あらすじ
オットー(トム・ハンクス)は、近所を散策して少しでもルールを破った者を見つければ説教するなど、不機嫌な態度や厳格すぎる言動で町の人々に嫌われていた。しかし実はオットーは、妻に先立たれ、仕事も失い、孤独と絶望にさいなまれていたのだった。自ら命を絶とうとするオットーだが、そのたびに向かいの家に越してきたマリソル一家の邪魔が入り、思いを遂げることができない。マリソルから小さい娘たちの子守や車の運転を頼まれたオットーは、彼らとのやりとりを通してある変化を感じる。(シネマ・トゥデイより)
参考 リメイクもとの僕の書いたレビューはこちら
幸せなひとりぼっち / 細いルールに人一倍厳しい頑固者のおじいさん。妻を失い、自分を後を追おうとするも隣に越してきた家族によってことごとく失敗。強引さに負けてご近所付き合いを始めるうち、少しずつ変化が。
http://xn--qfusdo8o71s.seesaa.net/article/A-MAN-CALLED-OVE.html
まず最初に記事タイトルでも触れていますし、いずれも未遂というか失敗に終わりますが「自殺を試みるシーン」が数回ありますのであらかじめご注意ください。まあ何度もマリソルに邪魔されるのでもはやギャグといえるんですが、一応ね。
個人的にはそれ以上に回想として入る妻との別れ、悲劇の方が正直見ていてつらいものがありました。リメイク元で大筋の流れを知っていてもね。
多少のアレンジを加えてはいるものの、リメイクをほぼ忠実になぞっている作品なのでこの映画を先にみても感動できると思いますし、僕のように視聴済みで思い出して泣けるという。さらに名優トムハンクスですからね。年老いてこういう役柄もぴったりになってきた。
そもそも頑固じじい(笑)っていう存在は国関係なく馴染みがあるので側からみると細かいことにうるさくて、厄介者というイメージがあるわけですがどうしてそういうスタンスになってしまったのか。そして彼の心に抱えた深い悲しみを知ることで少し見る目が変わっていく。
あらためて劇中の面々を見ていると、悪役として登場するキャラ以外はあの住宅地のメンバーはオットーを別に疎ましく思ってなくて「そういう人なんだ」って受け入れてるんですよね。犬の飼い主は別か?そしてオットーもグチグチ言いながらも手助けが必要な人には手を貸すし、ルールに厳格なのも住んでいる人のため。1作目はもっと偏屈爺さんって感じでしたが、今回は意識高い系の町内会長という感覚。
長年親友でありライバルだったルーベンもセリフがないもののとても存在感があって、特に自殺を仄めかしたときに喋れないのに必死にロープをつかんでたり、いいことがあった時に笑っていたりと良かった。回想によってほんとに仲が良かったのがわかるのもいい。車の好みという「派閥違い」は笑った。まあそこだけはどうしても相容れないってものありますよね。あっちの夫婦の息子がアレなんで「運動頑張っている中年」がある意味で息子的存在なのもほっこり。あの人謎の存在だけど、誰も責めてないし優しい世界だった。
そして今回も猫ちゃんが可愛かった。最初こそ「何見てんだよ」って感じだったのにどんどんオットーが受け入れてるのもニヤニヤするし、起きた時に妻がいないって悲しみの代わりに隣に寝てるのがエモい。
そしてなんといっても映画のきも、マリソルとその家族ね。日本でやるなら濱田マリさんかな?って感じのぐいぐいいくキャラクター。この人も移民というバックボーンがあるおかげで明るくて逞しいけどこの人たちなりの苦労がめっちゃあるだろうって想像できるのがいいし、単に距離なしじゃなくて「オットーの悲しみ」に勘づいた上であえてしつこくしてるってのが余計に泣けるんですよね。野生のかんなのか察している。でもオットーが自分から言わない限りは深くは聞かない気遣い。
完全に「家族」になっていくんですよね。こういう存在ができてしまったら、もうオットーは生きていくしかないじゃん、という。
ルーベン夫婦が施設に入って立ち退き問題や、散々嫌な思いしてた企業との問題も終盤でスカッと解決してそこもスッキリするし、手助けしてくれた若者もオットーがやった人助けがきっかけになててその優しさの連鎖もグッときた。最初どんな時もカメラカメラで「まったく今時の若いもんは……」って思ったけど、こういう時は強いですね。
1作目もそうでしたが、最後オットーの旅立ちまで描くのは僕は正直蛇足かなって気がして、というか悲しすぎてそこまでやらずにいつまでも家族仲良く暮らしたでいいじゃないのと思ってしまったわけですが。壁に飾られた何枚もの写真がマリソルたちと色々と楽しい時間を過ごしたんだ、ひとりぼっちじゃなく幸せな日々だったんだと考えれば感動的ではありました。
細かいギャグシーンを入れつつも、悲しみに暮れて頑なになったオットーがマリソルによって氷が溶けるように変わっていく。その変化は涙なしには見れない傑作ドラマですのでオリジナル版、リメイク版ともにおすすめしたい作品。やっぱり人間は支え合いながら生きていくんだって実感させられました。
ケーキの切り分け方が象徴的になってますので、そこにも注目してみてください。
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