ヒロインに深川麻衣、父親役に(主に回想)西村まさ彦のほか、竹内力、佐藤隆太、小林きな子ら共演。
あらすじ
東京で役者を目指していた大河は、父の突然の訃報を聞く。ラリーの名メカニックだった父だが、大河は母と死別した際も留守にしていた父を許していなかった。葬儀で故郷の愛知県豊田市に戻った大河は、銀行員の兄から、父が営んでいた小さな自動車整備会社を畳むつもりであることを聞く。そんな中、大河は会社の存続を願う従業員たちや亡母の日記から父の本心に触れ、父が出場するはずだったラリーイベントへの挑戦を決意する。(WOWOW番組案内より)
愛知県豊田市と岐阜県恵那市オールロケ、と謳っていたり、メ〜テレや豊田が関わって作っている作品なので家族愛というメインテーマと共に「地元愛」も感じさせる作りで、関東在住でなんとくのイメージしかない僕にとってもこういう場所があるだ、こんな景色なんだってのが知れてまずそこが良かった。ラリー本番中はじっくり見ている余裕こそないですが、本来ドライブっていろんな景色を楽しめるのもまた面白さの一つですよね。
大筋に関しては上記あらすじでほとんどの人が予測した通りの、かなり素直な展開で「こういうのでいいんだよ」って感じさせます。幼馴染であるヒロインもシングルマザーで子供もかなり懐いてて、周りのみんなが後押ししてるのになかなか現状維持のままで。なんなら帰ってきてすぐの態度でお互いまだ好きなんだろうなってわかるのに。その分プロポーズシーンは「そこで!?」って意外性がありました。劇中でもつっこまれてたけど。
その「周りのみんな」に泣かされる話でしたね。もちろん主人公が一番頑張ってて、頑なだった父親への思いが変わっていくのもいいんだけど出てくる人たちの優しさで少しずつ物事が動き出していく感じ。適材適所で会社のメンバーが奮闘するのもいいし、人と話すのが苦手だったり、前科があったりっていう個人の事情を超えて小さいけどいい会社だったのが分かるし、亡き父の人柄が見えてくる。マスメディアに勤めてるっていうのがちょっとできすぎな感じもしましたが、それをうまく活用して宣伝、街の人たちからのサポートがあるのも泣かせる。ちなみにこの映画自体もクラファンやってたぽいですし、寄付の見返りにラリーカーにはるステッカーもどうやら実在するお店のようです(エンドクレジットにも載っていました)
地元愛についてはお祭り?というか棒を使った伝統行事の要素も入れてて、その時の掛け声をアレンジして運転の指示出しに利用したのは笑った。「ヤァ!」とかが左の代わりなんです。二人にしかわからない暗号。体に染み付いてるからこそだし、小さい頃からいいコンビだったのがわかってなんかエモい。
障害として登場する厳しいお兄さんも現実的なこと言ってるだけで消して意地悪じゃないし、正直映画だからこそ成立するとんとん拍子さ、ハッピーエンドなわけで。実際はもっと厳しい道のりだったら嫌な気持ちにはならなかったし(役者への夢を「お遊び」というのはいただけないけど)、最後には一緒に観戦してくれてそこも好き。
うまくいきそうになるところでピンチになるのが常ですが、想像以上に過酷な出来事が起きたのもびっくり。そこからまた前述の「人の優しさ」によって再起して、ってのはどんな人も胸を打たれるはず。ちょうど撮影時期とかコロナが一番ひどい時と重なってたはずだから、いろんな意味で大変だったはず。
そうそう、父のよき相棒だった宮本さんもいいキャラしてたね。竹内力さん、かなりぶっ飛んでてコミカルな要素かと思いきやこの人もまた「親友を亡くした」わけで、二人の夢をそいつの息子に重ねるところは胸をうつし、相棒はあいつだけだからと師匠にはなるけどパートナーにはならないのがいい。走る主人公たちをそっと見守る姿が良かった。
一番泣かせるのはそうやって妄想してる時に、息子は息子で隣にいるのが父親に見えてしまうシーン。本当なら生きているうちに和解したかった。こうやってラリーに出たかった。でもいないっていう切なさ。人の生き死にの話は(当たり前に泣いちゃうから)苦手なんですが、残された人たちが彼の思いをつぐ物語として良かったです。
わかりやすい展開、いわゆるベタなストーリーですがそういうのこそ染みる。家族愛、地元愛に暖かい気持ちになる素敵な作品ですので、ぜひ。
WOWOWにて録画、視聴。
DVDは発売されてないみたいなので、各種動画サイトなどでどうぞ
アマプラ(有料)はこちら
https://amzn.to/46gYWgr
人気ブログランキング参加中。
この記事へのコメント