17世紀、現在のイタリアに位置するペシアの町の修道院にやってきた6歳のベデネッタは素直に成長していったのだが、ある時修道院に逃げ込んできた女性バルトロメアの世話をすることになり彼女と密接な関係になっていく。同時期にベネデッタの体にはキリストと同じような傷が出現し、聖痕だとして彼女は周りからもより慕われ、最終的に修道院長の座につく。その傷や彼女が見たとされる言動に信憑性があるのかどうかも疑惑が生まれ、教皇大使から糾弾されることに。しかも世間ではペストが蔓延していて。
彼女は聖女か、嘘つきか。過激な描写も話題の宗教サスペンス。
シャーロット・ランプリング、ダフネ・パタキア、ランベール・ウィルソン、オリヴィエ・ラブルダンら共演。
あらすじ
17世紀、現在のイタリア・トスカーナ地方にあたるペシアの町。幼いころから聖母マリアと対話し、奇跡を起こすとうわさされていたベネデッタは、6歳でテアティノ修道院に入る。ある日、彼女は修道院に逃げてきた若い女性バルトロメアを助け、やがて二人は秘密の関係を結ぶようになるが、ベネデッタが新しい修道院長に就任したことで波紋が広がっていく。(シネマトゥデイより)
※蛇/お色気映像に注意
この作品、そこまでいるか?ってくらい裸のシーンやラブシーンが出てくるのでそこだけがちょっと人に勧めにくいというか、「本当に神に選ばれたのか、嘘なのか」っていうめっちゃ面白いテーマがあるんだから十分でしょって思っちゃたのが正直なところ。
見終わった後でポール・バーホーベン監督について調べて内容に納得。wikipediaに「一方、過激な暴力描写や性的描写に批判を受けることも多かった。」って書かれてるくらいなので完全に趣味なんでしょうね。名作でもある『氷の微笑』『インビジブル』も、割とそっち方面のインパクトあるシーンあったし。
序盤から中盤にかけてはベネデッタがすごく純真無垢で、同時に心からキリスト教に傾倒してるのがよくわかる。ちょいちょい彼女が見る白昼夢というか幻覚の描写もされるのでもはや思い込みの力が強すぎて自分自身さえ騙しているのかな?っていうレベルです。予告で感じたほど「権力のために小細工しまくり」っていう印象は受けない。
でも最終盤で劇中キャラにはっきりと指摘されてるとおり傷なんかは「明らかに自作自演だよな」っていう要素も多々あるので、全くの奇跡(?)というわけでもないのが面白い。精神を病んでいる人のような「彼がそうしろと命じた」に近いような感覚だったのはないかな、って思います。
そういう風にベネデッタの精神に共感しにくいのと対照的に、交代する前の修道院長とその娘、そしてバルトロメアの方がすごく人間味があってこの人たち目線で見入っちゃった。
特に明らかにおかしいだろ、って言いたいのに波風立てないようにグッと堪えて振る舞う院長さん。娘の必死の証言とそれが受け入れられなかった後での悲劇などすごく辛かったし、そこから絶対チャンスがあったら引きづり下ろすぞっていう静かな怒りが目に見えるようだった。
バルトロメアは助けてくれて一生懸命世話してくれたベネデッタに惹かれて、愛する喜びに毎日幸せだったのに、どこかついていけないというか「どこを見ているのか」っていう彼女を理解しきれないもどかしさがあって。特にキリスト教徒とかでもないからこそ一番、視聴者というか一般人よりのキャラクターだった。かなり不敬だしぶっ飛んでるけどマリア様の像をアダルトグッズに改造する姿は恋する乙女そのもの。
拷問を受けたり散々な目にあってかわいそう。彼女が一度修道院を去るときに声をかけるモブ修道女がいるんですが、「この人も娼婦時代に辛い日々を過ごしたんだろうな」って一言だけでも想像できるのが地味に深かった。「その他大勢」の中にもドラマがあるんですよね
後半からはベネデッタの大きくなった権力を面白く思わなない教皇大使までが参戦してきて、すでに触れたようなバルトロメアへの拷問とか、裁判になっていく。この人はこの人でクズなだなぁっていうのが言葉の節々でわかるんだけど、想像以上に自分勝手で。ただでさえペストという恐怖が街に蔓延してるのにさぁ。だからベネデッタが処刑されるのかどうか、って時の演説と、あの人の乱入とかこれまた予想を超えてきてびっくり。カオスな状況でしたね。
乱暴な言い方になるかもしれませんが何かを信じる、いやむしろすがるっていうのは今の辛い状況から目を背けさせてくれるからベネデッタというわかりやすい存在が崇められてしまうのも納得だし、この時代だったからこその物語だったなぁと。ラストにその後の彼女の生涯について言及されるのですが、決してバッドエンドとはいえなくて。これが実話だなんてなぁ。とため息が出る感覚でした。
注意書きしてあるとおり女性同士のラブシーン、裸など大人向けシーンがちょいちょいあるのでそこだけがアレなんですが、どんな結末が待っているのかなどう着地するのかサスペンスとして面白かったのでご紹介。
WOWOWオンデマンドで字幕版視聴。
ベネデッタ役のヴァルジニーさんの主演作では「おとなの恋の測り方」が好きです。
おとなの恋の測り方 / 置き忘れた携帯を拾ってくれた運命の男性は、賢くて優しくてお金持ちで、イケメン。ただ彼は自分より背が低くて……。身長差カップルの恋を描く、フランス産ラブストーリー。
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