実家の工場が倒産し、銀行には複雑な思いのある瑛と、肩や巨大資産家グループの御曹司の彬。育った環境は違えど、共に東大卒で同期入社した2人の「あきら」は最初の催しでいきなり頭角を表し、上司や同期らに一目置かれることに。理想を持ち人に寄り添おうとする瑛は左遷されてしまうが、ドライにこなしていく彬はどんどん出世の道を進む。そんな時彬の父がなくなり、叔父たちが弟を巻き込んだビジネスで失敗してグループのピンチに。銀行員を辞めた彬に対して瑛がグループが生き残る手段を共に探すことに。
タイプの違うの2人が共に認め合いながら奮闘していく熱い青春群像劇的な面白さ。ハラハラしつつ最後には泣ける池井戸ワールド全開。
ヒロインに上白石萌歌のほか、奥田瑛二、石丸幹二、高橋海人、江口洋介、ユースケサンタマリア、アンジャッシュ児嶋、塚地武雅ら共演。
あらすじ
日本有数のメガバンク「産業中央銀行」に、新入社員として入社した山崎瑛(竹内涼真)と階堂彬(横浜流星)。瑛は実家の倒産により過酷な少年時代を過ごしたため、人を救うバンカーになりたいという大志を抱く一方で、大企業の御曹司である彬は情に流されず、冷静に仕事に取り組んでいた。ライバルとして火花を散らす二人だったが、ある案件で自らの信念を押し通した瑛は左遷されてしまう。片や順調に出世していた彬は、親族間の争いをきっかけに階堂家グループの倒産危機に直面し、瑛と彬の人生が再び交差していく。(シネマ・トゥデイより)
冒頭で触れた通り、6年前にもWOWOWでドラマ化されていてそっちは斎藤工と向井理主演だったようです。どおりでタイトルに聞き覚えがあるはずだ。残念ながら見れてないのですが、空飛ぶタイヤ、シャイロック、下町ロケットなどWOWOW版があるから2度楽しめて嬉しいですよね。今回に限っては方や2時間の映画と連ドラなんで、向こうの方が細かい部分で掘り下げられてるでしょうし。いつか見ます。
それにしても主人公2人を含めどの配役もピッタリでびっくり。俺様、とまではいかないけど割と眉間に皺寄せたり威張ってるイメージ(それがかっこいい)横浜流星の御曹司感すごかったし、一方で六本木クラスとかの這い上がり&情に熱いっていう竹内涼真のまっすぐなところが良かった。タイプが違う、けど奥底で認め合ってる感がいいんですよね。ツンデレっていうか御曹司あきらの「そんな理想ばかり追いかけるバンカーがいるなら、俺に見せてみろ」的な挑発=激励とか良かった。
そもそも出自がね。半沢直樹もそうでしたが、町工場アキラの実家が倒産して、銀行に恨みを持っていて。あの時のネジと同じく部品をお守りとして持っているんですがそれ絡みで幼少期に2人のあきらはすでに出会っている。「いつそのことに気がつくんだろうか」って見ながらワクワクしてましたが、ちゃんと最終盤に回収されますからご安心を。先に言っちゃうとめっちゃ泣けた。構成うますぎる。
単純に銀行を舞台にしたお仕事ドラマとしても面白いんですが、「宿命」というキーワードとともにそれぞれの登場人物が置かれた環境でもがいてる様がとてもリアルで、悪役として描かれている伯父二人を含めてどこか共感しやすいポイントだらけでした。生まれは選べないという辛さ。主役二人もそうだけど、有能な兄の弟として生まれたばかりに、コンプレックスを募らせていく龍馬の姿は見てて辛かったし、自分たちだって同じなのに利用しちゃう伯父。リーマンショックがなければあそこまでダメージ受けなかったわけだから単純にお金儲けしたかっただけだししょうがないけどさ〜。
それでもへこたれない、諦めないからこそ町工場あきらがかっこ良く見える。そのことには塚地が演じる工場の従業員の言葉がかなり重要になってていて、見てる僕らに対してのエールになっていた。人生いろんなことがあってもそれでも立ち向かっていくしかない。
どちらかというと銀行員としての主人公は町工場あきら側。難病の娘を抱えた町工場を救おうと躍起になる姿にも胸打たれたし、さらに別の人の善意によってちゃんと報われるのがさらに泣けた。結果として左遷されたとしてもかっこいいと思う。でももちろん後半で上司に指摘されるように「他のお客から預かったお金で仕事している」からこそ優しさだけでおいそれとやるのもいけないし。「確・実・性」というキャッチフレーズを自分で気に入ってるのが少しシュールでしたが間違ったこと言ってないので銀行員としてはこっちもこっちでカッコ良かった。そしてそういう人が最後の最後に、ってのも弱いんだよな〜。
御曹司あきらも若さゆえの青さがあるというかもうちょっと逆撫でしないような立ち回りができたらもう少し家族との関係も違ったのかな?とか彼なりに考えて家を出て銀行員になったのに、っていうもどかしさがあってこれはこれで共感。恵まれてるのは羨ましいけど、お金持ちにはお金持ちなりの悩みがあるし、宿命を背負ってる。それぞれの「戦い」を描きつつ、最後には二人が手を取り合う流れが良かった。
池井戸ワールドと書いたけど、絶体絶命な状況にも関わらず必死で探して、そして思いをうけてくれる人が現れて、っていう怒涛の展開は見ていてスカッとするしちゃーんと解決するのが良かった。一応家族たちも反省したからこそ最終的には「これしかない」って選択肢をのんでくれたわけでね。文字通りの家族が手を取り合っての兆しが見えていくのが爽やか。船を沈没させずに済む。
名前だけでゲスト出演したろ(笑)っていうあきら100%や、俳優経験もそこそこあるアンジャッシュ児嶋などお笑い枠も違和感ない演技で邪魔になってなかったし、二人をとりもち彼女なりのプライドを持って仕事をこなしてたヒロインの上白石萌歌も紅一点で画面が華やかだった。メガネ可愛い。
ハラハラさせつつ、最後にはスカッと爽やか。他の池井戸作品を知ってる人はもちろんのこと、どんな人も気に入ること間違いなしの傑作ドラマですので、ぜひ。
アマゾンプライムビデオにて視聴。
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原作はこちら
アキラとあきら (徳間文庫)
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