世の中にたえて桜のなかりせば / 乃木坂46 #岩本蓮加 主演。不登校の女子高生が就活アドバイザーのバイトをしながら、さまざまな人の人生に触れていく。桜の美しさと、生きる勇気をもらえる感動作。これが遺作となった宝田明はプロデューサーも兼任。

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乃木坂46の岩本蓮加主演。不登校の女子高生がバイトとして働く「就活アドバイザー」そこの依頼者との交流の中で自分も影響を受けていく様を描く感動ドラマ作品。エグゼクティブプロデューサーも担当した宝田明さんが急逝し遺作となってしまった。
高校生の咲は不登校ながらも職員二人だけの就活アドバイザーでバイトをし、依頼人のお手伝いをしていた。遺書が書けない人、写真を撮りたい人。しかしなかなか自分自身のやるせなさを解消することができずにいた。同僚で人生の大先輩である敬三が、自分も不登校だったことを話し始め、それは妻との思い出にも絡んでいく。
前向きに生きる勇気をもらえる映画。
敬三の妻役に吉行和子のほか、土居志央梨、郭智博、名村辰、柊瑠美、伊東由美子、徳井優ら共演。
あらすじ
不登校の高校生の咲(岩本蓮加)はさまざまな人の終活を手伝うアルバイトをしながら、生徒からのいじめで教師を辞めて引きこもっているかつての担任・南雲の家へ様子を見に行ったり、いじめた生徒に自分の気持ちを伝えるために会いに行ったりしていた。どうすることもできずにやるせない気持ちを抱く咲に、一緒に働く敬三(宝田明)がかつて妻(吉行和子)と見た桜の下での思い出を話し始める。


映画全体が80分と他の作品に比べると短めなんですが、とても心に残る印象的なシーンがたくさんある素敵な映画でした。 大きく分けて3つのパートになっていて、それぞれ3人のお客さんといいますか、主人公の職場にやってきた人たちの物語が描かれます。

ひとりめは遺書を書くことになった男性で、病気か何かで死期が近いと言うわけではなく、危険な仕事に行くことが伺えます。ただ、うまく書けないないということで依頼を受けていきますが、最終的に父親との思い出を振り返り、家族への想い、そして自分も思われていたことに気がついていく。ベタだけど感動しました。戸棚に消防車があったので父がそういう職業だったことがわかりますが、依頼してきた本人が何なのか、どんな職種なのかは謎のまま。ちなみに最後の最後にテレビのニニュースで明らかになります。

2人には命脇役の徳井優さんが演じている依頼者で暗渠を撮影すると言う。ここでサブキャラの同級生が絡んできて、その次に控えるメインのエピソード2の準備みたいな形になっています。自分の仕事もまた、歩いてきた道。人生ですよね。

主人公の設定としては、不登校と言うことであのー学校には行けてないものの、今の職場でアルバイトをしているということ。あともう1人あの数で自分が教わっていた国語教師と言うキャラクターも登場するのですが、この人は一昔前の学級崩壊ドラマみたいのように、全然生徒が話聞いてくれなくて、心を病んでしまうと言う設定。結構長いしっかりとした「教師いじめ」のシーンが出てきて、正直見てて辛かったですね。まぁ映画全体がいわゆる『再生の物語』になていて、主人公の咲も今の職場で過ごすことで結果としてまた新しい一方踏み出すと言う流れになるのは何となく予想がつきますよね。しばらくお休みしているキャラが出るのもわかるし、実際劇中のラストでは、復職する姿が見れてよかったです。

最後メインとなるのは宝田明さん演じるちょっとお茶目で謎めいた同僚、敬三のエピソード。奥さんを吉行和子さんが演じていますが、この人との思い子のために何ができるか考えて行動するっていうのがあのすごく胸を打ちました。出会いに「彼もまた不登校だった」ということが絡むし戦争など時代の要素も出てきました。今そんな姿は全然見えなくても、敬三さんいろいろ抱えて生きてきたんだなっていうことがわかるし、だからこそアドバイザーとして人の役に立ってるんだって実感しました。

単純に思い出の場所の写真をと言うのは予想がつきやすかったですが、それをそれをどう活用するかという部分では、映画として画面越しに見ていてもめちゃくちゃ感動的。技術が上がったこともあるんですが、よかった。あれは間近で見たらほんとに泣いちゃうと思う。 日本人にとって桜ってめちゃくちゃ重要なんものだと思うんですけど、やっぱ散っちゃうからどうしても子悲しいイメージしのイメージと近いところもあって。だからこのタイトルや、「終活」という要素を生聞いた時はちょっと身構えてかなぁ。「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」という短歌も、もしも桜がなければ、もっとのどかでいられたのに。っていう意味。もちろん文字通りでなく、でもだからこそ桜って良いよねと言う内容です。一瞬一瞬を大切にしていくことの意味を改めて噛み締められました。

何よりもグッときたのは、【人が上を向いて生きていけるように、桜は下向きに咲くんだよ】というセリフ。もうほんとそれ聞いただけで泣いちゃったよ笑。 これだけでもこの映画見た価値があると言ってもいいくらい。前述の通り、主人公や前日の国語の教師含めてまたいっぽ踏み出す物語だったと思うんですが、ただ前に進むんじゃなくて上を向いて生きていく。もしかしたら言葉だけ聞くとちょっとできすぎて、安っぽく感じる人もいるかもしれないんですが、映画を見た上で聞くとほんと頑張ろうってこっちも勇気をもらえるもらえました。
奥さんも弱っていくシーンとか顔を描写せず、きれいな思い出を胸にしていけるのもよかった。

乃木坂の岩本さんがメイン、彼女の魅力を引き出そうとつくられた作品であることも間違い無いのですが、やはり宝田さんの存在感も大きく、ましてやエグゼクティブプロデューサーも兼任されていて、劇中の人物同様、彼もまたこれまで人生歩んできた歴史があるからこそ作られた映画なんだろうなぁと思います。おひょいさんとはまた違うおちゃめさんみたいなものを感じて、見てて癒されました。残念ながらこの映画が遺作となってしまいましたが、文化庁から感謝状が贈呈され、代わりに岩本さんが受け取ったようです。

Huluで見つけて時間が短めだったので見始めたのですが、想像以上に感動的で「良い掘り出し物を見つけた」といった感覚です。 終活をテーマにしていますが、悲しいシーンはほとんどないのもよかった。主演のファンならずともぜひ見ていただきたい本。

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