海辺の町にながれつき、弁当屋の店員としてはたらく「ちひろさん」は元風俗嬢で、そのこともオープンにしたり、飾り気のない言動で周囲からも人気者だった。ホームレスに弁当を渡したり、登校拒否ぎみの女子高生と漫画を読んだり、親のかえりがおそい男の子と過ごしたり。人とうまくやっていけない人々からもちひろは慕われていく。
豊嶋花、嶋田鉄太、van、若葉竜也、佐久間由衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュンら共演。
あらすじ
あてもなく海辺の町にたどりついた、元風俗嬢のちひろ(有村架純)。ある弁当屋の味に魅せられた彼女はそこで働き始め、風俗で働いた過去を隠そうとしないあっけらかんとした性格、屈託のない笑顔、気取らないおしゃべりで人気を集める。やがて、家族や周囲との関係をうまく築けない女子高生、伝えたいことを伝えられずもどかしさを抱える少年、父親との過去に悩むあまりに暴力的な衝動に駆られそうになる青年など、生きづらさを抱えた者たちが、彼女を慕うようになっていく。(シネマ・トゥデイより)
※アメリカではPG13指定、風俗嬢時代のシーンとは別にラブシーンがありますのでご注意を。
「元風俗嬢」っていうのはよくも悪くも人の目をひいてしまう設定だと思いますが、基本的には本筋にはあんまり関係なくて。ちひろが過去をどう考えているのかっていう方が大きい。「人からどう思われようと気にしない」という性格(になった)って要素です。
ざっと調べたところだと原作漫画はもう少し年上の設定なのかな?僕は未読なのでわかりませんが、見ていてこういう人がいるかもっていうリアリティはすごく感じました。自然体であってたと思います。
リアルといえばちひろさんと交流する面々。これがほんと共感ポイント高くて。時間的にそれぞれの要素は少ないのですが、それこそエピソードの主役になれるくらいで。特に理想の家族をやってるけどどこか自分では嘘っぽく感じてしまうオカジのストーリーが良かったな。誰が悪いってわけじゃないんだけど、たとえ家族でも相性が良くないことってある。
それが予告動画でも使われている「みんな違う星から来た宇宙人だから、分かり合える方がおかしい」っていうメインテーマにも繋がっているし、逆説的に「家族じゃなくてもわかりあえる」ことがちひろさんたちの交流で伝わってくる。
ちなみに豊島花さんは『ばらかもん』で元気いっぱいの役をやっていたので、個人的には結構ギャップがすごかった。
全体的になにか劇的なことが起こるっていうタイプの作品ではないのですがそういうキャラとのエピソードを描きながらゆっくりと時間がながれていく。不器用だけど一生懸命いきてるって感じがして僕は好きでしたね。ただ最序盤のホームレスの話はほっこりしてただけに結末がちょっと衝撃的でね……。廃墟っぽいところに若い子がいりびたったりとか、ちょいちょい倫理的にはあれな要素はできてますが、同時に綺麗事だけじゃ人は生きられないってことでもあるし。
すでに触れた「違う星からきた」もそうですが、「夜はみかた」だとか、最後にちひろさんにかける「孤独を抱きながらも生きていける人」など印象的なセリフが多くて、この映画にでてくるような人物と同じように不器用な人たちに対するエールを感じる作品。「もがくから沈むんだ」っていうのとか、焦らなくてもいいよ、って言われている気がしました。刺されたことがあるだとか、風俗店に面接に来た時のボロボロの状態とか、ちひろさんがどんな経験をしてきたのかがなんとなくわかり、その経験によって、人に優しくできてる。それは変な説教くささじゃなくて、ありのままを受けれ入れてくれる。
終盤にあかされる弁当屋さんに来た時の話も含めて、個人的にはこのままずっと同じような日々が続いてくのだろうと思ってただけに最後の決断はちょっとがっかりもしましたが、同じように不器用な人と出会い、そして救っていくのかな?と考えると不思議と寂しさは感じない、爽やかなラストでした(ちょいネタバレになってますねすみません)
オールスター勢揃いの屋上でのパーティのシーンと、そこからのラストの流れは見事。2時間ちょっとの映画でふわっとそよ風になでられたような作品でした。
WOWOWにて録画、Netflixにて視聴
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