計画立案、情報収集、なりますしの用意、身分証や文書偽造、法律のプロ。それぞれの専門家が集結し、他人の土地を勝手に売り捌いて利益をえる詐欺集団「地面師」たち。だんだんと仕事にもまひしてきたリーダー・ハリソンは、100億規模のミッションに向けて動き出す。彼らのしっぽを掴もうとする捜査二課のベテラン刑事、さらに同じ土地を手に入れようとやっきになる後がない不動産デベロッパーなど多くの人間の思惑がからみあっていく。無事に勝ち逃げすることができるのか。
豊川悦司、綾野剛、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、山本耕史、リリー・フランキー、池田エライザ、マキタスポーツら豪華共演。
あらすじ
土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く。2017年に実際に起きた被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしている。(wikipediaより)
こういう犯罪者自身を主人公にした作品は映像だからこそ楽しめるわけですが、これ実際におきた事件をモデルにした小説が原作だし、R16指定だしで結構怖いというか胸糞悪い部分も多いので、そこはあらかじめご注意ください。
ボスであるハリソン(豊川悦司)がもうぶっ飛んでるキャラクターで殺人を厭わないタイプなのでそういうシーンも出てきますし、暴力、麻薬、ベッドシーンなどもありました。
それぞれの専門家が集ってチームを形成し、それが成功するかどうかのドキドキ。いわゆる「ケイパー映画」と言えると思いますが、オーシャンズ11シリーズとかをはじめ僕は大好きなジャンル。このブログでも何度か書いてますよね。
それこそ1話の終盤の「100億の仕事」ってみんなが沸き立つくだりは、オーシャンズの「一人あたりゼロ8桁の報酬だ」ってセリフを思い出しました。なににも変え難い快楽。ハリソンだけじゃなく、みんな犯罪行為の成功体験に魅入られてしまっている。予告動画概要欄の「とち狂ってる(土地、からの言葉遊び)」も的確な表現です。
そんな中でもハリソンの愛弟子である拓海(綾野剛)が1番スポット当たる役で、この人は過去に地面師に騙され地獄をみた被害者。しかしなんの因果か彼に出会ったことで憎むべき詐欺を自分の仕事にしてしまった。丁寧な言葉遣い、淡々としてるのにそこが見えない怖さ、オーラが半端なかったです。その出会いというのも娼婦をクビしてめて殺しちゃって、担当運転手として現場に呼ばれただけっていう。これだけでもハリソンのやばさがわかります。
ハリソンが彼にかける「信頼しているのは君だけ」って言葉も印象的。、みんなぴったりのキャスティングだな、っていうチームメンバーで魅力的なんですが、裏切りが怖いですよね。特に北村さん演じてる竹ちゃんはどんどんドラッグに溺れていくし、いつもイライラして金の無心ばかり。わかりやすくて御し易いかもしれないし、大事な仕事をまかせていいのか?ってのもある。仲良しチーム、っていうよりもこの道が転職だっただけ。仲間を捨てるのも捨てられるのも一瞬なんじゃないかっていう予感。
メインの詐欺に絡んでくるのは不動産会社、そして警察があるわけですが、その前に家主である寺を相続した尼さんも重要人物。この人がホスト狂いで、男性を文字通りはべらせてる変態なんで、拓海がホスト側に潜入します。この辺は今で言うトー横キッズ関連とか、男女とお金の闇をきりとってましたね。このホスト役吉村界人くんのクズ男感が良かった。
不動産会社側としては序盤にターゲットになるマイクホームズの真木(マイク眞木?笑)=駿河太郎とかも短いながらインパクトあるし、地面師たちの鮮やかな手口をみせられてめちゃくちゃ引き込まれましたが、メイン詐欺の石洋ハウスの微妙な派閥とか人間関係が面白くて。
土壇場で大きな仕事がぽしゃった結果、あとがなくなってしまった開発事業部長の青柳(山本耕史)。そのあせりが目をくもらせてしまうのか、餌にくいついてしまいます。そもそもが時代遅れのパワハラ気質&グレーゾーンゴリ押しタイプだし、同期からは「出世の道がない」と煽られて。かわいそうになってきちゃいます。結果を出してナンボの世界。マキタスポーツとのやりとりも面白かった。
刑事側はハリソンをなかなか捕まえられずにいる定年間際のベテラン刑事。こういう人はわずかな糸口で急接近してきて油断できないんですが、相手がハリソンだからな〜。メタ的なことをいいえば、僕らが積水ハウスの詐欺事件を知ってる=最終的には犯罪が露見するわけで、現実世界で最後に勝った?のは警察。でもこの作品はフィクションだから勝ち逃げってこともあるだろうし。肩入れしてるのは犯罪者チームなんですが、あんな狂った人間が世にいてはまずいし頑張って捕まえてくれ〜って気持ちが大きくなっていきます。
全7話中4話まで見終わって、ネタバレを避けるといよいよ不動産会社との交渉=詐欺にいくわけですが、そんなにすんなり終わるわけがない。そして拓海の過去の掘り下げがまだですし、後半戦もかなり密度が高そう。それぞれ1時間くらいなので一般的なドラマ7話よりはずっと多いです。
前述のとおりR指定あるので過激な描写、展開ではあるものの、クライムサスペンスとしてどんどん引き込まれて続きを見たくなっちゃうタイプですので耐性がある方はおすすめします。ネトフリだからこそできる作品って感じ。ここで紹介しきれないキャラたちもみんな演技上手い人ばかりでほんとハマってた。
1話にて本人確認を徹底され、「どこで買い物してますか?」って予想外の質問ふられたところからの流れが最高で、「これ最優先で見る」って決断しちゃいました。
Netflixオリジナルドラマとして、24年7/25より好評配信中。
地面師たち (集英社文庫)
人気ブログランキング参加中。
この記事へのコメント