マンディブル 2人の男と巨大なハエ / アホな二人組が配送依頼を受けた荷物は、なんと巨大なハエ。自分たちで芸を仕込んで金儲けしようと計画するもトラブルの連続。元カレと勘違いした女性の家に泊めてもらうことになるが……。

ここでも紹介した「地下室の変な穴」などのぶっ飛んだ作品で知られるフランスの奇才カンタン・デュピューが監督・脚本を手がけたシュールなコメディ作品。自分たちが運ばされている荷物が大型犬くらいある【巨大なハエ】と知ったアホな男二人組は彼(?)に芸を仕込んで大儲けしようと企む。アホな登場人物たちの言動にツッコミどころ満載。
昔からの親友であるマヌとギャンはとある依頼によってスーツケースを運ぶ仕事を受けるが、トランクから聞こえてくる異音に我慢できず開けてみるとそこには大きなハエが。普通に仕事をするよりも芸を仕込んで自分たちで金儲けしよう!と決断し、飛ばないように羽の部分をテープで巻いて犬のように飼うことにする。キャンピングカーを奪うもボヤを起こして炎上、ガス欠とトラブルに見舞われる中、道ゆく女性がマヌを元カレだと勘違い。うまく合わせてご馳走にありつき、さらには家に泊めてもらうことになる。ハエを隠しながらの生活が始まり……。
ダヴィ・マルセ、グレゴワール・ルディッグ、アデル・エグザルコプロス、インディア・ヘア、ブリュノ・ロシェ、ギャスパール・オジェら共演。
あらすじ
ある男にスーツケースを渡す仕事を引き受けたマヌは、親友のジャン・ギャブを誘い、適当に盗んだ車で出発する。すると、車のトランクから物音がして、2人はそこに体長1メートルほどの巨大なハエが閉じ込められているのを発見する。(amazon作品紹介より)

ハエ映像注意。日本語の予告が見つかりませんでした。

参考
地下室のヘンな穴 / 中年夫婦が念願叶って手に入れた新居には、不思議な穴があった。そこを通ると現実で12時間が経ち肉体は3日分若返るという。若返りたい妻は何度も繰り返すのだが……。フランスで大ヒットした怪作。
http://xn--qfusdo8o71s.seesaa.net/article/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E5%AE%A4%E3%81%AE%E3%83%98%E3%83%B3%E3%81%AA%E7%A9%B4.html

※直接的な描写は一切ありませんが、犬に悲劇が起きます

2020年公開作品なので時期的には上記「地下室の〜」より前に作られた作品。ですがこの映画も「ハエをペットにする」という設定一つでかなりシュールな映像で面白かったです。
散々このブログで触れてきている通り虫全般苦手なんですが(カブトムシとかを除いて、好きっていう人も少ないか)、不思議と少しずつ見慣れてきて途中からこれはこれでペットとして飼うのもおかしくはないかもなってなっちゃいました。
多少デフォルメされてるとはいえ、フォルム自体はリアルな虫そのものなんでそういう部分を無視して、呼ぶとそっちを向いたりトコトコ歩く大雑把な輪郭だけみてたのかな?って自己分析してます。なんというか「エイリアンとの遭遇」ジャンルみたいなのに共通するかも。キモカワ。
たまにハエ=ドミニク目線として複眼だからこその視界が出てきたり、すぐ上触れた通り犬をアレするくだりがあるのでちょいちょいウゲェってなりましたけどね。あとフンも嫌だったなー。

ハエもインパクトあるものの、実際に見始めると登場人物のほとんどがなかなかに狂っていてそこもツッコミ入れながら見てました。まず基本として主役の二人がアホすぎる。すごく短絡的だし、詰めが甘い。キャンピングカー盗んでおきながら、料理してて火事を起こしちゃうし。あー絶対これやるよなーって失敗を見事にしてくれる。だからもう犬は先にすべてを悟っちゃった。可哀想。

さらに似ているというだけで元カレだと思い込み友達共々家に泊めてしまうヒロイン(?)セシルもちょとあり得なくて。他の滞在者に「あのバカどもはいつまでいるんだ」ってドン引きされてるのに、よくしてあげてるし、極め付けはタトゥーがなかったのに誤魔化されちゃうこと。
【ハエを飼ってること】と【勘違いをいいことに泊まっていること】のどちらが一方でもバレたら終わりですから、そういう意味ではすごくワクワク。

セシルの代わりに事故で脳障害を持ったというアニエスがひたすら敵意むき出しでアホに挑むので正直ちょっと応援したくなったりとか。怒鳴るようにしか発言できない、っていう風に説明されてましたが、これもある意味「不謹慎ギャグ」みたいになってて。最初その喋りも含めて発達障害とかそういう系かな?と思うくらい細かい部分にこだわるキャラだったのでセシルたちが「怒ってるわけではないよ」とフォローしてたものの、初めから快く思ってないのは明らかでした。
まあホームレスみたいなのがいきなりやってきて泊まるって言われたら家主の意見でも正直勘弁してくれってなるよね。

※ちなみに某環境活動家に着想を得て作られたキャラクターらしいです。なんということを!(笑)


77分と短めなので終盤に差し掛かる前についにバレてしまって逃げるんですが、「犬がいなくなる」ことがきっかけになったもののひねっていて、
「そっちで?」と笑いました。ちょいちょいアニエスも鬱陶しく感じられてるのが見え隠れしてたとはいえ、あんな嘘を信じるのもまたびっくり。彼女はどうなってしまうのだろう。可哀想です。

最終的には「やっぱりハエはハエ」っていう方向に持ってくるかと思いきや、さらに一捻り。二人だけの合図「トロ〜」といい、アホだけどマヌたち二人が親友なのは文句なしなので【友情は永遠だ】って感動話に持っていったところまででも十分納得しかけてました。バカバカしい映画だったけどまあ良かったなって。でもさらにいいことが。

そもそもドミニクはなんなのか(実験の結果)とかの細かい説明もないし、ひたすらおバカな映像が続く時間。だらーとした気持ちで見られますので、ある程度虫が平気だよいう方はお笑い番組見るようなテンションでご覧ください。


アマプラにて字幕版で視聴。
24年5月現在Amazonプライム会員見放題対象です。U-NEXTにもあるみたい。

動画はこちら
https://amzn.to/3UUGoQG

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