メガバンクでエリートとして働いてきた誠だったが、心の中で思ったことをついに口に出してしまい上司の怒りをかって左遷。とんでもない田舎に来てしまったと落ち込む彼だが、金魚すくいができる店で妖艶な女性・吉乃に会い恋に落ちてしまう。銀行員として経営が傾く喫茶店の仕事をしつつもその女性が忘れられない誠はどうにかして距離を縮めようとするが……。
ヒロインに百田夏菜子、石田ニコルのほか、柿澤勇人、矢崎広ら共演。ミュージカルシーンがなん度も登場し、明るい気持ちにさせてくれる不思議な作品。
あらすじ
メガバンクのエリート銀行マンだったが、取るに足らない出来事が原因となって東京本社から片田舎の町に飛ばされた香芝誠(尾上松也)。左遷のショックと消極的な性格が相まって深く心を閉ざす中、金魚すくいの店を営む生駒吉乃(百田夏菜子)と出会う。仕事だけを生きがいにして生きていこうと決意したはずの彼だが、美しい吉乃のことがどうしても忘れられなくなる。香芝は吉乃と距離を縮めようとするが、彼女はある秘密を抱えていて心を開こうとしない。
尾上さんはもはやコメディアンに片足突っ込んでないか?というくらい三枚目の演技を全力でやってくれるイメージですが、今回も「心の中の声」だけですっごいニヤニヤしちゃいました。ラップというほど韻を踏んではいないんですが、ずっと色々なこと悪態ついてて今回の左遷の発端もそれが漏れちゃったせいという。上司に向かって「汚いオヤジやめてくれ」はないだろうが……(笑)
他にもメインヒロインである吉乃さんとの出会いから【非モテ】っぽい挙動不審さが爆裂してるし、エリートだと知られたのもあって喫茶店の明日香からもアプローチされてめっちゃテンパるし(予告のキスシーン)いろんな姿で笑わせてくれます。
でもなんといってもこの映画のウリは歌唱シーン。今でも脳内でハミングできるくらい印象的な曲が何曲も出てきて、それがディズニーなどをはじめとするミュージカル作品でお馴染みの「今の心境を歌にしている」だからすごくすんなり聞き入っちゃうんですよね。舞台で活躍する柿澤さんはもちろんのこと、ももクロという歌手だった百田さんなども良かったですし、メイン4人ほんと上手かったです。
一番注目したいのは【仕事に集中するんだ】的なシーンの英語ラップ。これ尾上さんすごい練習しただろうなって思います。
ちなみに同僚の矢崎さんも少しだけ歌うところがあります。
基本的なストーリーとしてはとても素直で、不本意な場所にやってきた主人公が新しい人や楽しみに出会って考えを変えて少しずつ順応してくる。恋した相手には別の想い人が。ならば金魚すくいで勝負だ!っていう王道の流れになっていくんですが、金魚を掬うと、【救う】がかけてあるのもあって、終盤あたりの誠の行動は結構グッとくるものがありました。カッコいい。
調べてなるほどと思ったのはミュージカル風でありながら「踊らない」のを徹底しているそうで、妙に恥ずかしくて苦手っていう人も入りやすいのかなと思います。ただまあ散々書いてる通り少なく見積もっても1/3は歌ってるので、あらかじめご了承を。その歌要素以外にも、金魚すくいがテーマなのもあって【和】という雰囲気が全面に出てるも好きだったなぁ。縁日とかの、どこか非日常な空気感。最初に吉乃のお店に行く時の女性陣に引っ張られていく感じもとっても妖しくて引き込まれた。そういうお店だと勘違いしてドギマギしてるのがギャグになってましたけど、たしかに浴衣の女性とかも夏の時期しか見ないですもんね。
ギャグといえば終わりに向かうシーンも凝ってて「ほとんどエンディング〜もうすぐエンドロール」って歌ってるのがめっちゃツボでした。笑えるんだけど、ずっと誠自体はビシッとスーツきめて真面目に頑張ってるからこそなんか感動的なんですよね。大事なイベントがあっても仕事を疎かにしない部分も好印象でした。めっちゃ急いでるシーンでは球体カメラ?的な演出があっっておおっとなりました。
吉乃さんがダメなら喫茶店に切り替えていく、ってならないのも好き。負けヒロインになっちゃってるけど、健気で可愛かった。あ、最初は誠もホットパンツをいやらしい目で見てたわ……。
登場人物はそこまで出さずに、シンプルだけど愚直な?主人公に共感し、歌で楽しませてもらう映画で元気がもらえたし、幻想的な空気感が他と違っていて邦画の中でトップレベルに好きな作品になりました。原作が漫画ということで後でそっちも読んでみたい。金魚すくいの極意に関しても、変に肩肘張らずに生きていくべきって言われてるような気がして良かった。
おすすめです。
WOWOWにて録画、視聴。
23年10月現在、huluでも見放題対象でした。
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