丼(繰り返しのギャグ)とか、よく分かってない感じが好き。
現代編でも余計なこと言って怒られる流れが毎回ツボでした。結構アドリブも入ってるんじゃないかな?
単純に「いかにして完成させたのか。どんなドラマがあったのか」という江戸時代編でも十分すぎるくらいに感動するし面白かったのに、現代を起点として過去回想してまた現代に戻ってくる。伊能忠敬とその仲間たちの長い歩みと、役所チームによる「大河作り」がどこかシンクロして、最終的に彼らの「大河への道」へとつながる。
個人的にはそうきたのか!ってかなり意外な方向で終わるのでそこもちょっとびっくりポイントだったのですが、スタート地点がそこならゴールはそこだよな、って感じですごく爽やかな終わり方でした。
1番の感動ポイントは先に触れた通り地図お披露目のシーンですので、そこほんとみんなに見て欲しいと思います。あの時代にあれを作っちゃうんだよ!?って。
笑いを入れつつ偉業のもう一つの側面を描いた感動エピソード。豪華共演の演技合戦も楽しくてとても満足感ある作品でした。
Netflixにて視聴。
24年6月現在、Amazonでもプライム会員見放題対象です。
大河への道 特別版(数量限定生産) [Blu-ray]
アマプラはこちら
https://amzn.to/3VcPEhP
人気ブログランキング参加中。
この記事へのコメント